家族八景 の商品レビュー
テレパスを持つ少女がお手伝いとして、8つの家族を渡り歩く話。 人間の生々しい感情、肉欲、恨み、嫉妬を主人公を通してべったりと張り付くような感情を体験できる良本。 主人公も決して善人ではなく、主人公の行動によって次々と家族は崩壊していくが、悪人にも見えない不思議。
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表と裏の顔を他人に見透かされてたとしたら。 ぞっとするシチュレーションである。 登場する家族はそれぞれ問題を抱えているが、倫理に反すると建前では言ってしまえるが、ある程度想像に難くない範囲にあるとも言える。 それぞれ個人的な秘密をして抱えるべきものが七瀬の視点によって白日のもと...
表と裏の顔を他人に見透かされてたとしたら。 ぞっとするシチュレーションである。 登場する家族はそれぞれ問題を抱えているが、倫理に反すると建前では言ってしまえるが、ある程度想像に難くない範囲にあるとも言える。 それぞれ個人的な秘密をして抱えるべきものが七瀬の視点によって白日のもとに晒されているだけで、また七瀬の介入によって紛糾に陥るだけでこんな家族は身近な存在ではないだろうか。 テーマは現代に通ずるところが多分にある。仕事人間の定年、妄想嫉妬狂いの妻、完全を装う家族等々。人間の業がつぶさに描かれていて、著者の力量と他作品との振り幅に脱帽。
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人の心を読める能力の本ってのは結構ありそうだけど、生々しさがあって面白かった。 ただ毎回毎回セックスセックスで、リアリティを強調し過ぎというか、、、 美人で若い女の子が自分のお手伝いさんに来たらそうなるのは必然なんだろうけど、もうちょい何かやりよう無いのかなあと思った 紅蓮菩...
人の心を読める能力の本ってのは結構ありそうだけど、生々しさがあって面白かった。 ただ毎回毎回セックスセックスで、リアリティを強調し過ぎというか、、、 美人で若い女の子が自分のお手伝いさんに来たらそうなるのは必然なんだろうけど、もうちょい何かやりよう無いのかなあと思った 紅蓮菩薩の回で、七瀬のファイルカードがちぎれてるのに怪しまないのは不自然な気がした。
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主人公の特殊能力である読心術で、女中として様々な家族と関わり合う。表面上には出ない人間の心理模様が描かれていて興味深かった。
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煩悩というか、欲まみれの人が多すぎて、七瀬さんに同情してしまう。自分はテレパスでなくてよかったとさえ思う。取り敢えず七瀬シリーズの残り2冊も読みます。
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今までタイミングがなく、初筒井康隆。超能力ものとは言え、バレないように家事手伝いとして暮らすため、あまり派手な描写はないのが興味深い。他人の思っていることが流れてくる描写も、はっきり文章にはならず、断片的だったり分離していたり、上手いなと思った。平凡そうに見えても裏は下衆い人も多...
今までタイミングがなく、初筒井康隆。超能力ものとは言え、バレないように家事手伝いとして暮らすため、あまり派手な描写はないのが興味深い。他人の思っていることが流れてくる描写も、はっきり文章にはならず、断片的だったり分離していたり、上手いなと思った。平凡そうに見えても裏は下衆い人も多く描かれ、改めて人を信じられなくなりそう。
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心を読む能力を持った少女がお手伝いさんとして働きながら色々な家を転々とする話。 殆どの登場人物の性格が歪んでて面白い、家族は大抵憎み合ってるし、夫婦は不倫していて、出てくる男はすぐに主人公を犯す事を考える。 主人公も結構いい性格してるから話が暗くならない所がいい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
テレパスのお手伝いさんとは何と恐ろしい設定でしょう。紹介される家々へと渡り歩いて家庭の事情を知るくらいなら普通のお手伝いさんにも出来るけれど、主人公の七瀬はその一歩先、心まで読み取ってしまうのだから何もかも筒抜けだ。 ある程度人間は「目は口ほどに物を言う」けれど、ここまでダイレクトに思考が読み取れてしまうとメリットよりもデメリットが上回る。能力を隠しているのは正解だと思う。絶対に問題が起きるし、働ける場所がなくなるだろうし、常に身の危険に晒される。 表面上は良い夫婦良い家族でも、心の中ではバカにしていたり呪詛を振り撒いていたりする。それが全て頭の中になだれ込んできたら正気じゃいられないかもしれないな。 「紅蓮菩薩」この話は燃えたぎる人の心が目に見えるようで、読み応えがあったけれど気の毒だった。一方で七瀬の父にも読み取る能力があったと分かり、七瀬の家族に興味が湧いた。他人の家庭はどんどん暴いていくけれど、七瀬本人や家族のことはまだ不明な点が多い。
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読心術、という本当にあるかどうかわからないものが世の中には存在しているが、それが本当にできるのが、この物語の主人公である、七瀬である。 「掛け金」という彼女独特の捉え方で、自分に流れてくる相手の感情をコントロールして、なるべく影響されないようにしながら生きてはいるが、そうはいっ...
読心術、という本当にあるかどうかわからないものが世の中には存在しているが、それが本当にできるのが、この物語の主人公である、七瀬である。 「掛け金」という彼女独特の捉え方で、自分に流れてくる相手の感情をコントロールして、なるべく影響されないようにしながら生きてはいるが、そうはいってもどうしても影響されてしまう。人の心が読める、とは外から見たら羨むほどの能力だが、当の本人からしたら、迷惑な部分もあるらしい。 自分の能力が他人に知られないようにするため、ひっそりと暮らし、仕事も、住み込み家政婦として過ごす日々。 まるで本当に七瀬がいるように、細やかに設定が散りばめられていて、読んでいて非常に楽しい。 タイムトラベル、だとかAIだとか、そういったものに関する想像は人それぞれ異なっているが、存在するかのように書いてある作品は、思わずうっとりとしてしまう。 読書というものは、文字の情報から可能な限り想像力を膨らませることができるので、映画のように、イメージが固定されにくい(それはそれで楽しいのだけれども)。だから、特にSFだとかは、没入感が、作品によっては映画より勝ることも。 先日の「パプリカ」以降、すっかり筒井(さん)ワールドに迷い込んだ私は、迷わず七瀬三部作の予約をしました笑
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2022.11.4 読了。 目の前の人の心の中を読み取ってしまうというテレパシー能力を持ってしまった住み込みお手伝いの火田七瀬が様々な家庭を転々として働く8編の短編小説集。 心を読む能力を持つ少女のSF作品かと思って読み始めたら、SF?ミステリー?深層心理学?ホラー?と色々な...
2022.11.4 読了。 目の前の人の心の中を読み取ってしまうというテレパシー能力を持ってしまった住み込みお手伝いの火田七瀬が様々な家庭を転々として働く8編の短編小説集。 心を読む能力を持つ少女のSF作品かと思って読み始めたら、SF?ミステリー?深層心理学?ホラー?と色々な要素てんこ盛りという感じだった。逆にSF感は少なめに感じたし、この作品が約50年前に執筆されたのは凄いと思う。家庭内における男女の立場や社会背景は少々違えども人間の内的思想を包み隠さず表現しているのは現代でも充分面白いのではないかと思えた。 自分にはちょっと性的(心理)描写が多めでその辺りは少しばかり読んでいて疲れた。 ちなみに有名だという「七瀬ふたたび」のことは全然知らずに読んでいました。
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