風の十二方位 の商品レビュー
まず「ゲド戦記」を高校の図書室で読んで、だいぶしてから「闇の左手」を。そして本作、神保町で探した「コンパス・ローズ」。うすうす思っていたけど、「夜の言葉」を読んで、ああこの人はすごく真面目な人だ、真摯な人だ、と痛感。それが時につまらなさにつながることもあるのだが、基本的には面白い...
まず「ゲド戦記」を高校の図書室で読んで、だいぶしてから「闇の左手」を。そして本作、神保町で探した「コンパス・ローズ」。うすうす思っていたけど、「夜の言葉」を読んで、ああこの人はすごく真面目な人だ、真摯な人だ、と痛感。それが時につまらなさにつながることもあるのだが、基本的には面白いです。この短編集は、「オメラスから歩み去る人々」「九つのいのち」「地底の星」「セリムの首飾り」「冬の王」など、読み応えあるのがずらりですので、楽しく読めると思います。SFやファンタジーといった物語の問題、ジェンダーの問題なんかにも、とても意識的な人ですよね。
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「もの」「記憶への旅」「オメラスから歩み去る人々」など興味深い物語はあったが 基本的に終わり方がグッと来ない。尻すぼみ型?
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短編集。ル・グィンが書いたファンタジーおよびSF短編、計十七篇を集めた本。中には、ゲド戦記や闇の左手、所有せざる人々、ロカノンの世界など、ほかの長編のもとになった短編がちらほら混じっていて、ファンには嬉しい一冊。 抽象的すぎたり、文章が固くてとっつきにくい作品も、なかには若...
短編集。ル・グィンが書いたファンタジーおよびSF短編、計十七篇を集めた本。中には、ゲド戦記や闇の左手、所有せざる人々、ロカノンの世界など、ほかの長編のもとになった短編がちらほら混じっていて、ファンには嬉しい一冊。 抽象的すぎたり、文章が固くてとっつきにくい作品も、なかには若干混じっているのですが、同時に、胸をうった印象深い作品も、何本もありました。クローンを描いた「九つのいのち」、エンパシー能力をもっているせいでたえず他人の悪意にさらされつづける青年を描いた「帝国よりも大きくゆるやかに」、火星の表面に何者かが残した施設によって、常人とは異なる視野を手に入れてしまった宇宙飛行士を描いた「視野」。読んでよかったー。 ル・グィンのSFに、すっかりはまりつつあるのですが、すでに国内では手に入れにくい本、あるいは未翻訳の本もけっこうあって……ぐぐっ。 いつ続きが翻訳されるかわからない海外小説を、しばしば自力でがんばって原書を読む、気合のはいった友達がいて、見習いたいなあという気持ちだけが、いつもココロのどこかにります。しかし本気で真似する根性がありません。語学だめなんだ……
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「革命前夜」のみ再読。 「所有せざる人々」作中において無政府主義社会の革命論を打ち立てた偉大なる先駆者だったオドーですが、この短編ではひとりの血肉の通った女性として登場します。 ル・グィンの長編と短編はセットで読んでこそ味わいが増すのだなぁとしみじみ。 ル・グィンの世界には革命家...
「革命前夜」のみ再読。 「所有せざる人々」作中において無政府主義社会の革命論を打ち立てた偉大なる先駆者だったオドーですが、この短編ではひとりの血肉の通った女性として登場します。 ル・グィンの長編と短編はセットで読んでこそ味わいが増すのだなぁとしみじみ。 ル・グィンの世界には革命家はいても神も英雄も存在しない、という解説はなるほどと思いました。
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10年間に書いたものをほぼ発表順に収録した短編集。 17編も収録されており、読みごたえはかなりある。 解説が非常に的を射ていて、 『これらが何の説明・先入観もなく雑誌に載ったとしたら はっきりいって、文句のない完結性を備えた短篇はほんの数篇』 だが 『各短篇が”アーシュラ・K・ル...
10年間に書いたものをほぼ発表順に収録した短編集。 17編も収録されており、読みごたえはかなりある。 解説が非常に的を射ていて、 『これらが何の説明・先入観もなく雑誌に載ったとしたら はっきりいって、文句のない完結性を備えた短篇はほんの数篇』 だが 『各短篇が”アーシュラ・K・ル・グィン”という大長篇の部分を切り取った』 ものであるという表現が適切。 正直、彼女の世界観がとても好きな自分でさえ 受け付けられない部分や、理解し辛い部分があった。 短編としてその作品だけ読むには表現しきれておらず不完全な物が幾編かある。 ただ、こうしてまとめて読むことで多少なりともそれが緩和され、 ル・グィンという世界の空気感を味わうことが出来る。 個人的にはゲドの2巻の、あの陰鬱とした暗く混沌とした、 それでいてどこか美麗さを感じるあの雰囲気を 増幅したように感じる文章だった。 ファンタジーとしてとても素晴らしいし、発想もまた秀逸。 私は、『冬の王』『九つのいのち』『帝国よりも大きくゆるやかに』 が特に好きだった。 冬の王では、退位させること・させないことのどちらが陰謀なのか どちらとも考えられることに気付いたとき、さりげない空恐ろしさを感じた。 帝国~ではエンパスの描き方に興味を恐怖を掻き立てられた。 クローン実験について一家言あるつもりの自分は 九つのいのちの 「君は自分にむかって、おやすみを言うか?」 という言葉が胸に突き刺さった。
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Ursula K. Le Guin; The Winds Twelve Quarters (1975) オメラスから歩み去る人々; The Ones Who Walk Away from Omelas
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ル・グウィンの短編集、印象に残ったのは次の二つの短編「九つのいのち」(原題:Nine Lives)、「帝国よりも大きくゆるやかに」(原題:Vaster than Empires and More Slow)
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