人は思い出にのみ嫉妬する の商品レビュー

辻仁成【著】

2011/12/26

博多と上海を舞台にした、ちょっと悲しい物語。
話の内容自体は好きじゃないけど、要所要所で語られた、思い出は厄介なものだ。というくだりは納得。
栞が少しずつおかしくなっていく様子はつらかった。仮想の未来の思い出も悲しかった。

2011/12/15

160ページ程の小説。
「心情面での深い情熱的な大人の愛」を描く著者。
男性よりも情熱的で相手への愛に貪欲な印象の女性が多い
でもそれがトゲトゲしく感じたり、重く怖い印象を与える時もありますが…それこそが本来の女性の姿を描いている気もします。
この小説で登場する栞は、
もうこの世には居ない死者に対する己の嫉妬心に、悩まされながら苦悩する。
相手への愛の深さは、嫉妬心の深さにも比例するからこそ、叫びたくなるほど愛と嫉妬の狭間で自分の心が徐々に崩壊していく。

女性の共感が得られやすい描写があり、文面も読みやすくこの小説の美しい世界観に深く入り込んで読めました。
中盤辺りから綴られる栞の心の解放は、1つ1つ丁寧で美しい描写だなぁと感じます。

2010/12/17

Ｓくんともし付き合えたら、こういう感覚になるのかなって思いながら読んだ。
上海で出会った年下の男の子はこんなに自分を好いてくれているのに、やっぱり戸田さんじゃなきゃって思うんだな。自分のことをすいてくれているのなら、それに甘えちゃえばいいのにって思うけど、今の私の状況は、Ｙくんと付き合ってはいるけど、頭のなかはＳくんでいっぱいで、やっぱり私を好いてくれるＹくんよりも、Ｓくんがいいなって思ってしまう。わかるわかる。彼女いるけどさ。
あーあ・

2010/08/25

ストーリー自体は、う～ん・・・という感じ。
でも、この本に出てくる言葉は名言が多い。
人は人の思い出にのみ嫉妬する、という言葉は心にずっしりときた。たぶんこれから先も忘れないフレーズになると思う。

2010/05/07

やっかいな問題は、
思い出というものは万人がそれぞれ所有するものであり、
もちろん好きになった相手にも、ちゃんと・・・
その人が歩んできた人生の年数分だけ思い出が存在するのだ。
だから、時には自分の知らない他人の思い出に振り回される、
ということだって起こりうる。

「人を好きになるのは、その人の思い出になりたいからよ。
　自分の魂を相手の心の中に預けるということは、つまり、
　率先して、思い出になる、ということでしょ。
　その人のいい思い出になることができれば、人は、
　永遠を生きることが出来る。たとえ早く死んだとしても」

思い出を作ることよりも忘れることの方がずっと難しい。
一度記憶されたことはなかなか消し去れるものではない。

思い出は厄介だが、
人間が死ぬまで持ちつづけることの出来る宝物でもある。

思い出のせいで人は苦しみ、でも、思い出のせいで人は救われもする。

思い出に嫉妬するのは事実。
どう頑張っても私には届かないから。
最近そういう経験をしたからかな・・・
余計に響くものが多かったように思います。

いらない思い出はDelete出来たら楽なのにね。

2009/10/07

人間にはどうして嫉妬という感情があるのだろう。
なければ、それが原因で、苦しんだり喧嘩したりしなくてすむのに。
自分の恋人の別れた相手が気になって仕方がないというのもよくわかる。
死に別れた場合ならば、自分は思い出の中の元カノには決して勝つことはできないと思う。
人を一途に思うことは、時として相手を傷つけ、自分も傷つけ、醜い姿をさらしてしまうことでさえあるのだ。
人間って弱いなあ。

2009/10/04

ストーリーはそんなにすきじゃないけど、登場してくる一人一人がすき。細かい。ちりばめられている言葉もすき

2009/10/04

思い出には勝てない、
ってのはすげぇわかるかもｗ

実際には生きてる人相手に勝てない方が
よっぽどキツイんだけどね！

2009/10/04

痛々しくて、苦しい、愛の物語。

どうやら実話を元にしているらしい。

“愛し過ぎることは、愛さないことと一緒”
という一文がとても印象的。

2009/10/04

魅力的な言葉の数々。「思い出を作ることよりも忘れることのほうがずっと難しい。人生は風紋とは違う。石壁に刻まれた歴史の文字そのもの。」人なんて簡単に狂うことができる。