複合汚染 の商品レビュー
今でもなお読むべき本
600頁あり若干文庫としては集めですが、一気に読めるほど引き込まれます。 実際の選挙で候補者を支援する話(石原慎太郎さんも実名で登場)から始まり、イタイイタイ病や水俣病などの公害問題へと話は移ります。 問題は今も昔も変わらず、原発推進派、利益最優先の企業、責任を後回し...
600頁あり若干文庫としては集めですが、一気に読めるほど引き込まれます。 実際の選挙で候補者を支援する話(石原慎太郎さんも実名で登場)から始まり、イタイイタイ病や水俣病などの公害問題へと話は移ります。 問題は今も昔も変わらず、原発推進派、利益最優先の企業、責任を後回しにする政府、天下りの団体、後の世代を考えない経済優先主義。 加えて、日本の農業の抱える農薬問題や口にできる食べ物など、企業や政府の利益追求に対し、人としての尊厳は守られるのか?など、話は多岐に渡ります。 実際にあった話を当事者の立場で、各所に取材に行きまとめた内容で、インターネットが無い時代に、よくぞここまで調べてものだと感嘆致しました。 奇跡のリンゴの木村さんが注目を浴びらておられるようですが、木村さんも奥さんのために農薬を使わない作物の生育方法を考えられたそうです。農業従事している農家の自殺者数は驚かされました。 農薬は今も昔も使われており、形のそろった見た目の良い農作物に使われる遺伝子組み換え種子、F1作物のモンサントも商社系外資企業のモンサントとして、登場します。 作者が危惧していた合成洗剤だらけの多摩川の水は、「企業の利益優先。国と一体となって川への汚染物質垂れ流するシナリオ」とは違う将来を迎えました。今では、アユが群れをなすほどのきれいさです。 私が生まれた頃の高度経済成長期に、このような危機意識を持たれた作者がいてくれたことで、違う未来を創れることに気付きく事が出来ました。 年代問わず、おすすめの1冊です。
たかさん
科学技術への安易な依…
科学技術への安易な依存、肯定を反省させられます。自分の平和ボケぶりに愕然としました。
文庫OFF
小説かと思ったが、ほぼノンフィクションではないかと… ただただ自分が生まれる前にこれだけ危険な化学物質が垂れ流されていたのかと思うと… 我々の親世代はこんな危険な物を口にしていたのか… それは我々にも… 自分の身は自分で守らなければならないと。 50年前にこれを書いていたこと...
小説かと思ったが、ほぼノンフィクションではないかと… ただただ自分が生まれる前にこれだけ危険な化学物質が垂れ流されていたのかと思うと… 我々の親世代はこんな危険な物を口にしていたのか… それは我々にも… 自分の身は自分で守らなければならないと。 50年前にこれを書いていたことにも驚かされる。 いまのようにネットで簡単に調べられない時代に。 その取材力にも驚かされる。 本田宗一郎氏に直接話を聞きに行くなんて… でも50年前から政治は変わっていないんだな… 自民党と企業の関係は。 政治資金規正法、変わっていない… 結局、選挙はどうなったんだろう… 小説だったら、もっとおもしろかったのではないかと…
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これは小説なのかはたまたノンフィクションなのか。多分ノンフィクションに近い小説という表現が1番近いのだろうけど、色々考えさせられる内容だった。政府が舵取りをいかに誤ったか、いかに海外諸国に比べ日本が汚染物質を見境なく使用、排出し、自然を破壊してきたか。そして、いかに私達の胃に入る...
これは小説なのかはたまたノンフィクションなのか。多分ノンフィクションに近い小説という表現が1番近いのだろうけど、色々考えさせられる内容だった。政府が舵取りをいかに誤ったか、いかに海外諸国に比べ日本が汚染物質を見境なく使用、排出し、自然を破壊してきたか。そして、いかに私達の胃に入る食べ物が、汚染されたものか…。 田んぼに飛び込み溺死する蛙の話には戦慄した。 普段から有機栽培や自然農法など、オーガニックなものをなるべく摂るよう気をつけて入るが、一層口に入れるものには注意しなければと感じた。政府が全く当てにならないのはこの時代も今も変わっていない。自分で調べ、考え、自分の身を守らなければ。 そして有吉さんのジャーナリスト魂には恐れ入る。インターネットもない時代、どこにでも電話をかけ出かけ、無知を恥じず分かるまで食い付く。この執念、行動力は肖りたいところだ。
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「複合汚染」有吉佐和子著、新潮文庫、1979.05.25 514p ¥640 C0193 (2025.03.09読了)(2006.08.27購入)(1992.12.20/35刷) ☆関連図書(既読) 「沈黙の春」カーソン著・青樹簗一訳、新潮文庫、1974.02.20 「自動車の社会的費用」宇沢弘文著、岩波新書、1974.06.20 「クルマを捨てた人たち―自動車文明を考える」田中公雄著、日経新書、1977.03.25 「紀ノ川」有吉佐和子著、新潮文庫、1964.06.30 「華岡青洲の妻」有吉佐和子著、新潮文庫、1970.01.30 「出雲の阿国 上之巻」有吉佐和子著、中央公論社、1969.09.15 「出雲の阿国 中之巻」有吉佐和子著、中央公論社、1969.10.15 「出雲の阿国 下之巻」有吉佐和子著、中央公論社、1969.11.15 「和宮様御留」有吉佐和子著、講談社文庫、1981.07.15(1978.04.) 「恍惚の人」有吉佐和子著、新潮文庫、1982.05.25 「有吉佐和子スペシャル」ソコロワ山下聖美著、NHK出版、2024.12.01 内容紹介(楽天ブックスより) 工業廃液や合成洗剤で河川は汚濁し、化学肥料と除草剤で土壌は死に、有害物質は食物を通じて人体に蓄積され、生まれてくる子供たちまで蝕まれていく……。毒性物質の複合がもたらす汚染の実態は、現代科学をもってしても解明できない。おそるべき環境汚染を食い止めることは出来るのか? 小説家の直感と広汎な調査により、自然と生命の危機を訴え、世間を震撼させた衝撃の問題作!
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とてもつかみやすかった。頭の中がいくらか整った。やはり環境問題も、足元や手元からみていかないと、ここにはない話しになってしまうのだなと。 ところでこの本だけでなく、「有吉佐和子」が残したものは、今の話しとしか思えないことが多くて驚く。さらに今では複雑にされて理解が困難にされてしま...
とてもつかみやすかった。頭の中がいくらか整った。やはり環境問題も、足元や手元からみていかないと、ここにはない話しになってしまうのだなと。 ところでこの本だけでなく、「有吉佐和子」が残したものは、今の話しとしか思えないことが多くて驚く。さらに今では複雑にされて理解が困難にされてしまっているようなことが、余計な添加がされず、とてもつかみやすい。 「有吉佐和子」からエントリーしていたらよかっただろうにと思い浮かぶ人が何人もいる。
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人類の拡大が速過ぎて噴出する問題に対応し切れない、今の温暖化対策はデジャブなのかも、この時代を実際に生きた人からすると。 そうするとどこか日本の野党的な騒ぎ立てにも見えなくない本作はもしかすると理想論に過ぎる可能性もなくはなく。 こういう立場は絶対必要だけど、そこに折り合いを付け...
人類の拡大が速過ぎて噴出する問題に対応し切れない、今の温暖化対策はデジャブなのかも、この時代を実際に生きた人からすると。 そうするとどこか日本の野党的な騒ぎ立てにも見えなくない本作はもしかすると理想論に過ぎる可能性もなくはなく。 こういう立場は絶対必要だけど、そこに折り合いを付ける人たちがいてこそ価値があるので、うーむ、簡単な話ではないかと思われ。
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選挙の話に始まり、環境汚染、食物の安全性の話に入っていく本書。 恥ずかしながら日頃興味を持っていない分野の話にも関わらず、この読みやすさ、面白さよ。有吉佐和子さん、流石の筆力。 きっとご本人が、しっかり腹落ちするまで問題を理解して、自分の言葉に直して書いてくれているから、こんなに...
選挙の話に始まり、環境汚染、食物の安全性の話に入っていく本書。 恥ずかしながら日頃興味を持っていない分野の話にも関わらず、この読みやすさ、面白さよ。有吉佐和子さん、流石の筆力。 きっとご本人が、しっかり腹落ちするまで問題を理解して、自分の言葉に直して書いてくれているから、こんなにすっと内容が入ってくるんだろうな。 今の日本の農業はどうなっているのだろうと興味を持った。 堆肥の話が多くあり、やはり農業のような生命に関わる分野は綺麗事じゃなく、汚れ仕事も多くあると実感。 結局シンプルな、昔ながらの自然のシステムでやっていくのが、無理なくナチュラルでいいのだろうけど、わざわざ汚いことをやりたがる人がどれだけいるかとも思う。やはり何か農家が儲かる仕組みがないといけないのかもしれない。 いろいろなコンパニオン・プランツの話も初めて読み(バラとニンニクを一緒に植えると、バラの花の匂いが良くなって虫がつかないとか、コナギさえ生えれば、田んぼに他の雑草が生えないとか)、とても興味深くて面白かった。
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上梓は1975年。世間では環境汚染、公害問題が深刻になっていた。 あれから約50年、環境汚染という問題は、さすがに今の日本ではない(表面化してないだけかもしれないが)。しかし、異常気象、環境破壊がそれに代わっているような気がしてならない。 「文明開化した人類は、壊れない物、腐らない物、燃えない物を追い求めた結果…」と、語る。本書では、PCBに繋がるのだが、現在では農薬に限らず、プラスチックや化石燃料かもしれない。ひょっとしたらSDGsも将来的には未知数? 開発・利用された当初は、持て囃され、夢の××だったのが、実は…、というものは少なくない。 しかし、私たちにどんな選択肢が残されているのだろうか。きっと、「現状は安全といわれている」農薬を使い、車を使い、プラスチックで包装され、水道水を飲むしかない。今さら、電気もガスもネットも車もない社会に戻ることはできない。それが、環境破壊だとしても、…。 「どうして日本に原料を輸出し、化学製品を買い、なぜ日本を儲けさせるのか?」の問いに「わが国に公害をもたらしたくないから」と答えた首相の話がある。誰もが、実験台なのかもしれない、と、空を睨む。
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1974~75年の『朝日新聞』連載小説。といっても、脚色があるとはいえ、ストーリー性はない。「小説」というよりもルポルタージュに近い内容。冒頭の選挙応援に始まり(本題ではないが、これはこれで面白い。菅直人も登場)、化学肥料、除草剤、合成洗剤、食品添加物、PCB、配合飼料、自動車排...
1974~75年の『朝日新聞』連載小説。といっても、脚色があるとはいえ、ストーリー性はない。「小説」というよりもルポルタージュに近い内容。冒頭の選挙応援に始まり(本題ではないが、これはこれで面白い。菅直人も登場)、化学肥料、除草剤、合成洗剤、食品添加物、PCB、配合飼料、自動車排ガス、交通事故などあらゆる話題が提供されていて、著者の好奇心に脱帽した。 50年後の今日、著者が挙げた問題には、緩和されたものや、逆により深刻化しているものもあるだろうが、「個々の物質からの影響をバラバラに見るのではなく、これらが積み重なると何が起こるか?」という発想は、有効性を失っていないだろう。
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