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神の火を制御せよ の商品レビュー

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11件のお客様レビュー

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2021/08/26

戦争の惨さは計り知れない。数人の政治家、軍の上層部の意思だけで多くの国民を巻き添えさせるのはあまりにも酷い。現代でも北朝鮮、中国など共産、独裁主義的な国家では国民の意思の自由が無惨にももぎ取られ政府の言うなりにならざるを得ない国を見ると「同じ人間なのになぜ」が浮かぶ。「人間の貪欲...

戦争の惨さは計り知れない。数人の政治家、軍の上層部の意思だけで多くの国民を巻き添えさせるのはあまりにも酷い。現代でも北朝鮮、中国など共産、独裁主義的な国家では国民の意思の自由が無惨にももぎ取られ政府の言うなりにならざるを得ない国を見ると「同じ人間なのになぜ」が浮かぶ。「人間の貪欲さ・孤独であるが故の恐れて独裁的制裁」は余りにも浅ましく見える。日本人に生まれてきて良かったと実感するが、国内外の情勢を冷静に判断できる諸外国に恥ずかしくない首相であってほしい。

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2020/11/22

原爆開発に関わる多くの人々の苦悩と喜び(?)を見事に描いた問題作。非常におもしろかったので、読後、オッペンハウマーの伝記も読んでしまいました。単に歴史の転換点となったプロジェクトの話しというだけでなく、自分自身の仕事を時間軸でその位置付けを考えるきっかけになりました。

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2018/08/05

原題『Command the Morning』は旧約聖書「ヨブ記」の一節からの引用されている。 “お前は一生に一度でも朝に命令し 曙に役割を指示したことがあるか” 「朝に命令」し、「曙に役割を指示」するのは神のみ業であり、「お前は一生に一度でも朝に命令~」したことがあるかとい...

原題『Command the Morning』は旧約聖書「ヨブ記」の一節からの引用されている。 “お前は一生に一度でも朝に命令し 曙に役割を指示したことがあるか” 「朝に命令」し、「曙に役割を指示」するのは神のみ業であり、「お前は一生に一度でも朝に命令~」したことがあるかという言葉には、信心深く豊かに生きながらも不条理な災難に見舞われ、やがて世界を、自己中心的にみるようになっていたヨブをたしなめる意味がある。 これはアメリカの小説家による、加害者側の視点で描かれた原爆小説だ。著者パール・バックは『大地』などで知られるノーベル賞作家である。 「マンハッタン計画」に関わった実在の科学者たちをモデルに、その開発過程と葛藤に彼らの恋愛、夫婦や親子の確執、ソ連との諜報戦を盛りこんだ、原爆のもたらした悲劇や、その成否を問うものというよりは純粋なエンターテインメント作品。 主人公は美貌の女性科学者・ジェーン。彼女の目を通して、科学者たちがどのような思いを抱いて原爆を開発したのか、なぜ、それを日本に投下したのかを描いてゆく。 著者はジェーンに「原爆は使用させてはならない」と言わせている。本書が書かれたのは1959年。冷戦真只中という世界情勢であることを考えるとすごいことだが、原爆を使用することで起こる悲劇の実態には全く触れられていない。 原爆を投下された都市が、そこに生きている人びとがどうなるのか。 実体もなく、痛みを伴っていない描写で終始したあたり、最初は「パール・バックでもこの程度か」と思った。しかしエンターティメント作品として世に出て読まれるものであると考えると、これが当時の開発国側の、ヒロシマ・ナガサキの一般的な国民の認識度だったのかとも思う。 科学の力を使い、神のごとき力を得たと思い、「朝に命令」しようとした人間たちの驕りと無責任を描いた点で、読んでみるべきと言える作品。

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2017/08/06

8/6。 ヨブ記の引用からして、人類の高慢やエゴについて著者は一家言あったことを想像した。散々苦労のあった作家であろうから。 はじめて原爆の本を読むような人には読みやすくおすすめ。 男女ドラマなどがからみ、物語としてよく進む。 原爆や戦争というのは、一時の迷いではなく、人類な...

8/6。 ヨブ記の引用からして、人類の高慢やエゴについて著者は一家言あったことを想像した。散々苦労のあった作家であろうから。 はじめて原爆の本を読むような人には読みやすくおすすめ。 男女ドラマなどがからみ、物語としてよく進む。 原爆や戦争というのは、一時の迷いではなく、人類ならまた過ちを繰り返しそう、と心配にもなった。 その危機感を持ち続けることは間違いではあるまい。

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2012/10/25

最近ざっと読んでしまうのだが…読書となるとなんでせっかちになってしまうんだろう?? 少し前にNHKラジオで橋爪功さんが朗読したので興味をもった本。 登場人物がそれぞれ負うところをもち、揺らぎながらその日に向かう。キリスト教とアメリカを表しながら、人々の心理が抉られている。悪者など...

最近ざっと読んでしまうのだが…読書となるとなんでせっかちになってしまうんだろう?? 少し前にNHKラジオで橋爪功さんが朗読したので興味をもった本。 登場人物がそれぞれ負うところをもち、揺らぎながらその日に向かう。キリスト教とアメリカを表しながら、人々の心理が抉られている。悪者などいない。しかし惨事は起きてしまう。

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2012/07/28

恋愛・苦悩・スパイ・夫婦の確執……原爆を作った人々の愛と葛藤を描いた問題小説。被爆国に生きる我々は、この小説をどう読むのか。

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2011/09/18

広島・長崎に投下された原子爆弾を開発した「マンハッタン計画」に携わったのは男性ばかりだった。科学者でありながら大量殺戮に手を染めた彼らは、どんなジレンマに直面していたのか? 女たちはそのとき何をしていたのか?  怖ろしい秘密と高揚感によって結ばれた男たちのホモソーシャルなコミュニ...

広島・長崎に投下された原子爆弾を開発した「マンハッタン計画」に携わったのは男性ばかりだった。科学者でありながら大量殺戮に手を染めた彼らは、どんなジレンマに直面していたのか? 女たちはそのとき何をしていたのか?  怖ろしい秘密と高揚感によって結ばれた男たちのホモソーシャルなコミュニティと、そこから除外されながらも不可欠な役割を果たしていた女たち。2つの集団の間に高まるひそかな緊張感を、バックは、一人の女性科学者という「歴史のif」を投入することによって描き出してみせる。女でありながら科学に通じ、西洋人でありながらインドを母国とするジェーン・アールは、どちらにも安住を許されない異端の存在として、対置された2つの世界の関係を照らし出す役割を負っている。彼女を媒介として展開する2人の男性科学者と妻たちの緊張と和解を通して、核兵器と科学、ジェンダーをめぐる主題が浮かび上がってくる。1959年にこのような作品が書かれていたとは驚きだ。 パール・バックは『大地』だけで偉大な作家と呼ばれるに値するが、この作品を知って、あらためて偉大な作家だと感じた。

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2011/06/21

あらゆる角度から正当化されようとしている物事に対して、「前提が違う」という考え方ができるかどうか。原発のことがある今だからこそ身にしみる。 当時の科学者にも家族や生活があったという事実はいいとして、恋愛やジェンダーや仕事観に触れて描かれているところがなんだか新鮮だった。

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2009/10/07

1959年に書かれ、本国アメリカでベストセラーになり、世界各国で訳され読み継がれていながら日本語訳がされないままだった、という作品。テーマが重く深刻なので多少構えて読み始めましたが、史実を元にしたフィクションで描かれているのは人間ドラマであり、夢中になって読みました。 物語はもち...

1959年に書かれ、本国アメリカでベストセラーになり、世界各国で訳され読み継がれていながら日本語訳がされないままだった、という作品。テーマが重く深刻なので多少構えて読み始めましたが、史実を元にしたフィクションで描かれているのは人間ドラマであり、夢中になって読みました。 物語はもちろんのこと、監修をされた丸田浩さんによる解説も読みごたえがありました。

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2009/10/04

「大地」のパール・バックが書いた原爆開発に従事した科学者らを題材とする小説。90作を超える作品群のうちでもいちばんの問題作であり、1959年に発表されるやいなやベストセラーとなった本書については、長く品切れが続き、いまでは伝説の作品としてささやかれるのみであったという。この本が2...

「大地」のパール・バックが書いた原爆開発に従事した科学者らを題材とする小説。90作を超える作品群のうちでもいちばんの問題作であり、1959年に発表されるやいなやベストセラーとなった本書については、長く品切れが続き、いまでは伝説の作品としてささやかれるのみであったという。この本が2007年になって初めて邦訳されたのは意外だ。小説ではあるが、普遍的なテーマを扱っているので、「歴史」に分類しておこう。

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