花紋 の商品レビュー
明治大正に生きた閨秀歌人御室みやじの数奇な運命を描いた一作。 短歌のことは分からずともその展開にトリコにさせるのはさすが山崎豊子といったところ。 河内長野の因習に囚われ、自由に生きることが出来なかったみやじの苦悩を描く。 昔の慣習に囚われすぎた昔の人々は今となっては納得でき...
明治大正に生きた閨秀歌人御室みやじの数奇な運命を描いた一作。 短歌のことは分からずともその展開にトリコにさせるのはさすが山崎豊子といったところ。 河内長野の因習に囚われ、自由に生きることが出来なかったみやじの苦悩を描く。 昔の慣習に囚われすぎた昔の人々は今となっては納得できないものの、当時としてはシリアスだった面も伺える。
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因習にがんじからめのとある名家の人間模様、ヒロインの生涯を侍女の回想で綴った作品。 なんで祖父は正妻の子である息子=後継者一家と妾の娘たちを同居させたのだろう。そこから全部こじれている気がする。 名家の総領娘として大切に育てられたのは結構だが、その特権的地位もライフスタイルも...
因習にがんじからめのとある名家の人間模様、ヒロインの生涯を侍女の回想で綴った作品。 なんで祖父は正妻の子である息子=後継者一家と妾の娘たちを同居させたのだろう。そこから全部こじれている気がする。 名家の総領娘として大切に育てられたのは結構だが、その特権的地位もライフスタイルもすべて家族制度によって与えられたもので、それ(婿養子を取る)を拒否して和歌の道を取るならば家出、駆け落ちしかないと思う。婿養子さんとギスギスするのはあんたが悪い。
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山崎豊子さん作、女主人公の作品の中では今のところこちらがベストとなりました。 歌人御室みやじこと葛木郁子の人生を一時彼女と共に暮らした女学生が訪ね聞き歩く形で綴られる物語。 山崎豊子さん作品としては個人的に新鮮さを感じ楽しんで読めた。
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なんて悲しく、そして気高い生涯なんでしょう‥。美貌と、才能と、大地主の長女としてのあふれるほどの富を持ちながら、突如 早逝されたと記され、歌壇から消息を絶った歌人・小室みやじ。しかし彼女は生きていたのです。その謎をゆっくりと紐解くように、彼女に54年間付き添った老婢のよしが語り始...
なんて悲しく、そして気高い生涯なんでしょう‥。美貌と、才能と、大地主の長女としてのあふれるほどの富を持ちながら、突如 早逝されたと記され、歌壇から消息を絶った歌人・小室みやじ。しかし彼女は生きていたのです。その謎をゆっくりと紐解くように、彼女に54年間付き添った老婢のよしが語り始めます。 大正時代の美しい 尊敬語、謙譲語で語られる文章は、現代の私たちには 読みづらいと感じるかもしれませんが、それこそがミステリアスで残酷な運命をたどった 小室みやじをよく表現していると思います。 このお話にはモデルがいると噂され、ネットでもこの人では?と名指されていて、あとがきでは作者はきっぱりと否定していますが、 この時代、 似たケースはあったのではないでしょうか。 古い因習にがんじがらめにされ一生を棒に振ってしまった美しく 気高い女性たちが 他にもいたような気がします。 巻末の富士正晴さんの解説は無い方が良かったように思います。 男が描けていないと批評されてますが 、本書は 女を書いた小説です。主人公に苦しみを与えたのは全て男たちの仕業です。 富士正晴先生には申し訳ないですが 、「だから 男って女を分かっていない」と申し上げたいです。
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2016/6/10読了 大きな地主の惣領娘と言うことで、家の重みと、また誇り高い性格が、主人公を追い詰める。 現代とは異なる、「家」の格式や身分制度が、こんなにも人々を苦しめるのか。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
早逝が伝えられていた一人の女性歌人が、実は生きていたーーおもろないわけない。期待を裏切らず、真相が明らかになっていくとともに加速度的に興味も増し、ページを繰る手が止まらない。時代背景ゆえに調べ学びながらの読書となったものの、見事に引き込まれ僅か2日ほどで完読してしまった。 早逝したという略歴を訂正する、その過程で紐解くことになる一人の女性の人生は、あまりにも壮絶だった。 葛城郁子は農地改革以前の大地主の総領娘として生まれた。 「畑を借りている人って、お米を作ってもお麦しか食べられないの?そんな可哀そうな人から、どうして地主がお米を取ったりするの」 僅か6歳でそんな疑問を抱く彼女は、しきたりや世間体よりも「自分の心」が大切だと考え、それ故に多くの苦しみを抱えることになる。彼女の前には、家のために生きなければならず、自らの意志をまったく無視される人生しか選択の余地がなかったからだ。 これは、侍女のよし、郁子が恋に落ちた国文学者荻原秀玲が語る郁子についての物語だが、夫が語り手となった場合まったく違う作品になりそうである。郁子さんは可哀そうな人だけど、その夫もまた、全く愛されない妻を持ち、最期は世間の目を忍ぶ地獄牢のような場所で狂人に仕立てられ死に征くなんて、いくらなんでも可哀そうかなと・・。何よりも、この時代の"常識"が諸悪の根源だと思う。こんなに女性が生きづらい時代は真っ平御免だけど、こうして読む分には非常に興味深く、炎が燃えるように強く生きる女性の話はたまらなく好き。
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粘着質で濃厚な世界観がたまらないです。 情念の描かれ方が良いです。 現代からは想像もつかない、戦争と旧態依然として家に殺される女流作家。 想像がつかないだけに重く、知らない価値観に蹂躙されます。
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やはりこの人は白い巨塔以前と以後にわけることができるな、筆のタッチが違うような、話も女性にスポットをあてたものが多いように思う。 大地主の家にうまれ、300年の家の風習に雁字搦めにされながら生きた女性の話。 ミステリタッチの部分もあり謎を解きながら読めた。 ろくな男がいない苦笑
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河内長野出身なので、地名など懐かしく読みました。現代シーンはいらない気がしましたが・・ この時代の女性の生き方、葛藤、興味深く読めました^^
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河内長野の大地主葛城家の総領娘として多くの人にかしずかれて育った郁子。やがて歌人として花開きながらも、その人生はあまりにも激しく過酷で悲しいものだった…。 明治の大地主の因習と、複雑な家庭環境。一概に誰が悪く誰が正しいとも言えず、郁子でさえも時に悪魔となり時に悲劇のヒロインとなる...
河内長野の大地主葛城家の総領娘として多くの人にかしずかれて育った郁子。やがて歌人として花開きながらも、その人生はあまりにも激しく過酷で悲しいものだった…。 明治の大地主の因習と、複雑な家庭環境。一概に誰が悪く誰が正しいとも言えず、郁子でさえも時に悪魔となり時に悲劇のヒロインとなる。 解説では結構辛口に評されていたが、これはこれで趣も感じられる、深みのある作品だと思う。
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