亜愛一郎の転倒 の商品レビュー
『狼狽』には劣るものの、異形の理論、乱歩で言う所の奇妙な味が存分に味わえる短編集でした。 「藁の猫」は絵画に感じた違和感から、作者の性癖を見抜き、事件の真相まで当てて見せるという本格ミステリのお手本のような逸品。 評価の高い「砂蛾家の消失」は仕掛けられた罠に気づいてしまったのもあ...
『狼狽』には劣るものの、異形の理論、乱歩で言う所の奇妙な味が存分に味わえる短編集でした。 「藁の猫」は絵画に感じた違和感から、作者の性癖を見抜き、事件の真相まで当てて見せるという本格ミステリのお手本のような逸品。 評価の高い「砂蛾家の消失」は仕掛けられた罠に気づいてしまったのもあってか驚きはありませんでしたが、それでも良くできた作品だと思います。伏線の張り方なんかが特にね。 「珠洲子の装い」は読み終えて納得のタイトルに脱力。泡坂妻夫らしい仕掛けです。 他の短編も高水準なものばかりで楽しめました。
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色白で端整な顔立ち、身につけるものから足の爪先までビシッと決めた優男。ところが、何か行動を起こすや忽ちズッコケる。容姿は二枚目、立ち居振る舞いは三枚目という奇妙なカメラマン亜愛一郎。だが、ひとたび不可解な事態に遭遇するや、それまで鈍そうに見えた亜の頭脳が高速回転を始め、白目をむき...
色白で端整な顔立ち、身につけるものから足の爪先までビシッと決めた優男。ところが、何か行動を起こすや忽ちズッコケる。容姿は二枚目、立ち居振る舞いは三枚目という奇妙なカメラマン亜愛一郎。だが、ひとたび不可解な事態に遭遇するや、それまで鈍そうに見えた亜の頭脳が高速回転を始め、白目をむき出すときには、真相に辿り着いている。泡坂妻夫の名人芸が冴えわたる傑作短編集。
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完璧な写実性で注目された画家の絵には、指が6本の少女、針の間違った時計、開かないドアなどが存在した。はたしてその意味とは―「藁の猫」他。 名探偵亜愛一郎が活躍する傑作事件簿・8篇を収録した連作短編集第2弾! 相変わらず面白い。 数少ない条件から、しかも論理的に推理していく亜愛一郎がすごい! 一夜にして家が消えてしまった「砂蛾家の消失」は、イリュージョンのようなトリックかと思わせて・・・うーん〇〇〇〇は駄洒落だったのか! 駄洒落といえば、警察にあこがれる男が変死体を発見し、事件解明にいどむ「意外な遺骸」も面白かった。
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解説!解説を読んだ記憶を消したい。 なにしてくれてんの! それはともかく、亜愛一郎さん再び。 写実性で注目された画家の不思議な絵。一夜で消えた合掌造の家。手毬歌「あんたがたどこさ」になぞられたような遺体の謎。タクシーに忽然と現れた遺体。病院の屋上庭園でおきた殺人事件。 それぞれ...
解説!解説を読んだ記憶を消したい。 なにしてくれてんの! それはともかく、亜愛一郎さん再び。 写実性で注目された画家の不思議な絵。一夜で消えた合掌造の家。手毬歌「あんたがたどこさ」になぞられたような遺体の謎。タクシーに忽然と現れた遺体。病院の屋上庭園でおきた殺人事件。 それぞれ謎を解くのはもちろん楽しいけど、なにより亜愛一郎さんが今回はどんな「残念」ぶりを見せてくれるのか、なによりそれが楽しみになっている。あと彼のカメラマンの仕事も。 亜愛一郎の名前の説明が毎回可笑しいし。 「亜硝酸アミールの亜という字を書きます」 「亜硝酸の亜ですか。アミールのアですか」(略) 「それなら亜鉛の亜と言う方が早いじゃありませんか」 「心のない悪という字です」 さて、あと一冊?読んでおかなくちゃだめみたい。
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亜愛一郎シリーズ短編集二作目。 「藁の猫」一応、ドラマシリーズで少し絡めてたけど…期待したとおりに映像化するのは難しいだろうな、と。 「砂蛾家の消失」読みにくすぎて、途中で寝てしまったくらい。 「珠洲子の装い」読みにくいなりにも好きな感じの話になってた…読後感のせい?雰囲気のせい? 「意外な遺骸」題名からして回文になってるのね。他にも色々気付くと面白いんだろうけど、細かすぎて考えるの面倒なんだけど。(笑) 「ねじれた帽子」ブルドッグのタケルくん初登場? 「争う四巨頭」舞台にも色々思惑があるのかしら? 「三郎町路上」名前や行動から性格を推測して美人であるイメージを持つというのも微妙なものなんだろうなぁ…。 「病人に刃物」伏線やら色んなものが細かすぎて、出てきた人が別人なのか同じ人なのか、色々とごちゃごちゃになってくのが読みにくい原因かと思われる。
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またしても表紙がないため、別版で。この表紙、すごいインパクトなんだけどな。この男が亜愛一郎じゃないよね・・・。8篇の連作短編集。最後の『病人に刃物』は前何かで読んだことあるやつだった。前作は地の文が読みにくいと思ったけど、ちょっと慣れたのか、これはそんなに思わなかった。面白かった。
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シリーズ第2弾です。主人公の亜のキャラがますます光ってます。 本筋の謎の部分は、やはり「奇妙な味」風だと思います。その中で亜のずっこけぶりというか、笑いの部分が前よりも多かったようです。 最も本格テイスト溢れる「三郎町路上」がベストエピソードかな? 続いて第3弾に行きます!シリーズ通しての謎が楽しみです、どんな落ちをつけてくれるのか??
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亜愛一郎シリーズは相変わらず面白い。今回は、愛一郎の写真集の名前が「雲の瀧」であることが分かった。三角の顔をした老婦人も健在。
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トリックの冴えは1作目ほどではないが、チェスタトンばりの逆説の論理を堪能できる。粒揃い。まだまだいける。
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