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海と毒薬 の商品レビュー

3.8

36件のお客様レビュー

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2012/04/25

当時の背景にあった戦争。それにより失われていく命の重みや倫理観などを、医大生である勝呂を主人公に進んでいく物語。 戦争で死んでいく人間と病院内で死んでいく人間にどういう違いがあるのか。 捕虜を解剖して医学の役に立てるのは罪になるのか。罪を背負っていく人間でさえも、それぞれの倫理観...

当時の背景にあった戦争。それにより失われていく命の重みや倫理観などを、医大生である勝呂を主人公に進んでいく物語。 戦争で死んでいく人間と病院内で死んでいく人間にどういう違いがあるのか。 捕虜を解剖して医学の役に立てるのは罪になるのか。罪を背負っていく人間でさえも、それぞれの倫理観がある。 そういった人間の罪を題材にした、救われない中で明かりを求めるような物語です。

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2012/04/09

戦争。医者と看護婦。 “それ”は罪なことだったのだろうか。 それぞれの罪の意識と良心とは。 深く考えさせられる作品です。

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2012/03/29

罪とは何なのか?いわゆる悪事を犯しても心に呵責など起きず、いつも通りの平凡な日常が目の前を過ぎていく。何も感じなくなっていく自分...罪悪感に苦しむはずがケロっと冷静でいられてしまう。そんな自分の残忍さに嫌悪感を抱いてしまう。その残忍さこそが罪なのだろうか。 悔いることが僕たちに...

罪とは何なのか?いわゆる悪事を犯しても心に呵責など起きず、いつも通りの平凡な日常が目の前を過ぎていく。何も感じなくなっていく自分...罪悪感に苦しむはずがケロっと冷静でいられてしまう。そんな自分の残忍さに嫌悪感を抱いてしまう。その残忍さこそが罪なのだろうか。 悔いることが僕たちに残された救済なのだろうか。

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2012/01/01

重い内容。 私自身が、医療従事者だけに 言葉につまる。 戦時中とはいえ、許される行為? 今でも 対して変わらない 人体実験もどきがされていると感じるが。

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2012/01/03

生体解剖という衝撃的な生臭い事件を扱った「沈黙」と並ぶ遠藤周作の代表作。動機や思惑は様々ながら、至って平凡な人たちが如何にして狂気の所業に及んだかを描いている。そこには人間性の根源的な問題、つまり倫理的呵責性や極限状況における存在の様態を照射するという氏の作品に通底する構図がうか...

生体解剖という衝撃的な生臭い事件を扱った「沈黙」と並ぶ遠藤周作の代表作。動機や思惑は様々ながら、至って平凡な人たちが如何にして狂気の所業に及んだかを描いている。そこには人間性の根源的な問題、つまり倫理的呵責性や極限状況における存在の様態を照射するという氏の作品に通底する構図がうかがわれる。個人的には、戦争という異常な状況を考慮してもなお、勝呂の動機としての心理描写が少ないのは、氏が理想とする非論理的な存在としての弱者の救済としては不足になるのではないかと思いました。しかしながら、医者を含めて医療に携わる職業の本質や倫理といったものに思いを致す意味でも重要な作品でした。

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2011/11/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

敗戦の色が濃くなる第二次世界大戦の最中、人道に悖る行為を行った医師達がいた。捕虜を使った人体実験。 その関係者達は何故、その行為に関わる事になったのか? 一人称の登場人物は3名。しかし、この中に執刀を行い直接的に捕虜を死に至らしめた医師、軍関係者は含まれておらず、助手を務めた若手医師と看護婦からの視点で描かれる。 1人の医者は断る事が出来ずに流されるまま、もう1人の医者は罪を認識しながら良心の呵責を覚える事のない己を試すため、看護婦は己の存在場所が欲しいがために実験に加担する。 医療従事者という職業ゆえの探求心を理由としてない点は肩透かし食らった様な気もしたが、そこが筆者の狙いなのだろうか? 題名の「海と毒薬」は 平凡で一般的な世の中でひっそりと行われている(常識的な判断に背く行為)を例えてのものだろうか。 また戦時中に行われるた人体実験で得られたデータが実際に現在の医療に貢献しているという目を背けたい事実も忘れてはいけないと感じた。

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2011/10/26

中学生のころから一度は読んでみないと。と思いながら今まで読んでこなかったけどやっと読めた。 作者がキリシタンなだけあって、罪と罰の描写がとてもはっきりしている 最後まで救いようがないストーリーだった。 女の私としては子どもの産めなくなった看護婦に一番感情移入ができた。

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2011/10/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

主に医者の回想録 死の描写が印象的だった。医者が不吉な予感をした直後に患者が死んだことがあまりにもあっけなくて、そのあっけなさが死を際立たせているように感じた。

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2011/09/16

医学的な実験は、 罪なのだろうか。 一万人を救うための、 一人の犠牲は、 正義なのだろうか。 否、そうではない。 たった一人の、 サクリファイスでも、 尊い命なのだ。 発展の名のもとに、 犠牲にされた者が、 いたことを忘れてはいけない。

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2011/07/18

海の中でゆらめく海藻。 この世界の中でフラフラしながら生かされてる人間。 人間の光と影。 人を殺すことに後ろめたさを感じるか感じないか。 どっちが人間っぽいのか。たぶん影の人間のほうが人間味あると思う。 この小説に描かれてる影の人間はちゃんと罪を感じてる。 『何も...

海の中でゆらめく海藻。 この世界の中でフラフラしながら生かされてる人間。 人間の光と影。 人を殺すことに後ろめたさを感じるか感じないか。 どっちが人間っぽいのか。たぶん影の人間のほうが人間味あると思う。 この小説に描かれてる影の人間はちゃんと罪を感じてる。 『何もないこと、何も起こらないこと、平凡であることが人間にとって一番、幸福なのだと考えた。』 そーなのかもしれないし、そーじゃないのかもしれない。

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