古事記(上) の商品レビュー
講談社学術文庫版。 現代訳がついているので、非常に読みやすい。 神話というのを純粋に楽しむことができない。 これは悪い癖なのだが、記述の矛盾やその裏側を読み解こうとしてしまうために、なかなか読み進める事ができない。 例えば、イザナキノ命とイザナミの命が国づくりをするくだりであ...
講談社学術文庫版。 現代訳がついているので、非常に読みやすい。 神話というのを純粋に楽しむことができない。 これは悪い癖なのだが、記述の矛盾やその裏側を読み解こうとしてしまうために、なかなか読み進める事ができない。 例えば、イザナキノ命とイザナミの命が国づくりをするくだりであるが、二柱神は矛で海をかき回してオノゴロ島をつくる。 まず海があって島をつくるというあたり、海洋民の島発見といったイメージが浮ぶ。 オノゴロ島のをつくった後に、水蛭子・淡路島・そして四国・九州を産み出す。 このオノゴロ島であるが、淡路島の南に位置する沼島らしいという研究もあるようだ。 仮にオノゴロ島を沼島であるとした場合、なぜ淡路島産み出したか? 大阪湾や瀬戸内海に入るには、友ヶ島水道や鳴門海峡があり、古代の操船技術でここを通過するのは困難だったのではないだろうか。 そこで淡路島を足がかりにし、四国・九州に国をつくったということを示唆しているのではないかと想像をめぐらせてしまう。 では、オノゴロ島にたどり着いた我々の先祖はどこから来たのか? 紀伊半島は黒潮の着地点のひとつである。 沖縄あたりからうまく黒潮にのればさほど遠くないようだ。 イザナキノ命とイザナミノ命が産み出した国土は以下の順番になる。 オノゴロ島→水蛙子(不明)→淡路島→四国→隠岐島→九州→壱岐島→対馬→佐渡島→大倭豊秋津島(本州)。 紀伊水道を通過しながら、本州には上陸しなかった何らかの事情があったのだろうかと想像を膨らませてしまう。 また、イザナミノ命の死によってイザナキノ命が黄泉の国へと旅立つくだりで、盛大な夫婦喧嘩がはじまるのだが、その結果イザナミは人間に死を与え、イザナキは人間に生をあたえるという描き方になっている。 これが生と死のはじまりであるような記述であるが、そもそもイザナキは死んで黄泉の国の住人なのだ。このあたりは何度読んでも不可解である。 それと、どうでもいいことかもしれないが、古代(おそらく8世紀半ば)のギャグが全く理解できない。 天照大御神が天の岩屋戸にかくれたとき、面白いことでおびき出そうという作戦に出る。 このとき行ったのが、以下になる。 アメノウズメノ命が笹の葉を束にして手に持ち、逆さにした桶を踏み鳴らす。 そして胸乳をかき出して、服をとめている紐を陰部まで押し下げた。 このパフォーマンスに八百万の神が一斉に笑ったというのだが、その面白さがわからない。。。。 何度読んでも、同じところでつっかえてしまうのは、まだまだ神話をイメージとして捉える力が不足しているように反省した。 自分自身の読解力を計るバロメーターとなるには最もふさわしい本かもしれない。
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丁寧で易しく、難解な文章は使われておらず、すらすらと読めました。 用語解説も大変ありがたかったです。 資料原典としてもよく載っていますし、安心して資料に選びました。
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すごく丁寧に作られてます。 若い人が古事記の世界に入って行きやすいよう、やさしく導いてくれます。 古事記を勉強したい人にはお勧め! 構成は、 原文(書き下し文)・現代語訳・語釈・解説 と至れり尽くせり! 作者の次田真幸さんはきっと優しい人だったんだろうな…、と勝手...
すごく丁寧に作られてます。 若い人が古事記の世界に入って行きやすいよう、やさしく導いてくれます。 古事記を勉強したい人にはお勧め! 構成は、 原文(書き下し文)・現代語訳・語釈・解説 と至れり尽くせり! 作者の次田真幸さんはきっと優しい人だったんだろうな…、と勝手に妄想。 明治生まれで帝大卒のスーパーインテリ。 ものすごく勉強されてものすごく研究されたんだろうな、ってのが作中からも良く伺えます。 ちなみに、上・中・下巻あります。
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上中下巻の全3巻。やっぱり記紀は欠かせません。さまざまな編者、訳者、解説者、出版社より出版されていますが、「原本を安易に簡略化していない」「必要以上に難解な解説、訳をしていない」「原本の内容に忠実」「勝手な解釈をしていない」という基準でお勧めのシリーズです。
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この本は1段ごとに ・古事記の原文の書き下し文、 ・現代語訳 ・注釈 の順番で書かれています。 書き下し文にはルビがふってあるので、 当時の文体の面影を感じることができます。 下巻には家系図があります。
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日本という国がどう出来たのか。日本人として知っておかないといけません。 単純に神話として読むのもいいと思いますが、古事記とはいえ当時の政治や権力を写した鏡でもありますのでそのような読み方をするとまた面白いと感じました。
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もっと早く読めばよかった……。 古事記、面白すぎる! 自分の中に堆積された、様々な神話・物語が結合していくのがわかる。 書き下し文、現代語訳文、注釈、解説という流れがとても古事記をわかりやすくしている。 初めて読むならこのシリーズがおススメ。
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この前古事記を扱った小説を読んだので、じゃあ本家の古事記はどうなっているのかと読んでみました。とりあえず上。 古事記原文の書き下し文、現代語訳、解説という構成。 何がありがたいって、やっぱり解説ですね。訳だけ読んでもさっぱりわからないところを、その話の成立した背景とか暗喩...
この前古事記を扱った小説を読んだので、じゃあ本家の古事記はどうなっているのかと読んでみました。とりあえず上。 古事記原文の書き下し文、現代語訳、解説という構成。 何がありがたいって、やっぱり解説ですね。訳だけ読んでもさっぱりわからないところを、その話の成立した背景とか暗喩の部分とか、古事記の中での位置づけとかを解説してくれるので、なんとか読み進めていけます。この調子で中と下にもチャレンジしようと思います。 でも何が一番読みづらいって、やっぱり神様の名前ですね。 マサカツアカツカチハヤヒアメノオシホミミノ命とかって覚えられるかー! 神様の名前のとこは、もう原文の漢字のままにしておいてくれた方が、まだ読みやすかったんじゃないかと思われる。正勝吾勝勝速日天忍穂耳命にルビうってくれた方が、絶対いい。 カタカナ羅列だと、どこで区切っていいかわかんなくなるし、読みにくいよー。
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読んだきっかけが某ゲームとかいう話だったりするんですけど、読んでみると意外と面白い。結構知ってる話あるんだなーコレが。一読を!でも神様の名前がうんざりするほど長いんでそこは注意かな。(笑)
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全訳注つきなので読みやすい!〈注〉には太字で単語の意味が書かれてあるところも有り難い。系図もあれば、なおありがたや。
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