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張込み の商品レビュー

4.1

39件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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2022/09/17

張込み:山口県、九州に向かう列車はどの列車なのか特定出来なかった。当時の暮らしぶりが何となく分かる。バスも登場し、昭和全盛の頃を思い起こさせる。 顔:山陰線周布駅から浜田駅までの普通列車、昭和22年の時刻表で確認したが当該の列車は確認出来ず。自らの名声を得ようとするが為に周囲を消...

張込み:山口県、九州に向かう列車はどの列車なのか特定出来なかった。当時の暮らしぶりが何となく分かる。バスも登場し、昭和全盛の頃を思い起こさせる。 顔:山陰線周布駅から浜田駅までの普通列車、昭和22年の時刻表で確認したが当該の列車は確認出来ず。自らの名声を得ようとするが為に周囲を消してゆく、自己中心的な考え方といってしまえばそれで終わりだが、そこには一般市民としての葛藤も見て取れる。最後のいもぼうの場面はちょっと出来すぎとも思いましたが圧巻でした。いもぼう、京都に長年住んでいますが名前だけ知っていて訪問した事無し。 声:2部構成になっている。1部と2部は別の話かと思っていたが最後に結びつくあたり、構成が上手。声を確認する為に落とし穴にはまってしまった。 地方紙を買う女:準急白馬、K市は甲府。毒を仕込んだのは寿司ではなくジュースだった。場面描写が面白い。 鬼畜:真面目な男がここまで転落するのかと思う。しかし女というものは恐ろしい。娘の良子が何とも可哀そうだ。 1年半待て:男をはめるべくうまく仕組みを考えたものだ。 投影:タイトルの意味は最後の結末でようやく分かった。それにしても出来のよい奥さんだ。折角、事件を解決して腕を上げたのだからもう少し瀬戸内海S市で勤務してほしかった。同様の汚職は世間至る所にあるのではないかと思う。 カルネアデスの舟板:内容的にはやや難しかったが芥川龍之介のクモの糸のようなストーリーか、見下していた人に追いつかれるのは何ともつらいものだが受け入れなければならない時もある。元教授はやはり中国地方の人。東京から鉄道で10時間以上、きたない3等車のみで中国山脈に向かう。岡山駅から伯備線か、どこの盆地だろう???土地勘があるのか中国地方はよく登場するなぁ~

Posted byブクログ

2022/07/10

「松本清張」の短篇集『張込み 傑作短編集〔五〕』を読みました。 『聞かなかった場所』、『或る「小倉日記」伝 傑作短編集〔一〕』に続き「松本清張」作品ですね。 -----story------------- 推理小説の第1集。 殺人犯を張込み中の刑事の眼に映った平凡な主婦の秘め...

「松本清張」の短篇集『張込み 傑作短編集〔五〕』を読みました。 『聞かなかった場所』、『或る「小倉日記」伝 傑作短編集〔一〕』に続き「松本清張」作品ですね。 -----story------------- 推理小説の第1集。 殺人犯を張込み中の刑事の眼に映った平凡な主婦の秘められた過去と、刑事の主婦に対する思いやりを描いて、著者の推理小説の出発点と目される『張込み』。 判決が確定した者に対しては、後に不利な事実が出ても裁判のやり直しはしない“一事不再理”という刑法の条文にヒントを得た『一年半待て』。 ほかに『声』 『鬼畜』 『カルネアデスの舟板』など、全8編を収録する。 ----------------------- 以下の8篇が収録されていますが、、、  ■張込み  ■顔  ■声  ■地方紙を買う女  ■鬼畜  ■一年半待て  ■投影  ■カルネアデスの舟板 『張込み』、『顔』、『声』、『地方紙を買う女』の4篇は短篇集『顔・白い闇』で既読、『投影』は短篇集『危険な斜面』で既読だったので、初めて読んだのは『鬼畜』、『一年半待て』、『カルネアデスの舟板』の3篇でしたね。 ちなみに、『張込み』、『声(映画タイトル:影なき声)』、『地方紙を買う女(映画タイトル:危険な女)』、『鬼畜』の4作品は映像化作品を観たことがありました。 それでも、好みの作品が集まっていたので退屈せずに読めましたね。 (詳細は忘れている部分も多いし… ) 『張込み』は、僅か30ページ足らずの作品なんですが、深みのある作品、、、 生活に疲れた女が、犯罪を犯した昔の恋人と再会し、忘れていた(隠していた?)女としての心に火を点けるところが、憎いほど巧く描かれています。 『顔』は、心理描写が巧みな作品、、、 1度見ただけの顔なんて覚えてないですよねぇ。 それに気付いた犯人が安心して大胆な行動に出ますが、そこから綻びが… 顔そのものよりも、仕草であったり、同じ情景であったりという方が記憶が蘇ることもありますよね。 『声』は、声を見分ける能力が仇になってしまう悲しい作品、、、 石炭を使ったトリックが秀逸でしたね。 『地方紙を買う女』は、戦争で夫を失った女の哀しい物語、、、 地方紙を購入した動機が連載小説… 不審に思った作家の推理が見事ですね。 でも、もしかしたら作家の推理は誤っていたのかも… と思わせるエンディングが大好きです。 『鬼畜』は、「ビートたけし」の演技の素晴らしさを感じた作品、、、 テレビドラマで観たのですが、小説のイメージそのままでしたね… 妻のお菊はドラマでは、少し優しくなっていたかな。 男と女の愛憎、愛人の残した子どもへの憎しみ… 人間って、ここまで冷徹になれるもんなんですよね。怖い… 『一年半待て』は、どこかで観たことのなるような作品、、、 もしかしたら、テレビドラマ化されていたのを観たことあるのかも… 夫殺しの原因が、夫の暴力、飲酒(泥酔)、浮気という判断で情状酌量されますが、その裏には一年半に及ぶ計画的な行動が。 怖いけど、面白かった。 『投影』は、「松本清張」作品には珍しくスッキリとしたエンディングで後味の良い作品、、、 帰宅の方向を誤らせるトリックは、現実味が薄い感じがしますが… トラブルから東京の新聞社を辞職した主人公が、地方都市に移り、再就職した地方新聞社での経験により人間的に成長する姿が活き活きと描かれていますね。 『カルネアデスの舟板』は、二人がつかまると沈んでしまう板に、二人の人間がつかまろうして、生き残るために一方を水死させた場合に罪に問われなかったという寓話を扱った物語、、、 邪魔になった恩師を、情婦を使って陥れようとするが… その行為から男女の気持ちに微妙なズレが生じ、計画は破綻してしまう。 既読作品が多かったけど、面白かったなぁ… さすが「松本清張」作品ですね。

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2022/06/10

巨匠による推理小説短編集。 トリックなど無い犯罪者と元恋人の心情を描いた作品が入っていたりと純粋なミステリーが集められたものでも無い。全体的にシンプルな筋立てが多いが寧ろ現代ミステリーの源流のような気もする。 『一年半まて』はオチも含めてゾクっとくる面白さで女性の賢さと計算違いが...

巨匠による推理小説短編集。 トリックなど無い犯罪者と元恋人の心情を描いた作品が入っていたりと純粋なミステリーが集められたものでも無い。全体的にシンプルな筋立てが多いが寧ろ現代ミステリーの源流のような気もする。 『一年半まて』はオチも含めてゾクっとくる面白さで女性の賢さと計算違いが良い。 『声』はヒッチコックの『サイコ』を思わせる意外な展開(筋立てはまるで違うけど)でこの辺もさすが文豪。

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2022/05/24

ミステリー・サスペンス作家だと思っていたが、文学者だった。構成はミステリー仕立てであり、謎が気になり最後まで読み進めてしまう。一方でただの謎解き小説にとどまらず、犯人の心情を感じさせる。生きてるって大変だよなあ、などと考えてしまう。 表題作の「張込み」は読み終わった後に数日考えて...

ミステリー・サスペンス作家だと思っていたが、文学者だった。構成はミステリー仕立てであり、謎が気になり最後まで読み進めてしまう。一方でただの謎解き小説にとどまらず、犯人の心情を感じさせる。生きてるって大変だよなあ、などと考えてしまう。 表題作の「張込み」は読み終わった後に数日考えてしまった。 ●張込み 逃亡犯の昔の恋人を張り込む刑事。その女は子持ちの男と結婚し、平凡な主婦となっていた。やがて犯人から連絡があり、女は出かけていくのだが…。 ●顔 殺人事件の前に顔を見られた男が俳優として映画に出演することになる。未来のために目撃者を消したいと考えた男がとった行動は…。まさに藪蛇。 ●声 犯行現場に間違い電話をかけてしまった交換手の女。数年後、夫の同僚の声が犯人の声とそっくりだと気づく…。 ●地方紙を買う女 指定した期間だけ地方紙を購入していた女。新聞小説が目的だと言うが、連載途中で購読を打ち切ってしまう。怪訝に感じた小説家が女の謎を追うが…。 ●鬼畜 気の小さな印刷屋の主人が情婦との間に子供を三人ももうけるが、商売が行き詰まり生活の面倒が見られなくなる。怒った情婦は子どもを印刷屋に押し付け行方不明に。怒った印刷屋の妻は夫に子どもの処分を指示するのだった…。 ●一年半待て 「一事不再理の原則」を利用し、完全犯罪を目論んだ女の話。 ●投影 大手新聞社を辞め都落ちした主人公。地方新聞社で現地の汚職事件を告発する。 ●カルネアデスの舟板 一つしかないポストを手に入れるために恩師を陥れる大学教授の話。

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2022/01/30

清張初期の短篇集。社会派推理小説の影はなく、いわゆる中間小説だが、思いの外面白い。 白眉は丹羽長秀の心中を描いた「腹中の敵」。凡人と才人という対比において、凡人の立場から見る視点は面白い。また、秀吉という人たらしにも興味を覚えてきた。 人物伝風の「菊枕」、「断碑」、「石の骨」、私...

清張初期の短篇集。社会派推理小説の影はなく、いわゆる中間小説だが、思いの外面白い。 白眉は丹羽長秀の心中を描いた「腹中の敵」。凡人と才人という対比において、凡人の立場から見る視点は面白い。また、秀吉という人たらしにも興味を覚えてきた。 人物伝風の「菊枕」、「断碑」、「石の骨」、私小説の「父系の指」、社会派推理小説の嚆矢「張り込み」、歴史小説(腹中の敵以外の2作はあまりに通俗すぎ、かつ不用意なオチで失敗だと思う)など幅広い作品を収めているが、やはり彼の主題は「人」であったといえる。 スーパースターや天才鬼才ではなく、日常の生活人たるわれわれが対象だ。それをもっとも如実に表現できるのが、彼にとってはミステリだった、ということなのだろう。 その枠を見つけるまでの、清張放浪時代の作品集である。

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2021/11/14

張込み(新潮文庫) 著作者:松本清張 発行者:新潮社 タイムライン http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698 昭和の暮らしを背景に「人間の業」を暴き出す傑作短篇集5

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2021/11/09
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そう言えば、松本清張作品をちゃんと読むの初めてかも。それでよく推理小説が好きとか言えたもんだ、ごめんなさい。 全8編の短編集には映画やドラマ化されて何度も観ているものも多かったけど、やっぱり小説だと訴えかけかたが違うので、別の角度から改めて楽しむことが出来ました。 文字だからこそ感じる恐怖。 「声」「一年半待て」とか好きだなぁ…。 他の短編集も揃えたい。

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2021/05/31
  • ネタバレ

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★★★2021年5月★★★ 読み終わってからだいぶ経ってしまった。 読書メモと断片的な記憶を頼りに書く。 ・張り込み ・顔 ・鬼畜 ・声 ・投影 ・一年半待て ・カルネアデスの舟板  ・・・等 「投影」 もっとも面白かったのは「投影」 東京での仕事に失敗し地方の新聞社に都落ちした記者が、その地域での仕事に取り組むうち、新聞記者としての仕事に対する誇りを取り戻していく、というのが大まかな流れ。不正を暴き正義を明かにする、という信念をもった社長が何とも言えぬ味を出している。 事件のトリックそのものは、実におかしい。 殺人の被害者は電灯のあるほうに自転車を漕いでいったらそこは海だったという。 つまり、被害者がいつも向かうのと逆方向に偽装の電灯を仕掛け、そちらに誘い海に落ちるよう仕掛けたわけ。 まず、被害者は電灯を頼りに帰る方向を定めていたのか?という事。電灯に群がる虫じゃあるまいし。 100万歩譲ってそうだとしても、そのまま海に落ちるか? という突っ込みどころはあるにせよ 物語自体は実に面白い。トリックの事は枝葉末節。 「カルネアデスの舟板」 大学内の勢力争いを描いたえげつない作品だ。 大海原で船から投げ出されたときに漂流する板を見つけた。ああ助かったと思ったら、その板にすがる人物がもう一人、その時あなたは・・・ これがカルネアデスの舟板。 この物語は大学内、学部内で確かな地位を築いた教授が恩師を大学に復帰させたところから始まる。 恩師というのも難しいものだ。 最終的には、二人とも沈んでしまう。もっとうまくいくやり方は無かったものか? **引用** 海中に突き落とされるのは弱いものであり、枝に残るのは力の強いものか、機転の利くものである。 「顔」 成功したい、上昇志向の強い新進気鋭の俳優が消したい過去。それは殺人。その目撃者を消すために新たな殺人を企てる。その俳優は一度見たら忘れられない個性的な顔をしている。 何故俳優を選ぶ?

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2020/12/28

「カルネアデスの板」つながりで読んだ。松本清張の解釈は、人口に膾炙しているのとちょこっとズレている気がするなあ。一応他の短篇も読む。「顔」は、前々からベストオブ清張だと思ってはたけど、今回改めてそう思った。うーん、良くできてる。ビバ・清張。スゴい。

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2018/01/21
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カバー 木村光佑 解説 平野謙 『張込み』 なんか読んでもよくわからなかったけど(私がアホだから) 刑事がずっと張り込みをする話ですね 奥さんが不倫してたっぽい 『顔』 ある劇団に所属する無名の若手俳優の話 彼は過去に、付き合っていた女性を殺した なかなか女性が別れてくれずに面倒くさくなったのだ そして、殺しに行った時、一人だけ女性の知人と会ってしまった その知人に顔を覚えられていると思い込んでいる主人公は、いつ自分の犯罪がバレるかひやひやしている しかし、俳優として大きな仕事が彼に舞い込む 映画にでて顔が全国に広まれば、あの知人男性に見られるかもしれない でも、俳優として大成したい気持ちもある そして彼はついに、その知人を殺すことを思いつくが、当の知人はまったく主人公の顔を覚えていなくて…… 主人公の思い込みが結果、どうなるか? 悪いことをしてはいけませんね~ 『声』 主人公は、かつて大きな企業の電話番を務めていた。 200人以上の社員の声を聞き分けられる彼女は 会社の中でも一目置かれる存在だった。 しかし、その彼女の良い耳が、悲劇のもとになるなんて。 『地方紙を買う女』 全く自分とは関係のない地方の新聞を買う女の話 新聞を取り寄せるために彼女は「連載されている小説が読みたいので」と嘘を書く そして、その嘘の事実が小説家本人にも知らされたことから、彼女の不幸は始まる 『鬼畜』 小さな印刷業を営む主人公の男の話 仕事が軌道に乗り始めた男は、とある店の女中と深い中になる。やがて彼女との間に子供が3人も生まれ、8年間妻に隠し通してきたが、経営が傾いたとき全てがバレる。 そして家に乗り込んできた愛人は、子供3人だけを残して実家に帰ってしまう 主人公の妻は、残されていった3人の子供を始末するよう男に命じるのだった 『一年半待て』 一度決まった判決内容は変えられないことを利用したしたたかな女の話。かわいそうなだけでは終わらない、女性の怖さを感じる 『投影』 これはよくわからなかった(おい) 『カルネアデスの舟板』 学者とかつて弟子だった男の話 師と弟子の立場が逆転する?というか、 昔の恩師を大事にしないようなやつは、 偉くなっても大成はしないのかな 自分が忘れないように書いてるんで意味わかんなくてごめんなさい

Posted byブクログ