血族 の商品レビュー
世代的に縁もゆかりもない作家だが、何気に手にとったところかなり痛かった。 横溝正史を出すまでもなく、昔の縁者というのはとにかくおどろおどろしい。実体のない、「家」「名字」を残すため、あるいは残さぬためという怨念のようなものに囚われている。 それは昭和には確かに実在したのだ。 果た...
世代的に縁もゆかりもない作家だが、何気に手にとったところかなり痛かった。 横溝正史を出すまでもなく、昔の縁者というのはとにかくおどろおどろしい。実体のない、「家」「名字」を残すため、あるいは残さぬためという怨念のようなものに囚われている。 それは昭和には確かに実在したのだ。 果たしてそれが消えゆくことが、幸か不幸か。
Posted by
江分利満氏シリーズで有名なこの作家が自分の家族のことを書いた本。最初から何度も自分の誕生日にかかる疑問や、両親のアルバムに結婚式の写真がないことにこだわる文章が何度も出てくる。多分理解力のあるひとには作家が書こうとしてなかなか文章にできないことを察することができるのだろうけれど、...
江分利満氏シリーズで有名なこの作家が自分の家族のことを書いた本。最初から何度も自分の誕生日にかかる疑問や、両親のアルバムに結婚式の写真がないことにこだわる文章が何度も出てくる。多分理解力のあるひとには作家が書こうとしてなかなか文章にできないことを察することができるのだろうけれど、どうにも奥歯に物が挟まった感じで進んでいく。浮き沈みの激しい事業家の父、定期預金を解約してまで温泉で遊ぶ家族、どういう関係かわからない美しい母方の親類。そんな両親が何も語らずに墓に持っていってしまった家系の秘密をうすうす気づいていながら恐れてもいた作家。それでも明らかにせずにはいられなかった作家。美しい母でした、で終わらせられなかったのはやはり作家という職業のせいなのだろうか。
Posted by
著者自らの一族の過去の真実・隠された事実を探っていく「私小説」。ミステリ色があるが総て事実と言うのがゾクッとする。実際の地に立ちたくなる。その場所を目にして見たい。いつかは。
Posted by
- 1
- 2