愛の年代記 の商品レビュー
「ローマ人の物語」で…
「ローマ人の物語」で有名な著者の、歴史に名を残した女性達に材を採った短編集。どれも読み応えあり。
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愛に生きる女たちを描…
愛に生きる女たちを描いた作品集です。かつて女の法王がいた!? という、『女法王ジョヴァンナ』が特に痛快でおもしろいです。
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結構面白かったです。 ひとことでいうと、イタリア版まんが日本昔話(アダルト)、みたいな。 「デカメロン」「カンタベリー物語」的なのですが、塩野氏の揉みこみがありますので、より読みやすい感じです。 ・・・ ということで内容ですが、一部連作ですが、短編集といったところ。 浮気の話が多いのですが、最後の女法王ジョバンナなどは活劇的面白味のあるお話でした。あとはジュリア・デリ・アルビツィの話。これも現代では考えられませんが、ちょっと面白かったです。 大公妃ビアンカ・カペッロの回想録・・・駆け落ち同然でフィレンツェに来たら、玉の輿で再婚! ジュリア・デリ・アルビツィの話・・・妾腹の子として生をうけ日陰に生きたジュリアが命じられたのは、とある大公の性的能力証明のためにヴァージンを捧げる事とは! エメラルド色の海・・・サヴォイア公へ嫁いだフランス王女を装うピアンカリエリ伯爵夫人。対峙するのは、イタリアの漁村生まれのトルコ海賊ウルグ・アリ。たった一目の邂逅に潜む恋の話。 パリシーナ侯爵夫人の恋・・・後妻として嫁いだ夫人と義息との禁断の恋。隠すものは見つかる運命。 ドン・ジュリオの悲劇・・・フェラーラ公国の跡取り四兄弟。優男のジュリオの身から出た錆、ないしは出る杭は打たれる的な悲劇。 パンドルフォの冒険・・・貞操で名高かったキアラが、こっそりと働いた不貞。ところが余命を知ったキアラは不貞相手のパンドルフォをあの世の道連れにしようと企むが。。。 フィリッポ伯の復讐・・・フィリッポ伯に嫁いだうら若いイザベッタが企てた不貞。勘づくフィリッポ伯は泳がせ、暴き、3倍返しで妻と相手を処刑します。 ヴェネティアの女・・・有望な修行僧ガレアッツォが陥った妖艶なグリマーニ夫人の蜜。嫉妬の念は危険であることが良く分かる話。 女法王ジョバンナ・・・修道女ジョバンナが恋に落ち、男装して駆け落ち、ギリシアでその才能に花開き、遂にはローマに舞い戻り女(男装)法王として君臨するサクセスストーリ。 ・・・ ということで塩野氏によるルネサンス期イタリアの艶話集でした。 カトリックのおおらかさは、この年になると悪くないなあと感じる今日この頃。逆にプロテスタントは一つ間違えるとすべて怒られそうな印象ですね。
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イタリア滞在中に読んだので情景がより目に浮かんで楽しかった。切ない話も多かったが、何よりもイタリアの文化的豊かさは圧倒的だと感じた。 解説?は気に入らん。ロミジュリを例に出して「男は何かを成し遂げる必要があるが、女は恋だけでも生きていける」とかなんとかほざいてるけど、教養があっても女という理由で活躍の場が圧倒的に制限されていたり、不当な扱いを受けたりしていたという事実を無視して「女は恋だけで生きていける」って何様だよ。最後の女教皇ジョヴァンナが記録から抹消されたのだってそういうことだろ。だいたいジュリエットだって家のために親の決めた相手と結婚させられるという家父長制に反対したせいでああいう結末を迎えたんだろうが。 解説に関しては「お前何を読んでたん?」みたいな解像度の低さだった。
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「ビアンカ・カペッロの回想録」がお目当てだったが、他の短篇も中世イタリアの雰囲気を良く伝えてくれてた。 しかしビアンカのお相手の「フランチェスコ」って、天正遣欧少年使節の時代のトスカーナ大公!もしかするとビアンカも、伊藤マンショとワルツを踊ったりしたのかも~(笑)更に、フランチェスコの(正妻の)娘がマリー・ド・メディシス。ルイ13世の母后として君臨したけど、浮気な父親のせいで寂しい幼少期を送ったのかもしれない。
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久々に塩野七生を読みたくなって、手に取った1冊。中世ルネッサンス期近辺のヨーロッパ(主としてイタリア半島の都市国家)を舞台に、愛に翻弄され、愛を持って翻弄した女性たちの物語である。 恋愛沙汰ってのは、もうどうしようもない。惚れた腫れたの話になると理性やら理屈は吹っ飛びがち。それでもまあ、渦中の人たちは仕方ないとして、そこに、関係ない人が善意や損得勘定やもろもろから下手に関わると、大概ろくでもない(あるいは実にくだらない)結果に終わる。 部活やサークル活動、SNSやら、社内恋愛であれば、まぁまぁくだらなくても取り返しもつきやすい。芸能界やらであれば話題になっても1年もたてば禊もすむ。 ところが、歴史を動かしたり、国家存亡の危機になったりするから、恋愛沙汰もあなどれない。 額田王をめぐる兄弟の話 傾国の美女楊貴妃… 史上エラいことになってしまった恋愛沙汰って結構転がってる。 この本に出てくる話は史実のはざまに埋もれてしまったような、西洋史裏話(ゴジップ)みたいなものなのだが、塩野マジックにかかると、なんとも味わいのある物語になるねんなぁ。ちょっとした落とし噺風もあり、ホラーもあり、王道の大河恋愛風もあり。 1970年代に初刊行された本だからずいぶん古い本、ひょっとしたら最近の人にとっては古典であってもエエような本かも知れないが、今読んでも古さをあまり感じないのは、歴史を扱っているからや、俺がじじいだから…だけではないと思う。 人類不変の一大テーマを扱っていることと、塩野七生の筆の冴えが不変であることもきっと大きいんだと思う。
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いつまでたってもヨーロッパの歴史が覚えられない。なんとか帝国や王国、なんとか二世三世というだけで拒絶反応を起こしてしまいがちだが、塩野さんの小説だけは、どんなに馴染みのない国名でも人名でも、スラスラ読めてしまう。
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かくも激しく美しく恋に身をこがし、生きて愛して死んだ女たち――歴史資料の片隅に、わずかに残されたその華麗な生の証しをもとに、欲望・権謀の渦巻くイタリアの中世末期からルネサンスにかけて、《恋の歓び、哀しみ、憤り》など、さまざまな愛のかたちを抽出する。『大公妃ビアンカ・カペッロの回想...
かくも激しく美しく恋に身をこがし、生きて愛して死んだ女たち――歴史資料の片隅に、わずかに残されたその華麗な生の証しをもとに、欲望・権謀の渦巻くイタリアの中世末期からルネサンスにかけて、《恋の歓び、哀しみ、憤り》など、さまざまな愛のかたちを抽出する。『大公妃ビアンカ・カペッロの回想録』『ドン・ジュリオの悲劇』など、胸ときめく恋の物語9編を収録。 「ルネサンスの女たち」よりも少し前の時期が舞台かな。 当時、女性が愛に生きることはほぼ不可能であり、愛を貫くことによる代償がとてつもなく大きかった時代の、愛の短編集。 この作品の中で、「大公妃ビアンカ・カペッロの回想録」と「女法王ジョヴァンナ」が特に印象深い。 対極のような生き方でありながら、ともに死後はほぼ歴史から葬り去られているような感じである。 いつの世も"愛"は難しいものなのかもしれない。
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ルネサンスを中心とするイタリア史のなかで、歴史の現実に翻弄されながらもそれぞれのしかたで愛をつらぬいた9人の女性たちのすがたをえがいている作品です。 女法王ジョヴァンナと呼ばれる人物の生涯をたどった章のなかで、「アーロン収容所あたりで日本人捕虜を動物以下にあつかったイギリス人の...
ルネサンスを中心とするイタリア史のなかで、歴史の現実に翻弄されながらもそれぞれのしかたで愛をつらぬいた9人の女性たちのすがたをえがいている作品です。 女法王ジョヴァンナと呼ばれる人物の生涯をたどった章のなかで、「アーロン収容所あたりで日本人捕虜を動物以下にあつかったイギリス人のことを知ったら、中世の人々とて、さて歴史の進歩とはなにかと、頭をかしげるにちがいない」ということばが見られますが、いうまでもなくここで言及されているのはイタリア・ルネサンスの研究者であり『アーロン収容所』(中公文庫)の著者である会田雄次のことです。本書は女性たちに焦点をあてた作品ですが、歴史の冷徹な事実のなかでこそ彼女たちの生涯の輝きを語る著者のスタンスには、会田の歴史観および人間観に通じるものがあるように感じられます。
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中世末期からルネサンス期のイタリアを中心に、愛に生きた女性たちの物語。 現代のように自由恋愛が当たり前でない社会にとって、愛することは簡単に命がけの行為になり得た。 若い愛人を行李に閉じ込めて道連れにしようとしたり、男装して逃避行したり、高貴な貴婦人が羞恥プレイにはまったり。 そ...
中世末期からルネサンス期のイタリアを中心に、愛に生きた女性たちの物語。 現代のように自由恋愛が当たり前でない社会にとって、愛することは簡単に命がけの行為になり得た。 若い愛人を行李に閉じ込めて道連れにしようとしたり、男装して逃避行したり、高貴な貴婦人が羞恥プレイにはまったり。 そんな愛憎を見て、感情的に嫌悪し、憐れみを持って理解するけれど、明日には私もそんな一員になり得るかもしれない。なんてね。
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