フランダースの犬 の商品レビュー
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世界名作劇場でよく知られている「フランダースの犬」と、貧しい少年が売られたストーブを追いかけていく「ニュールンベルクのストーブ」の2本。 「フランダースの犬」…驚いたのは、ネロが15歳であったことです。アニメではもっと幼いイメージだったので。 15歳であるため、アロアへの気持ちが幼馴染としての好意ではなく、女の子に向ける好意に感じられました。 「いつまでもぼくを愛しておくれ、そうしたらぼくはきっと偉くなってみせるから」 ネロのアロアへの恋心が感じられて1番好きな場面です。 画家として成功し、アロアを迎えに行く空想をしているネロを見ていると、ラストを知っているだけに、切なくなりました。 「ニュールンベルクのストーブ」…ストーブの素晴らしさを語り、売られたストーブを9歳の男の子が追いかけていく部分は共感できる部分もなく、退屈に感じました。 主人公のオーガスト少年も画家になることを夢見ていて、最後には夢へのチャンスを掴むことができたので、フランダースの犬のネロが生きていたら、こんな風に幸せになれたのかなとハッピーエンドな雰囲気を味わうことができました。
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正直で誠実な人が絶望してしまう世界では死が救いになる『フランダースの犬』 より 子供の純粋さや夢が大切にされ、それをきちんと認めて手を差し伸べる大人がいる『ニュールンベルクのストーブ』 の方が個人的に好きです。
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フランダースの貧しい少年ネロは、戦争で足を負傷した貧しい老人にひきとられ、村はずれの小屋で大画家になることを夢みながら、忠実な老犬パトラッシェと、たがいに愛しあい、たすけあって生きていく。村人たちから迫害を受けながらもルーベンスの絵に憧れ、一心に絵を書き続ける。しかし、クリスマスの朝アントワープの大伽藍に見出されたものは、この不幸な天才少年と愛犬との抱き合った亡骸だった。少年文学の傑作。 感動したアニメのラストシーン特集で定番の「フランダースの犬」。 アニメ見てなくてラストシーンしか知らず、ストーリーも全くわからなかったので、原作を手に取ってみた。 アニメのキャラクターと違って原作のネロが15歳だったことが驚き。 ちなみに併録の「ニュールンベルクのストーブ」も主人公は少年だがこちらはハッピーエンド。
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村岡花子の訳。 フランダースの犬は本当に名作だ。僕のこれまで読んだ本の中で三本の指に入る。 音楽のような心地よい文体。宗教性を帯びた深い哲学。映画のような波乱に富んだ演出。人を深く影響せずにはおかない。抜き書きするにも困るくらい。全てが美しい。 P1「ふたりは兄弟よりもこまや...
村岡花子の訳。 フランダースの犬は本当に名作だ。僕のこれまで読んだ本の中で三本の指に入る。 音楽のような心地よい文体。宗教性を帯びた深い哲学。映画のような波乱に富んだ演出。人を深く影響せずにはおかない。抜き書きするにも困るくらい。全てが美しい。 P1「ふたりは兄弟よりもこまやかな友情に結ばれていた」 P18「パトラシエの胸に大きな愛が目覚めた。それは命ある限り一度もゆるがなかった」 P22「ふたりにとってことに春と夏がうれしかった」 P23「冬はたしかにつらかった」 P30「貧困の中に育ち、運命にさいなまれ、文字はおしえられず、人間にはかえりみられないネロに、その償いとして、あるいは呪いといったほうがよいかもしれないが、いわゆる「天才」なるものが与えられていたのである。だれもそれに気づかなかったし、自分でも知らなかった。知る者はだれもいなかった。ただ一人、パトラシエだけはべつだった。」 P43「「お前はひどく貧乏なのだよ」…「いいえ、ぼくは財産を持っているもの」と、つぶやいたネロは、無邪気にも心からそう思っていたのであるーー王の権力よりも偉大な、不滅の力の富を言ったのである」 P48「「死ぬまで休むべきではない」と、パトラシエは考えていたが、その休むときも自分にはそうさきのことではないと思われることがおりおりあった。目も以前のようにはよく見えないし、夜眠ってから起きるときに体が痛むのだった。それでも、夜明けの労働の始まりを告げる五時の知らせを、教会の鐘が打ち鳴らすと、一刻も藁の寝床にとどまっていなかった。」 P56「「行こうよ、パトラシエーー大事な大事なパトラシエ。蹴って追い出されるまで待つまい。さあ、行こう」パトラシエにはネロの意志が自分の意志となるので、ふたりは小さな住居からならんでとぼとぼ出て行った。」 P60「ネロは主婦に財布をわたし、パトラシエを家の中に呼んだ。「パトラシエが今夜この大金をみつけたんです」とネロは口早に説明した。「コゼツの旦那にそう言ってください。…僕を追ってこないようにしてください。どうかみなさんでこの犬によくしてやってください」
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〈フランダースの犬〉 貧乏な少年と犬の一生 ネロとパトラシエ アントワーヌ地方 ジェハン・ダースじいさん ルーベンスの絵画 コゼツの旦那 娘のアロア 〈ニュールンベルクのストーブ〉 売られたストーブを追いかける少年の話 ヒルシュフォーゲルという名のストーブ ストーブが大好きな少...
〈フランダースの犬〉 貧乏な少年と犬の一生 ネロとパトラシエ アントワーヌ地方 ジェハン・ダースじいさん ルーベンスの絵画 コゼツの旦那 娘のアロア 〈ニュールンベルクのストーブ〉 売られたストーブを追いかける少年の話 ヒルシュフォーゲルという名のストーブ ストーブが大好きな少年オーガスト 心配する姉のドロアテ
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最後の章で、『この世に生きながらえるよりもふたりにとって死のほうが情け深かった。』という文がすごく響きました。 タナトスじゃないけどさ、もし神様がいるなら、人間よりも死の神の方がそう優しいよね。 唐突なファンタジーだけど、ニュールンベルグのストーブの話も素敵でした。 やっぱ...
最後の章で、『この世に生きながらえるよりもふたりにとって死のほうが情け深かった。』という文がすごく響きました。 タナトスじゃないけどさ、もし神様がいるなら、人間よりも死の神の方がそう優しいよね。 唐突なファンタジーだけど、ニュールンベルグのストーブの話も素敵でした。 やっぱり女性のほうがファンタジー寄りなのかな。
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本国じゃあまり人気がないらしいフランダースの犬。まぁそれもそれで…。感動はしないんだ。ただひたすら可哀想なんだ。
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ルーベンスの絵をみる前の予習として。ベルギーが舞台のフランダースの犬ですが、ベルギーではいまいち下記理由により流行らなかったらしいです。 理由:ネロ15才なのに努力せずに(働かない、物を乞わない等)死んだから。そんな負け犬が主役の童話は子供に見せたくない! ベルギーとの感覚の...
ルーベンスの絵をみる前の予習として。ベルギーが舞台のフランダースの犬ですが、ベルギーではいまいち下記理由により流行らなかったらしいです。 理由:ネロ15才なのに努力せずに(働かない、物を乞わない等)死んだから。そんな負け犬が主役の童話は子供に見せたくない! ベルギーとの感覚の違いが面白いなあ。ついでに名作劇場で馴染んでる私はネロ10才のイメージです。
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「生きていれば」 この言葉がこの本を読んでやっと受け入れられるようになりました。 ずっと、「生きていても」と思っていました。 「知らない」ことがこんなに美しく見えたのも初めてでした。
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よく知れた物語だが、あらためて読み返してみた。子どもの時は、ネロやパトラッシュ(パトラシエ)の真実な生き方に感動し、世の残酷さや不公平さに心を痛めた。ネロが流す最期の涙は悲しみの涙であり、自分も憂えの涙であった。しかし、少なからず世の中の辛苦を経験した今、この物語は違った迫り方を...
よく知れた物語だが、あらためて読み返してみた。子どもの時は、ネロやパトラッシュ(パトラシエ)の真実な生き方に感動し、世の残酷さや不公平さに心を痛めた。ネロが流す最期の涙は悲しみの涙であり、自分も憂えの涙であった。しかし、少なからず世の中の辛苦を経験した今、この物語は違った迫り方をしてくる。 「おお、神様、もうじゅうぶんでございます!」と流す涙は、悲しみの涙ではなく、願いの成就とともに自らの人生を受け入れ、死をも受け入れた喜びの涙なのかもしれないと。
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