土を喰う日々 の商品レビュー
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水上勉さんは少年の頃、京都の禅寺で精進料理を教えられたそうです。精進とは「さらによくしろ」。その体験を元に、一年にわたって様々な料理を紹介されています。「土を喰う(くらう)日々」、わが精進十二ヵ月、昭和57年8月発行。高野豆腐と大根の一夜漬けが無性に食べたくなりましたw。人間は口に入れる食べ物の味覚の他に、暦の引き出しがあって、その思い出を同時に噛みしめる。はい、そんな時が間々あります!
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映画『土を喰らう十二ヵ月』のDVDを観て(映画の料理監修が、土井善晴先生なので、ちょっと気になっていたのだ)気に入り、原作を読みたいと思った。 元の本はけっこう昔に出版されていたらしいけれど、映画の情報が出た頃に再版されたのだと思う。 令和3年12月10日 32刷の本。 長く読ま...
映画『土を喰らう十二ヵ月』のDVDを観て(映画の料理監修が、土井善晴先生なので、ちょっと気になっていたのだ)気に入り、原作を読みたいと思った。 元の本はけっこう昔に出版されていたらしいけれど、映画の情報が出た頃に再版されたのだと思う。 令和3年12月10日 32刷の本。 長く読まれているのだなと思う。 文章のテンポがまさに映画での沢田研二さんの語り口で、いい気持ちで読み進める。 映像も目に浮かび、またDVDを見たくなる。 原作はエッセイなので、女性編集者との関係などのストーリーは無い。 けれど、映画での物語は原作の雰囲気を壊していないし、おばあさんと山椒の佃煮のエピソードなどは人物の続柄を少し変えてうまく取り入れている。 映像も、原作も良い。 一月の食料は、雪の中から掘り出したり、貯蔵庫から乾物を取り出して料理したり、旬を喰う日の楽しみはまだ。 春の芽吹きから、夏の収穫、秋の山のめぐみを経て、十二月、寂しい冬となり土も眠る。 一周して戻った。人の一生のようである。 土の恵みを採り、料理をするという作業の間、作者の脳裏にはいつも、子供の頃に寺で修行していた頃の和尚さんの言葉や思い出が浮かんでいる。 禅寺での料理作り。それは精進の日々である。 その時期ある物で作る、または「何もない台所から絞り出す」 そして、精進の極意は季節を喰うところにある。 何度も読み返したい1冊がまた増えた。
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若狭で生まれ禅寺に入り9歳から精進料理を作り始めた著者。軽井沢に居を構え、季節の恵みを工夫を凝らして料理し命をつなぐ。一つ一つの料理にまつわる記憶。移ろいゆく四季の幸、土の香りの溢れた料理の記録。
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料理ってその人のテクニックとかを現すものだと思ってたけどそうではないのだね。 食材を大切に思う心とか、その土地に感謝する心とかが最も大切で、人間はそれをいただいているだけでしかない。 精進料理の捉え方が変わった。 定期的に読み直したい本。
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水上勉が、若き日の修行僧時代に学んだ精進料理を元に、日々の食事をととのえる様をつづった異色の食エッセーである。「土を喰う」のタイトルのとおり、季節季節に土の畑で採れるものから献立を決め調理する。そこにあるのは、すべてを無駄にせずおいしくいただくという禅の教えに通じる考えである。そ...
水上勉が、若き日の修行僧時代に学んだ精進料理を元に、日々の食事をととのえる様をつづった異色の食エッセーである。「土を喰う」のタイトルのとおり、季節季節に土の畑で採れるものから献立を決め調理する。そこにあるのは、すべてを無駄にせずおいしくいただくという禅の教えに通じる考えである。それにしても、この本をもとに映画を作ったそうだが、どんな映画になったのだろう。不思議だ。
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著者、水上勉さん、どのような方かというと、ウィキペディアには、次のように書かれています。 ---引用開始 水上 勉(みずかみ つとむ、1919年3月8日 - 2004年9月8日)は、日本の小説家、日本芸術院会員、文化功労者。福井県生まれ。社会派推理小説『飢餓海峡』、少年時代の...
著者、水上勉さん、どのような方かというと、ウィキペディアには、次のように書かれています。 ---引用開始 水上 勉(みずかみ つとむ、1919年3月8日 - 2004年9月8日)は、日本の小説家、日本芸術院会員、文化功労者。福井県生まれ。社会派推理小説『飢餓海峡』、少年時代の禅寺での修行体験を元にした『雁の寺』、伝記小説『一休』などで知られる。禅寺を出奔して様々な職業を経ながら宇野浩二に師事、社会派推理小説で好評を博して、次第に純文学的色彩を深め、自伝的小説や女性の宿命的な悲しさを描いた作品で多くの読者を獲得。その後は歴史小説や劇作にも取り組む一方、伝記物に秀作を残した。作品の映像化も多い。 ---引用終了 で、本作の内容は、次のとおり。 ---引用開始 著者は少年の頃、京都の禅寺で精進料理のつくり方を教えられた。畑で育てた季節の野菜を材料にして心のこもった惣菜をつくる――本書は、そうした昔の体験をもとに、著者自らが包丁を持ち、一年にわたって様様な料理を工夫してみせた、貴重なクッキング・ブックである。と同時に、香ばしい土の匂いを忘れてしまった日本人の食生活の荒廃を悲しむ、異色の味覚エッセーでもある――。 ---引用終了
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映画版の方の「土を喰う十二ヵ月」を読んだ。 松たか子の存在がうるさく、この静謐な作品に女臭さが果たして必要か?と疑問だったが、こちらを読んでやっと腑に落ちた。 あちらはやはり、商業用にエンタメ化されていた。 真摯に食(自然そのもの)と向き合い、自分と、食べてくれる人を思う。 そ...
映画版の方の「土を喰う十二ヵ月」を読んだ。 松たか子の存在がうるさく、この静謐な作品に女臭さが果たして必要か?と疑問だったが、こちらを読んでやっと腑に落ちた。 あちらはやはり、商業用にエンタメ化されていた。 真摯に食(自然そのもの)と向き合い、自分と、食べてくれる人を思う。 それがただ淡々と語られている。 読みたかったのはこれだ。
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婦人雑誌「ミセス」の連載とのこと。語りかける調子で書かれており、軽井沢の野山や空気を想像しながら読んだ。 子供の頃に禅寺で暮らし、そこで教わったり自然と身についた料理や、素材の扱い方がずっと後まで著者の台所仕事の根幹にあるらしい。毎月のように、季節の実りを手にしてはそれにまつわる...
婦人雑誌「ミセス」の連載とのこと。語りかける調子で書かれており、軽井沢の野山や空気を想像しながら読んだ。 子供の頃に禅寺で暮らし、そこで教わったり自然と身についた料理や、素材の扱い方がずっと後まで著者の台所仕事の根幹にあるらしい。毎月のように、季節の実りを手にしてはそれにまつわる禅寺での思い出を書いている。筍、梅、豆腐、きのこ、栗・・・その時期に目の前にあらわれるものを、よくみて、どう食べるか。ただそのことだけを思って料理を繰り返す日々。シンプルだけど、奥深い。 「口に入れる筍の味覚のほかに、とんでもない暦のひき出しがあいて、その思い出を同時に噛みしめる。――口に入れるものが土から出た以上、心ふかく、暦をくって、地の絆が、味覚にまぶれつくのである。」 タイトルに気持ちが引っぱられているのかもしれないが、全体的に湿った大地のような印象があるエッセイ。
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新潮文庫 水上勉 土を喰う日々 著者自ら 畑に行って 食材を探し、皮も根も草も捨てることなく調理し、喰う ことにより、精進料理とは何かを問うた本 「精進料理とは、土を喰うもの」という言葉で始まり「調理とは 自分のなりわい〜道をふかめること〜おろそかにしていれば〜道に懈怠が生じ...
新潮文庫 水上勉 土を喰う日々 著者自ら 畑に行って 食材を探し、皮も根も草も捨てることなく調理し、喰う ことにより、精進料理とは何かを問うた本 「精進料理とは、土を喰うもの」という言葉で始まり「調理とは 自分のなりわい〜道をふかめること〜おろそかにしていれば〜道に懈怠が生じる」という言葉で終わる 季節に応じた 異なる食材を 調理するのは 和食ならでは。五月の筍、六月の梅干し、九月の松茸としめじは、仏教的制約のある 精進料理にあっても 食欲をそそられる。しかし、辛い大根や渋い栗が 美味しく感じるというのは 理解しがたい
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映画を観て原作を読みたくなり購入。 旬を食す=土を喰らう。 旬なものを、旬な時期に食べるのが、一番美味しいと言われる所以がよくわかった気がした。 料理をする静かな時間が想像でき、自分の気持ちまでゆとりが派生した気がする。
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