スティル・ライフ の商品レビュー
初期の村上春樹をちょっと理系にした感じ? 春樹+森博嗣とでもいうか。ただ、舞台は日常生活で、日常生活を送る中で変わったことをしているから、日常にパラレルワールドが出てくる春樹とはそこが違う。 収録された二つの短編はどちらも、二重に生きることで結果的にどちらの側にも属さなくなる...
初期の村上春樹をちょっと理系にした感じ? 春樹+森博嗣とでもいうか。ただ、舞台は日常生活で、日常生活を送る中で変わったことをしているから、日常にパラレルワールドが出てくる春樹とはそこが違う。 収録された二つの短編はどちらも、二重に生きることで結果的にどちらの側にも属さなくなる自由について書いていたように思う。 観念的、詩的な感性に論理的な思考…という感じがおもしろかった。 最初に読んだ池澤作品『星に降る雪』があまりいいと思えなかったので避けていたけど、他の作品も読んでみようかと思った。
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文体や言葉のチョイスが村上春樹にそっくりだと強く感じました。 でも村上春樹の真似をしているのではなく、彼もそういう感性を持っているんだなぁと素直にそう感じました。 物語は日常的なストーリーだけど、どこか不思議な世界に行ってしまいそうな表現が多くて、日常的なものを「こういう見方...
文体や言葉のチョイスが村上春樹にそっくりだと強く感じました。 でも村上春樹の真似をしているのではなく、彼もそういう感性を持っているんだなぁと素直にそう感じました。 物語は日常的なストーリーだけど、どこか不思議な世界に行ってしまいそうな表現が多くて、日常的なものを「こういう見方もあるんだ」というのがたくさんありました。 雪の降っている風景を、雪が降っているだけでなく、自分が上昇しているのだという表現…確かに、雪景色を見るとそういう感覚に陥ることも否めないと感じました。 一回ではなかなか深読みができず、読めば読むほど発見のある本だろうなと思います。
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スティルライフ、ヤー・チャイカの2本立ての作品。1987年発行とあり、芥川賞受賞作という魅力もあり初めての作家の作品を手に取ってみた。 具合が悪く、とこに伏しつつ手に取った。 モノの見方、視点を変え、違った角度から物事を見ると、また別の視点が生まれる。 ロシア(旧ソ連)にはど...
スティルライフ、ヤー・チャイカの2本立ての作品。1987年発行とあり、芥川賞受賞作という魅力もあり初めての作家の作品を手に取ってみた。 具合が悪く、とこに伏しつつ手に取った。 モノの見方、視点を変え、違った角度から物事を見ると、また別の視点が生まれる。 ロシア(旧ソ連)にはどんな景色が存在するのだろうか、そればかりが気になる。一度シベリア鉄道であの巨大なユーラシア大陸を横断しなければ。
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不思議な透明感のある話。それぞれの登場人物の生き方の基準が、現実世界の人間と全く違うせいなのかもしれない。宇宙の星を眺めているような清浄感がある。
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静物、静かな生活、穏やかな人生。 池澤夏樹は敬遠してきたけど、手にとった。絶賛するむきもあるけれど、それほどのものかな、と首をかしげる。 褒めている点が理解できないわけではないけれど。 個人的には、これを「理科系」やら「科学」やらという語彙で褒めそやす点については全く同意できな...
静物、静かな生活、穏やかな人生。 池澤夏樹は敬遠してきたけど、手にとった。絶賛するむきもあるけれど、それほどのものかな、と首をかしげる。 褒めている点が理解できないわけではないけれど。 個人的には、これを「理科系」やら「科学」やらという語彙で褒めそやす点については全く同意できない。
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【本の内容】 遠いところへ、遠いところへ心を澄まして耳を澄まして、静かに、叙情をたたえてしなやかに―。 清新な文体で、時空間を漂うように語りかける不思議な味。 ニュー・ノヴェルの誕生。 中央公論新人賞・芥川賞受賞作『スティル・ライフ』、受賞第一作『ヤー・チャイカ』を収録。 ...
【本の内容】 遠いところへ、遠いところへ心を澄まして耳を澄まして、静かに、叙情をたたえてしなやかに―。 清新な文体で、時空間を漂うように語りかける不思議な味。 ニュー・ノヴェルの誕生。 中央公論新人賞・芥川賞受賞作『スティル・ライフ』、受賞第一作『ヤー・チャイカ』を収録。 [ 目次 ] [ POP ] まず冒頭に文章に心を動かされる。 「この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。 世界はきみを入れる容器ではない」この物語は静かな叙情をたたえ、遠いところへ耳をすませることの大切さを教えている。 [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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弟がお薦めしてくれて手にとった本。 「スティル・ライフ」と「ヤー・チャイカ」の2作収録。 どちらもなんというか不思議な小説だった。 雑音のない世界というか、なさすぎる、というか。 特にスティル・ライフはそれが顕著で、主人公「ぼく」と対話相手であるところの佐々井の他にほとんど色...
弟がお薦めしてくれて手にとった本。 「スティル・ライフ」と「ヤー・チャイカ」の2作収録。 どちらもなんというか不思議な小説だった。 雑音のない世界というか、なさすぎる、というか。 特にスティル・ライフはそれが顕著で、主人公「ぼく」と対話相手であるところの佐々井の他にほとんど色を持った登場人物は出てこない。 世界から切り離されたような世界観とも感じるし、主人公たちが世界との関わりを拒否しているようにも見える。 雪のように降り積もる世界とか、 時間とか距離とか物質から遠巻きに自分を俯瞰する感覚とか、 ところどころの感覚の描写は独特で楽しかった。 空気感的には村上春樹に近いものがある。ちょっと苦手な空気。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
中編の小説が2話収録。芥川賞受賞作品。二人の男・「ぼく」と佐々井が同居をしながらある仕事を内密に実行していく話。そして一人のロシア人と男とその娘の不思議な交流の話。作者は詩人でもあるようで、文章がとてもキレイ。 池澤さんの本は初めてなのでwikiってみた。ギリシャ始め各地へ旅をしたことと、物理学を学んだことが小説にも影響しているようだ。なるほど、理科的なセリフや、世界と日本の文化の考察が多く、作者の知識の深さを感じた。 それにしても、村上春樹の世界観に少し似てる気がした。とくに「スティル・ライフ」の淡々とした主人公の性格とか、ちょっと変わった仕事内容とか。 そして冒頭の文章。これがとても魅力的。気に入ったので記しておく。 「この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。世界は君を入れる容器ではない。 世界ときみは、2本の木が並んで立つように、どちらも寄りかかることなく、それぞれまっすぐに立っている。 きみは自分のそばに世界という立派な木があることを知っている。それを喜んでいる。世界の方はあまりきみのことを考えていないかもしれない」
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元祖自然回帰!の物語な気持ちがする。 自然、世界、宇宙と一体となる「自我」という感覚・・・ ありきたりなモチーフになってしまったのかもしれないけど、新鮮な書き方と感覚だった。
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えらく抽象的で詩的な話だった。 よくわからない部分も多々あった。 とりあえず、この著者の他の本も読んで見ようかな。
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