1,800円以上の注文で送料無料

人斬り以蔵 の商品レビュー

3.8

108件のお客様レビュー

  1. 5つ

    21

  2. 4つ

    42

  3. 3つ

    29

  4. 2つ

    5

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

幕末の「無名有実」な…

幕末の「無名有実」な人々を歴史の表舞台に引っ張り出そうという短編集。何をした人なのかも、まして名前も聞いたことの無い人々なのに、その人物の生き様はもとより、姿さえもありありと浮んでくるような描写は圧巻!!作者の探究心に敬意を表します。

文庫OFF

戦国、幕末の人物を取…

戦国、幕末の人物を取り上げた短編集。オススメは大村益次郎を描いた「鬼謀の人」。気に入ったら長編の「花神」を読んだら良いと思います。

文庫OFF

2024/02/04

人斬り以蔵と呼ばれる、岡田以蔵の長編かと勘違いして購入。短編集でした。でも結果的には良かったかも… 岡田以蔵が悲しすぎて切なすぎて。 以蔵は以蔵なりの正義があり、頭の悪さ、口下手さにつけ込んだ武市半平太が悪いと思いました。最後の拷問場面や武市に毒薬を渡された場面は本当に辛かった。...

人斬り以蔵と呼ばれる、岡田以蔵の長編かと勘違いして購入。短編集でした。でも結果的には良かったかも… 岡田以蔵が悲しすぎて切なすぎて。 以蔵は以蔵なりの正義があり、頭の悪さ、口下手さにつけ込んだ武市半平太が悪いと思いました。最後の拷問場面や武市に毒薬を渡された場面は本当に辛かった。泣きそうでした。 他の短編もなかなか読み応えがあり、幕末や秀吉、家康の時代の話もあり、楽しめました☆ 司馬遼太郎先生が大好きです。

Posted byブクログ

2023/11/06

一ノ関に行くときに時代小説かつ短編集ということで選んでみました。 (一ノ関だけに『義経』というのも考えたけど上下巻だったので断念。) ⁡ 『鬼謀の人』大村益次郎 『人斬り以蔵』岡田以蔵 『割って、城を』古田織部 『言い触らし団右衛門』塙直之 『美濃浪人』所郁太郎 『売ろう物語』後...

一ノ関に行くときに時代小説かつ短編集ということで選んでみました。 (一ノ関だけに『義経』というのも考えたけど上下巻だったので断念。) ⁡ 『鬼謀の人』大村益次郎 『人斬り以蔵』岡田以蔵 『割って、城を』古田織部 『言い触らし団右衛門』塙直之 『美濃浪人』所郁太郎 『売ろう物語』後藤基次 ⁡ 戦国時代や幕末の有名無名の志士たちを描いた短編集。 ⁡ 私は日本史の中でも戦国時代、幕末は特に苦手なこともあり、岡田以蔵すら知りませんでしたが、人物造形や出来事などは司馬遼太郎が作り上げたものだと思われるので史実はあまり関係ない。 ⁡ 才覚がありながら時代のタイミングがあわず、歴史の中に消えていった人々をあえて選んでいるような気がします。 ⁡ 大村益次郎は靖国に銅像があるのでなんとなく日中日露戦争の頃の人のイメージでしたが戊辰戦争でしたね。 ⁡ 癖のある登場人物が多いなか、普通の人が歴史に立ち会ってしまった感のある『おお、大砲』がいちばんおもしろかったかな。 ⁡ 以下、引用。 270 「わが父はたれじゃ」 ときいた。母は、ふしぎな質問にあきれ、 「父に名などあるものか」 と大真面目で叱った。 480 「私は、ひとつのことを書くときに、その人間の顔だとか、その人間の立っている場所だとか、そういうものが目の前に浮かんでこないと、なかなか書けないのです。たとえば秀吉のところに一人の使者がやってくる。そのとき秀吉の前に、小説には書かなくても、どのくらいの人数がいたか、空は晴れていたかどうか、その付近に松林があるが、それは若松で鮮やかな色をしていたかどうか、というようなことが気になるのです」

Posted byブクログ

2023/06/30

戦国、幕末に脚光を浴びることがなかった人々の生き様がなんともなんとも・・・ 白痴?故の切なさ、茶道の不思議さ、封建制度の愚かさ、男の意地の可笑しさ、才能あっても浮かばれず、妬み嫉みで簡単に人を斬る物騒な世の中、日本男子の本質は・・・ 考えることをえらい人に預けるものではないと改め...

戦国、幕末に脚光を浴びることがなかった人々の生き様がなんともなんとも・・・ 白痴?故の切なさ、茶道の不思議さ、封建制度の愚かさ、男の意地の可笑しさ、才能あっても浮かばれず、妬み嫉みで簡単に人を斬る物騒な世の中、日本男子の本質は・・・ 考えることをえらい人に預けるものではないと改めて感じた

Posted byブクログ

2023/04/02

純粋な生き様を見せる男たちに心惹かれます。苛烈なものもあれば、報われないものもあります。心に正直に生き通す覚悟がかっこいいと思いました。

Posted byブクログ

2022/09/26

Audibleで読了 いやぁ、悲しき殺戮兵器。自我を持ったら厄介払いされ、怒りや絶望のほどは如何ほどだっただろうか。超短編だったので、サラッと読めた(聞けた)のだけど、武市半平太との関係はもっと感じたいところでした

Posted byブクログ

2022/05/15

司馬遼太郎 歴史小説中編 八篇 戦国から幕末の人物像を描く。 中編とはいえ、それぞれの一生又は半生を追って、リアルな作品ばかりで、その人生から抜けられないので一日一編のペースで読了。 「鬼謀の人」鬼謀は、優れたはかりごと。 大村益次郎 維新十傑 日本陸軍創始者 陸軍建設 天才的...

司馬遼太郎 歴史小説中編 八篇 戦国から幕末の人物像を描く。 中編とはいえ、それぞれの一生又は半生を追って、リアルな作品ばかりで、その人生から抜けられないので一日一編のペースで読了。 「鬼謀の人」鬼謀は、優れたはかりごと。 大村益次郎 維新十傑 日本陸軍創始者 陸軍建設 天才的軍事戦略家 その昔感銘を受けた『花神』と同人物の話なのに全く気づかず、自分にがっかり。ぎゅっとなっているので、必要な明治維新に必要され去っていった感じ。大河ドラマの中村梅之助さんは、ビジュアルが似ている事はわかった。 「人斬り以蔵」 岡田以蔵 土佐藩士 四大人斬り(!) 足軽出身を最期まで引きずって、暗殺者として生きる。武市半平太に見出されるが結局はわかり合えていなかったようだ。何処かで読んだようなと思っていたが、コミック「サムライせんせい」だわ。 「割って、城を」 古田織部正の影武者 善十  この作品は、少し他と違う感じ。茶人で目利き、金継ぎに自身の芸術性を取り込む古田。その策略的な行動を謎めかして書かれている。その策略の一つに衆道まで使う。武士の人生らしくない生き方。 「おお、大砲」 中書新次郎 200年大砲を守ってきた一族 現代にも通じる主題。口頭伝授の不確かさ。過去の遺物の哀愁。江戸幕府の崩壊と哀愁と重なる。 「言いふらし団右衛門」 自身の才能を宣伝しまくる武士の話。 「大夫殿坂」 兄の死の真相を探り新選組への敵討ち。遊郭でのお遊びが艶かしい。 「美濃浪人」 所郁太郎 幕末の医師 かなりの才人だったが恵まれなかった。面白いことに 井上多聞の命を2度助ける。そこに歴史上に現れる。 「売ろう物語」 二人の後藤又兵衛 ナマズの又兵衛は武士に生き、柿の又兵衛は 商人として生きる。しかも幼なじみという偶然。

Posted byブクログ

2022/02/08

「名プロレスラーはパイプ椅子とでも、名試合ができる」 記憶は曖昧ですが、いぜんどこかで聞いた言葉です。 司馬遼太郎に掛かれば、どんな市井の人物でも名ストーリーにできそうです。それこそ、うちの父親でさえも(笑) 節目がなかったり、上官とそりが合わなかったり、伝え方が下手だった...

「名プロレスラーはパイプ椅子とでも、名試合ができる」 記憶は曖昧ですが、いぜんどこかで聞いた言葉です。 司馬遼太郎に掛かれば、どんな市井の人物でも名ストーリーにできそうです。それこそ、うちの父親でさえも(笑) 節目がなかったり、上官とそりが合わなかったり、伝え方が下手だったり、人間っていつの時代もコミュニケーション能力が必要なのですね。これは普遍のことなのでしょうね。 以蔵が拷問されるところ 郁太郎の応急手術の場面はとても緊迫感があって胸がざわつきました。

Posted byブクログ

2022/02/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

短編集ですが、その中から『人斬り以蔵』を読みました。 2020年の10月にも一度読んでいましたが、再読しました。 他の収録作品もちゃんと読みたいです。 ◇ この小説は、このような文章で始まる。 「不幸な男がうまれた」 身分の差別が酷い土佐で、足軽であるというだけで蔑まれていた以蔵。 そんな彼が、威張っている上士や郷士を剣で翻弄したときの快感は、いかほどだっただろう。 武市半平太に対して畏怖を抱く姿に、切なくなった。 「飼い主」である武市は自分を分かってくれず、のけ者のようにする。 なぜ自分だけそのように扱うのかという、やりきれない悲しみや苛立ちを端々から感じた。 足軽であるというコンプレックスを抱きながらも、彼はただ、何かを成し遂げたかったのだと思う。 しかし学がないから、剣の腕でなんとかするしかなかった。 難しいことは分からないが、斬ることはできる。 そんな以蔵にとって、生きる道は本当に人斬りしかなかったのだと、とても悲しい気持ちになった。 武市半平太、坂本龍馬、そして薩摩や長州の指導者たち。 彼ら「えらいひと」たちが持つ主義を以蔵は疑っていなかった。 彼らの理論と正義に誤りがあるはずがない、と。 だから攘夷のためにも開国のためにも斬った。 あまりにも素直で、不器用だと思った。 ほんとうの彼は、真っ直ぐで純粋な子どものような人だったのかもしれない。 そう思った。 【以下、引用】 以蔵は耐えた。逃げた。武市への阿訣である。無意識におもねっていた。 (あなたのために私は道化役になる) 言葉でいえば、そういう心境だったであろう。甘美な、いや、物狂しいほどに甘美な心境だった。意識してそういう心境へ自分を追いこんだわけではない。 不意にそういう心境になった。親二代の足軽らしい卑屈さがそうさせたのか。以蔵の本来の性格がそうなのか。 とまれ、以蔵の武市に対する生涯の姿勢はこのときにきまったといっていい。 「ま、参りました」 と、以蔵は竹刀を投げ、すわり、両膝をそろえて板敷の上で拝跪した。その姿に、哀れなほど足軽のにおいが出ていた。 (P106) 竜馬は、京坂を往復する勝海舟に対し、かれが幕臣中の開国論者での急先鋒であるという理由で、京の攘夷浪士が天誅を加えようとしていることを知り、以蔵に勝の用心棒を頼んだ。むろん手当ては出る。 以蔵は、よろこんで引き受けた。金銀のためではない、以蔵ははっきり言いきることができる。正義のためである。 なぜならば、土佐藩の同志から、武市とならんで尊崇されている坂本のいうことではないか。理に、誤りがあるはずがなかった。 以蔵は、常に、たれかに「思考力」をあずけていた。武市にあずけ、坂本にあずけた。そこに矛盾を感じなかった。なぜならば以蔵のみるところ、どちらも、 えらいひと だったからである。もっとも以蔵と坂本とは同年で、長幼の上下はない。それだけに以蔵は坂本のほうにむしろ敬愛を感じ、武市のほうに畏怖を感じていた。 ただ、坂本は幕臣である勝の用心棒になれ、という。幕臣、という点で、以蔵は、なんとなく、 (先生には言えないな) という感じだけはもっていた。だからこの一件はだまっていたのである。 (P140,141) 「岡田君、きみは」 と、勝はいった。 「人を殺すことを嗜むようだが、やめたほうがいい」 以蔵は、これにはおどろいた。自分が仕える飼いぬしたちは、なぜそろいもそろって意外なことばかりいうのか。以蔵は、不満であった。 「勝先生、しかしあのとき拙者が敵を斬らねば先生はいまここで歩いてはいらっしゃいませぬ」 ——それもそうだ、と思っておれも一言もなかったよ、 と勝は後年、語っている。 武市にすれば、要するに以蔵には主義も節操もない。きのうは攘夷のために人を斬り、きょうは開国のために人を斬る。狂人としか思いようがない。 (わしがこの男に剣を教えたのが、誤りであった) (P142)

Posted byブクログ