寺田寅彦随筆集(1) の商品レビュー
小宮豊隆編。小宮豊隆って夏目漱石を崇拝してた研究者だよね?まぁそれはいいとして、寺田寅彦の随筆は自然についてのものが多い。でも田舎の壮大な大自然じゃなくて都内で触れられる手の届く範囲の自然。入院している時に見舞いにもらった花について、庭の芝、蓑虫。小さいころよく想像してた虫の視点...
小宮豊隆編。小宮豊隆って夏目漱石を崇拝してた研究者だよね?まぁそれはいいとして、寺田寅彦の随筆は自然についてのものが多い。でも田舎の壮大な大自然じゃなくて都内で触れられる手の届く範囲の自然。入院している時に見舞いにもらった花について、庭の芝、蓑虫。小さいころよく想像してた虫の視点を思い出す。自分が飛蝗だったらこの雑草もものすごく大きな建造物に見えるんじゃないかとか、生理は地球に寄り添っていてもきっと光源の概念がわからないからすごく狭く唐突な世界であたふたしてるうちに死んじゃうんだろうなとか。最近串田孫一の『山のパンセ』を読んだけど、あちらは雪山などの厳しい大自然を愛した人、寺田寅彦は身近な自然を愛した人。私はもともと自然に対しては恐怖心のほうが強いから寺田寅彦の文章のほうが読んでいて情景を想像しやすい。
Posted by
物理学者であり夏目漱石の高弟でもある著者の、科学と日常両方に対しての観察眼から生まれる気づきや笑いがたくさん詰め込まれている。。細かな日常の描写により鮮やかに風景が想像される文ばかりで、とても素敵だった。 特に冒頭の「どんぐり」という文が本当に素晴らしい。病で長くない妻との何気な...
物理学者であり夏目漱石の高弟でもある著者の、科学と日常両方に対しての観察眼から生まれる気づきや笑いがたくさん詰め込まれている。。細かな日常の描写により鮮やかに風景が想像される文ばかりで、とても素敵だった。 特に冒頭の「どんぐり」という文が本当に素晴らしい。病で長くない妻との何気ない一日と、その忘れ形見である子供との触れ合いが静かに語られていく中で、著者の妻に対する想いがかいま見えるような気がした。こーいう備忘録みたいな語りには弱いんだよ(´;ω;`)
Posted by
寺田寅彦のエッセイは珠玉という言葉がぴったりだ。特に、何気ない日常の風景を扱ったものには目を見張る。淡々とした描写のなかに、科学者の透徹した目と、情感豊かな感性の美しい溶け合いがある。この人の静かな視線は、少しクリシュナムルティに似ているような気さえする。けれど、クリシュナムルテ...
寺田寅彦のエッセイは珠玉という言葉がぴったりだ。特に、何気ない日常の風景を扱ったものには目を見張る。淡々とした描写のなかに、科学者の透徹した目と、情感豊かな感性の美しい溶け合いがある。この人の静かな視線は、少しクリシュナムルティに似ているような気さえする。けれど、クリシュナムルティの日記には俗人の視点からはかけ離れてしまった人の淋しさがある(あくまで凡俗人の僕が読んだ時に、である。氏自身への理解としてはあまりの矮小化に怒られてしまう)のに対し、寺田氏の描写にはあくまで俗世の温かさを基調としたごくごく普通の安らぎがあり、できるならこの人の心身のあり方を真似たいものだと、つくづく思わされたのである。 この中のいくつかは、折に触れて読み返そうと思う。
Posted by
現代の我々が読んで、まさか大正の時代にここまでの洞察力を持った人がいるのかと感嘆する随筆だった。それでいて芸術の香りもしっかりとする。現代の本に比べて読むのは疲れるけど、読む価値は十分にあると思った。
Posted by
請求記号:テラダ 資料番号:010757367 寅彦は、科学も芸術も人生の記録であり予言であるという点においては同じであると言っています。
Posted by
物理学者 兼 随筆家であった寺田寅彦の随筆集。 病弱であったためか、文体がなんとなく内向的な感じ。 科学者的な視点で物事を鋭く観察してるということもあれば、ゆっくりと時間が流れるような雰囲気の作品もあった。 科学や物理について哲学を展開していたり、科学と芸術の関係を考えていたり。...
物理学者 兼 随筆家であった寺田寅彦の随筆集。 病弱であったためか、文体がなんとなく内向的な感じ。 科学者的な視点で物事を鋭く観察してるということもあれば、ゆっくりと時間が流れるような雰囲気の作品もあった。 科学や物理について哲学を展開していたり、科学と芸術の関係を考えていたり。 随筆なので読んでてつまらないと思ってしまうことがあって、部分的にしか読んでない。
Posted by
面白かった。日常の些細な出来事を科学的かつ芸術的に分析しているのが楽しかった。また海外旅行記も載っていて自分にはツボにはまった。 寅彦の好きなところは、会話文が少ない、随筆で書かれているところ。 この本のような書きっぷりで日記を書いてみたい。
Posted by
科学者であり芸術家でもある寺田寅彦の随筆集。 著者のものの見方、考え方、感じ方が何ともいえず鋭くて素敵。 身の回りの風景や心象の美しさを見事に切り取ってコレクションしたような作品群である。 科学的視点と文学的視点が決してぶつかり合わず、むしろ調和しているのが凄いところだ。 理系で...
科学者であり芸術家でもある寺田寅彦の随筆集。 著者のものの見方、考え方、感じ方が何ともいえず鋭くて素敵。 身の回りの風景や心象の美しさを見事に切り取ってコレクションしたような作品群である。 科学的視点と文学的視点が決してぶつかり合わず、むしろ調和しているのが凄いところだ。 理系でなおかつ文学好きの私にはとても共感できた。 大事に本棚に並べておいて、ふと思い出したときに読みたくなる。そんな本。 ・・・ちなみに寺田寅彦といえば夏目漱石の作中人物のモデルとしても馴染み深い。 「吾輩は猫である」の寒月くんに、「三四郎」の野々宮さん。(ちなみにどちらもその作品中で私の一番好きな登場人物だったり) 彼らの人物像と本書の内容を引き比べてみると、なんだか妙に納得。
Posted by
「やっぱ寺田寅彦さん、すごいや。天才は忘れたころに役に立つ。」@Yam_eye 山中俊治 Shunji Yamanaka
Posted by
何年ぶりに読んだだろうか。タイまで持ってきてよかった。 「どんぐり」にはじまる一連の随筆はいずれも、文体美しく、読む者の脳裏に一幅の絵を描かせる。そして、随所に見られる鋭い指摘は、私の心をとらえて放さない。
Posted by