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渚にて -人類最後の日- の商品レビュー

4.2

18件のお客様レビュー

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T・S・エリオットの…

T・S・エリオットの詩が通奏低音の様に流れる、陽だまりに包まれた港町で、人は滅亡の瞬間を待ち侘びる。

文庫OFF

核戦争が起きて北半球…

核戦争が起きて北半球は全滅し、南半球にも放射能が迫る。50年前に書かれた作品なのに、まったく古くなっていない。現在も核の危険は去っていないし、戦争も無くならない。戦争に怒りを唱えるよりも、この作品のような静かなものが世界を変えるのではないか。

文庫OFF

2017/09/05

ゆっくりと終末に向かいながら、坦々と日常を暮らすしかない人たち。 明日世界が終わると知って、それでも庭に球根を植えることについて。 なんて悲しく、美しいのか。

Posted byブクログ

2016/06/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

第三次世界大戦の結果、北半球は核爆弾により死滅した。放射能は南半球へも徐々に侵食し、人類の絶滅が目前に迫る。 オーストラリアのメルボルンで死を迎える海軍少佐とその家族、最後に一艘だけ残ったアメリカ海軍の潜水艦の艦長、海軍少佐の知り合いで艦長と親しくなるオーストラリア人女性を軸に物語が進む。全人類が絶滅することが確実な世界、しかも、放射能の脅威が徐々に自分たちに近づいてくる。そのような絶望の中でも承知のうえで未来を語る人々。実際にそのような状況になったら混乱、無秩序でどうにもならないと思うが、この物語の中では皆が静かに最後を迎える。未来はなく、助けもなく死がやってくるが、それを受けいれるしかない人類の最後はもの悲しい。

Posted byブクログ

2018/04/15

 高校の英語のテキストにコレの縮小版が載っていた。 時は米ソのデ・タントやソ連崩壊やらでこのような「全面核戦争による人類滅亡」が徐々に現実味を失っていた頃である。  終末が来る事はハッキリしているのにそれを認めたがらず「来年」がまた来るかのように日常を生きる人々。 子供の頃「世...

 高校の英語のテキストにコレの縮小版が載っていた。 時は米ソのデ・タントやソ連崩壊やらでこのような「全面核戦争による人類滅亡」が徐々に現実味を失っていた頃である。  終末が来る事はハッキリしているのにそれを認めたがらず「来年」がまた来るかのように日常を生きる人々。 子供の頃「世界が明日で終わるとしたら何をする?」などという質問が流行ったが、今の私なら何と答えるだろうか。 そして現実の人類はこのように理性的な状態を保つ事ができるだろうか。  いや「理性的」とはちょっと違う。 破滅を前にみっともなく騒ぐ事をやめた人類は「狂っている」のかもしれない。 そして地球を何度も破壊できるような核兵器を保持し続けている時点で既に我々は「狂っている」のではないだろうか。

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2014/04/19

久しぶりにこの本を読んだが、やはり重い気持ちにさせられる内容である。そんな気分にさせられるに関わらず最も好きな本のひとつである。 戦争により北半球は放射能被害で壊滅し、それだけでは飽き足らず放射能による被害は刻一刻と南半球を蝕んで行く。 北の街からの連絡は尽く途絶えていき、最後に...

久しぶりにこの本を読んだが、やはり重い気持ちにさせられる内容である。そんな気分にさせられるに関わらず最も好きな本のひとつである。 戦争により北半球は放射能被害で壊滅し、それだけでは飽き足らず放射能による被害は刻一刻と南半球を蝕んで行く。 北の街からの連絡は尽く途絶えていき、最後には自分たちも同じ道を辿ると分かっていながらも毎日を過ごしていく様子がとても鮮明に書かれています。 絶望しかないとわかっていても将来のことを考え、子供のことを考え、徐々に近づいてくる死をいかに受け入れていくか。 読んでいてとても考えさせられる本である。

Posted byブクログ

2014/01/28

核戦争が起こった後らしい世界が、徐々に死んでいく様と、そのまわりの人たちの様子を淡々とつづる話。 メタルギア3でスネークが、この作品(ゲームの中では映画を)推してた理由がよくわかった。

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2013/11/18

 冒頭 T.S.エリオットの詩が、この物語すべての気分を覆いつくす。  読了した当時はまだ冷戦の最中。「核の冬」という概念が唱えられていて、核爆発で生じる放射性物質を含んだ塵が大気圏に充満し太陽光を遮断、地球規模で寒冷化するというのだった。「人類最後の日」という副題がまさに現実味...

 冒頭 T.S.エリオットの詩が、この物語すべての気分を覆いつくす。  読了した当時はまだ冷戦の最中。「核の冬」という概念が唱えられていて、核爆発で生じる放射性物質を含んだ塵が大気圏に充満し太陽光を遮断、地球規模で寒冷化するというのだった。「人類最後の日」という副題がまさに現実味を帯びていた時代で、エリオットの詩『 . . . かくて世の終わり来たりぬ . . . 地軸くずれるとどろきもなく ただひそやかに』がまるで予見していたように悲しく驚きを感じたのだった。

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2022/08/12

学生時代に読んだ。印象に残っているが、ほとんど忘れていたので、Kindleで再読した。1957年に発売されている。  時は1964年。第三次世界大戦が勃発した。ソビエトと北西洋条約諸国との交戦から、ソビエトと中国の争いになった。そこで核兵器が使用された。使用された核兵器は4500...

学生時代に読んだ。印象に残っているが、ほとんど忘れていたので、Kindleで再読した。1957年に発売されている。  時は1964年。第三次世界大戦が勃発した。ソビエトと北西洋条約諸国との交戦から、ソビエトと中国の争いになった。そこで核兵器が使用された。使用された核兵器は4500発。コバルト核爆弾の高放射線曝露で北半球の人々の大半は死滅した。ソビエトは、実に好戦的である。ソビエトの人も中国人も放射能で死に絶えた。深海で潜行中だったために生き残ったアメリカ海軍の原潜スコーピオン号は、放射線汚染が比較的軽微で南半球に位置するオーストラリアのメルボルンへ逃げ込む。そこでは戦争の被害を受けず多くの市民が日常を送っていたが、放射線汚染の脅威は徐々に忍び寄っていた。  原子力潜水艦スコーピオン号の艦長はアメリカ海軍中佐ドワイト・タワーズ。オーストラリア軍から、連絡員として、少佐のピーター・ホームズ、放射能科学調査研究員として、オーストラリアからオズボーンが派遣される。  アメリカ軍の規律は、船の中では一歳アルコールを飲まない。厳粛なルールがある。ドワイトは、ホームズの自宅に招待され、モイラを紹介される。モイラは、自由奔放なオーストラリア女性。ブランデーを飲まないと時間が過ぎていかない。誰もが、放射能の脅威に恐れ、人類が滅亡して、最終を迎えることを知っている。北半球から、南半球に放射能が降りてくるのだった。ケアンズ、ブリスベンと放射能は襲いかかる。読みながら、放射能がそんなふうに広がっていくとは考えられないが、小説だから許される。 南半球の一番南の都市がオーストラリアのメルボルンなのだ。  スコーピオンは、メルボルンの港に係留され、北の方を調査する。メルボルンにいる時には、ドワイトは、ホームズの家にいったり、モイラの家に行ったりする。モイラは、ドワイトに好意を持っている。しかし、ドワイトはアメリカに残してきた妻と息子と娘は生きていると信じている。メルボルンで、妻には宝石を、息子には釣り具を、娘にはホッピングの贈り物を買い求める。  地球最終の日を迎えながら、人々は誠実に生活をする。庭を作り、牛を育てる。ありきたりの日常こそが重要なのだと言うことなのか。そして、安楽死できる薬さえ無料配布される。  人間より、犬は放射能の影響がなく長生きし、ウサギが一番長生きすると言う。全ての生命が死に絶えるのだ。  ブリスベンのアメリカ海軍の海軍軍隊司令官は放射能を受け入れてブリスベンで死亡する。アメリカ海軍艦隊司令長官に任命されたタワーズは、オーストラリアで被曝するよりもアメリカ海軍軍人としての死を望み、賛同する乗組員と共にスコーピオン号をアメリカに向かわせ、家族へ贈り物届けようとする。亡き家族への想いとアメリカ海軍の誇りにかけて、深く潜航していく。  放射能を淡々と受け入れていく様が、静謐に描かれる。放射能の前に全く無力な人間しか存在しない。1957年にこの作品が描かれている平和と核兵器はいらないという主張は、説得力がある。核兵器は人類を滅亡させる。核兵器は廃絶させなければならない。 2021年1月時点の核兵器保有数は13,080。ソビエトが6375。アメリカが5800。中国が320。フランス290。イギリス215。北朝鮮40。

Posted byブクログ

2013/03/12

(1968.04.14読了)(1968.04.12購入) 内容紹介 第三次大戦が勃発し、ソ連と北大西洋条約諸国との交戦はソ中戦争へとエスカレートした。水爆とコバルト爆弾の炸裂する戦争はすぐに終結したが、放射能におおわれた北半球の諸国は死滅していった。アメリカ原子力潜水艦スコーピオ...

(1968.04.14読了)(1968.04.12購入) 内容紹介 第三次大戦が勃発し、ソ連と北大西洋条約諸国との交戦はソ中戦争へとエスカレートした。水爆とコバルト爆弾の炸裂する戦争はすぐに終結したが、放射能におおわれた北半球の諸国は死滅していった。アメリカ原子力潜水艦スコーピオン号は放射能帯を避けたが、人類の最後は目前に迫っていた……。迫真の感動をもって迫る名編。

Posted byブクログ