江戸の都市計画 の商品レビュー
江戸の都市計画について書かれた本であるが、まず冒頭の「岐阜」建設の話で引き込まれた。いわく、中国の「周」の起源となった岐山・い水にならい信長が「岐阜」と命名し、ここを愛民政治の起源にしようとしたというもの。 これをきっかけに兵農分離、そして兵士は城下町に住まわせて承認を呼び込み楽...
江戸の都市計画について書かれた本であるが、まず冒頭の「岐阜」建設の話で引き込まれた。いわく、中国の「周」の起源となった岐山・い水にならい信長が「岐阜」と命名し、ここを愛民政治の起源にしようとしたというもの。 これをきっかけに兵農分離、そして兵士は城下町に住まわせて承認を呼び込み楽市楽座につなげたという話は、近世以降の都市計画を語るにあたっての原点と、確かにいえるかもしれない。 その後の家康らによる江戸建設についても、 ・太田道灌による河岸や港をきっかけにした都市開発、 ・家康による埋立地を拠点とした第一次開発、 ・さらに江戸城拡張と士農工商による第二次開発(ゾーニング)、 ・明暦の大火をきっかけにして、知恵伊豆(松平信綱)の防火計画としての性格を大いに含んだ、都市区画の整理(再ゾーニング) ・吉宗による重農・重商政策と娯楽場等の整備 ・大岡越前による防火機能としての空き地再確保 ・市民の手による都市管理・インフラ経営(永代橋の修繕など) といったポイントポイントを経て、わかりやすくてためになる上、読み物としての面白さも備えている。 ただし、ところどころ根拠にかけそうな話が含まれている(まさに読み物として読めばよいのかもしれないが)。 いちいち(会話でもない)カギかっこで改行したり日本語に誤りがあったりして読みにくさも否めない。 「東京都の政策室長だった」をうりにするなら、小説風に走るのでなく、しっかりした新書にしあげてほしかったと感じられ、もったいない。
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[ 内容 ] 埋立て地を拠点にした家康、政治都市化を企てた知恵伊豆、健全化を求めた吉宗──江戸を築いたリーダーたちの見識と決断を描く。 [ 目次 ] [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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とても面白いけれど、時々文章に手抜きが伺える。 まちづくりは国があって市民の平和な営みがあるかぎり もとめられ、続いていくもの。 割と長いスパンで興味のあることがら。 江戸のまちづくりの為に利根川が曲げられていたこと 恥ずかしながら知らなかった。 昔の江戸のまちづ...
とても面白いけれど、時々文章に手抜きが伺える。 まちづくりは国があって市民の平和な営みがあるかぎり もとめられ、続いていくもの。 割と長いスパンで興味のあることがら。 江戸のまちづくりの為に利根川が曲げられていたこと 恥ずかしながら知らなかった。 昔の江戸のまちづくりが今の東京にも名残りがある。 そういうことを知るとわくわくする。 けれど。最後に参考文献を見てショックを受ける。 「学者ではなくて小説家です。」 というのは言い訳にならないほど参考文献が悲しい。 江戸の資料は豊富なはず、孫引きはせずに 原文に当たってほしい…。 私は入門書として、ちょっと興味があったから 読んだだけだし気軽に読める新書なので多くは求めないけれど、残念感は否めない。
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都庁出身の方だけあって、公の視点で書かれている。公だけでは限界あり。自助・公助・共助が必要。まとめとして首都移転は民も移動しないと実現できないと書いてあるが、なぜ首都機能分散がよいかは疑問が残った。江戸時代は外務省が長崎、文部科学省が京都、歓楽街は名古屋にあった。東→下町。西→山...
都庁出身の方だけあって、公の視点で書かれている。公だけでは限界あり。自助・公助・共助が必要。まとめとして首都移転は民も移動しないと実現できないと書いてあるが、なぜ首都機能分散がよいかは疑問が残った。江戸時代は外務省が長崎、文部科学省が京都、歓楽街は名古屋にあった。東→下町。西→山手。川は物の流れ。道は人の流れ。しがらみ(北条早雲)のないまちづくりは、埋立地(築地など)につくるべし。川越は昔の要所。江戸期の好不況は、3サイクルあった。好況時は田沼など独裁性強し。不況時は吉宗エリートの節制が主体。(上野)広小路→防災路。橋を町民が船賃をとって自主的に建設する話は現代の第3セクター的で印象的。
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