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飢餓海峡(下) の商品レビュー

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18件のお客様レビュー

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2016/03/19

弓坂元刑事と味村刑事の執念の捜索が続き、実を結ぶ。推理小説とは違った人間小説と著者は言うが、そのとおりだと思う。ユゴーの「レ・ミゼラブル」や清朝の「砂の器」と似た匂いを感じる。樽見の最期はあっけなく、ややさみしい感があった。2016.3.19

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2014/09/05

飢餓海峡。標題がこんなに内容に合う著作は少ないのでは。餓えているのは行きつ戻りつの人間たちなのか、 その業なのか。 ネタバレを恐れ書けませんが、もう少し思いやる余裕があれば、八重も京一郎も違う人生があったはず。 どちらの人生も泣けます。自分の良く知る地名が舞台で感無量です。

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2013/09/29

ミステリーとしてはあんまり評価できないが、そもそも本作は人間を描き出すことに主眼があるのだろうからその点は問題ないのかも。 ただ京一郎の描写は正直あまり感心しない。 八重とか刑事、時子らと比較し、何処か薄い感じがする。 最終的にはこの人物の葛藤に収斂していく訳だから、ミステリーと...

ミステリーとしてはあんまり評価できないが、そもそも本作は人間を描き出すことに主眼があるのだろうからその点は問題ないのかも。 ただ京一郎の描写は正直あまり感心しない。 八重とか刑事、時子らと比較し、何処か薄い感じがする。 最終的にはこの人物の葛藤に収斂していく訳だから、ミステリーとしての弱さがこの人物、ひいては本作の重厚感に物足りなさを感じさせてしまっているのかもしれない。

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2013/07/02

人物や風景の描写、時代設定がとにかく丁寧。まるで実際に起こった事件のルポタージュを読んでいるよう。日本版レ・ミゼラブルと言われれば確かにその要素は強い。樽見京一郎の壮絶な人生を、刑事の視点から追った伝記のようなものにも感じる。 十年以上、道内から関西までと時間的・空間的に広大なが...

人物や風景の描写、時代設定がとにかく丁寧。まるで実際に起こった事件のルポタージュを読んでいるよう。日本版レ・ミゼラブルと言われれば確かにその要素は強い。樽見京一郎の壮絶な人生を、刑事の視点から追った伝記のようなものにも感じる。 十年以上、道内から関西までと時間的・空間的に広大ながらも、ひとつひとつの設定が細かく、決して持て余してはいない。戦後の騒乱の残り香を感じる大作。

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2013/06/25

「飢餓海峡」のDVDを借りてみたのは、震災直後のことだった。「この主人公のように、震災前とは全く違う人間になって生きていく人もいるのかもしれない」そんなふうに考えたものである。 出演:三國連太郎、 伴淳三郎、 高倉健、 左幸子 そして改めて小説を読んでみる。 その時代描写に馴染...

「飢餓海峡」のDVDを借りてみたのは、震災直後のことだった。「この主人公のように、震災前とは全く違う人間になって生きていく人もいるのかもしれない」そんなふうに考えたものである。 出演:三國連太郎、 伴淳三郎、 高倉健、 左幸子 そして改めて小説を読んでみる。 その時代描写に馴染むのに少し手間どり、出だし読みにくかったが、八重が登場してからどんどん引き込まれていき、そのストーリの面白さと人間描写に圧倒される。 最近、現代推理小説を読んで何故か物足りなさを感じたが、作者のあとがきにその答えがあった。 作者は、「飢餓海峡」を書き終わってから推理小説への情熱を失った。 「私はそういう小説の娯楽性を否定するものではなく~(中略)。けれども、それがいくらよくきまっても、よく仕上がっても、どこかからふいてくる空しさ、それががまんならなかった。たとえ、人によろこばれなくても、おもしろがられなくても、作者がこれだけは書いておきたかった、というような小説があってもいい。しずかに、人生を語る小説があってもいい」 作者は登場人物に愛着をもち、その人生に興味を持っている。だから登場人物からは匂うような人間性がにじみ出ている。

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2013/06/04

またもや再読。はさまってるレシートの文字はすでに消えかかっているが、2004年の日付が。だからこれも何かのきっかけで映画を観たあとに読んだものだろう。であるじゃによって、読んでいても三国連太郎が浮かんでくる。 推理小説だが文芸作品でもある、こういう骨太な小説って、少なくなったな...

またもや再読。はさまってるレシートの文字はすでに消えかかっているが、2004年の日付が。だからこれも何かのきっかけで映画を観たあとに読んだものだろう。であるじゃによって、読んでいても三国連太郎が浮かんでくる。 推理小説だが文芸作品でもある、こういう骨太な小説って、少なくなったなぁ。 戦後すぐが舞台で、警察捜査も現代のように科学捜査ではなく足での捜査というところにドラマ性が生じやすいのかも。

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2011/09/20

松本清張風の社会派ミステリー。社会背景が興味深く物語に力があるが、前巻のネタバレが興趣を削いだ。殺されるヒロインがあまりにも不憫。

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2009/10/04

こういう重厚な、刑事物というのは大好き。 特に水上文学の中にあって唯一の推理小説であるということも泣かせる。 名匠内田吐夢によって映像化されたさいは、三國連太郎が極悪非道の殺人者であり、本編の主人公である樽見京一郎を熱演した。 この原作を読むと、あの映画は、たんなるダイジェス...

こういう重厚な、刑事物というのは大好き。 特に水上文学の中にあって唯一の推理小説であるということも泣かせる。 名匠内田吐夢によって映像化されたさいは、三國連太郎が極悪非道の殺人者であり、本編の主人公である樽見京一郎を熱演した。 この原作を読むと、あの映画は、たんなるダイジェスト版であったことを思い知らされる。

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