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室生犀星詩集 の商品レビュー

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20件のお客様レビュー

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室生犀星といえば、「…

室生犀星といえば、「ふるさとは遠きにありて思ふもの・・」が有名であるが、そのほかにも素敵な詩がいっぱいある。是非、この一冊はおすすめである。

文庫OFF

2023/11/21

室生犀星の詩をしっかりまとめて読んだのははじめてかもしれない。 健全潔癖な、生まれたての無垢な自然主義的ヒューマニズムが苦手な私には、室生犀星はとっつきにくい文学者だなんて、そんな先入観があったから。それは半分は当たっていて半分は間違っていた。 解説で編者の福永武彦が書いている...

室生犀星の詩をしっかりまとめて読んだのははじめてかもしれない。 健全潔癖な、生まれたての無垢な自然主義的ヒューマニズムが苦手な私には、室生犀星はとっつきにくい文学者だなんて、そんな先入観があったから。それは半分は当たっていて半分は間違っていた。 解説で編者の福永武彦が書いているように、犀星は武者小路実篤みたいな「楽天的自然主義」とはあきらかに距離を置いている。ひねた自虐表現のような、まっすぐ実直ながらやはりペーソスと言わざるを得ないような、そんな苦みが彼の詩にはあって、しかもそれが年経るにしたがって良い感じに熟成されていく。 若い頃の詩より、私はだんぜん晩年の詩のほうが好き。たぶん、50年前のひとならそうは言うまいが。

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2023/03/13

なんと優しい心の持ち主かと思う。小さな命や自然への憧憬に溢れた作品が多い。 私の好きな作品をあげたい。 小景異情 三月 寂しき春 青き魚を釣る人 凍えたる魚 夕の歌 燃える 螢 高麗の花 野の花

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2022/09/11

室生犀星は言葉がぶきっちょでガタゴトしている。そこに時折胸を締め付けるような情感が現れる。「現在」がどんどん過ぎ去って過去になることへの郷愁。

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2021/12/15

著者、室生犀星さん、どのような方かというと、ウィキペディアには次のように書かれています。 室生 犀星(むろう さいせい、本名: 室生 照道〈てるみち〉、1889年〈明治22年〉8月1日 - 1962年〈昭和37年〉3月26日)は、日本の詩人・小説家。別号に「魚眠洞」、「魚生」、...

著者、室生犀星さん、どのような方かというと、ウィキペディアには次のように書かれています。 室生 犀星(むろう さいせい、本名: 室生 照道〈てるみち〉、1889年〈明治22年〉8月1日 - 1962年〈昭和37年〉3月26日)は、日本の詩人・小説家。別号に「魚眠洞」、「魚生」、「殘花」、「照文」。石川県金沢市生まれ。別筆名に「秋本健之」。 で、今回手にした、『室生犀星詩集』の内容は、次のとおり。(コピペです) “愛と土とを踏むことはうれしい"生後間もなく生母の懐ろを離れ、貧しい養家で育てられた犀星は、一人の生活人として自ら苦しみ、自ら求め、その感情を詩に託して赤裸々に告白し続けた。短い詩型に凝縮された抒情は、口語と文語との融和の上に生れた独特のリズムに乗って、詩を愛する人の心に静かに沁み入る。生涯に公刊された24冊の詩集から代表的な作品187編を収める。 17ページに書かれた詩の一節。 ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの ここは有名ですね。

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2021/07/22

酣燈社が出てこなかったのでとりあえず なんだか酷く大人びた悲しさだなと胸が痛くなりながら、また、美化されていない等身大の自然や故郷の美しさにこころ震わせながら読みすすめた。 漫画「月に吠えらんねえ」で、友人たちがそれぞれの見方で風景を眺めている中、犀はただありのままの風景を目...

酣燈社が出てこなかったのでとりあえず なんだか酷く大人びた悲しさだなと胸が痛くなりながら、また、美化されていない等身大の自然や故郷の美しさにこころ震わせながら読みすすめた。 漫画「月に吠えらんねえ」で、友人たちがそれぞれの見方で風景を眺めている中、犀はただありのままの風景を目にしていた。世界の形をそのままに見ていた。 その表現が限りなく室生犀星像に近接していて、凄いなあとただおもった。 序文で、詩作が何の足しになったのかと書いている。それがマイナスな思いからくる言葉だったのか、私には量りかねる。

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2016/12/10

「詩は詩を求める熱情あるよき魂を有(も)つ人にのみ理解される・・・・・・はじめから詩について同感し得ない人や、疑義を有つ不信者らにとって、詩は存在し得ない」 おやおや、室生犀星に私は不信者扱いされてしまった。 さだまさし氏を彷彿させる室生犀星

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2013/12/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

金沢旅行中に読んだ本 その三 犀星は「ふるさとは遠きにありて思ふもの」を詠んだ人。情景が鮮やかに思い浮かぶ詩が多い。 旅と季節を詠んだ詩が沁みた。お気に入りは「旅途」と「月草」。

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2013/11/25

犀星の代表作は有名なフレーズ、「ふるさとは遠きにありて思ふもの/そして悲しくうたうもの」を収めた「抒情小曲集」なんだろうけど、なかなかどうして、戦後2作目に出版された『逢ひぬれば』以降から遺作となった「老いたるえびのうた」を収めた『晩年』に至るまで、なかなか読み応えがあるものが多...

犀星の代表作は有名なフレーズ、「ふるさとは遠きにありて思ふもの/そして悲しくうたうもの」を収めた「抒情小曲集」なんだろうけど、なかなかどうして、戦後2作目に出版された『逢ひぬれば』以降から遺作となった「老いたるえびのうた」を収めた『晩年』に至るまで、なかなか読み応えがあるものが多かった。いま読むと、「抒情小曲集」などの大正期の作品は、哀切を極めた調子の良さで、口あたり良く平板な印象にとどまってしまう。むしろ汲めども汲めども尽きぬ、悲しみを地ならししたところで展開する、戦後作品の方が以前にはないような凄味と妙味の相貌を帯びて、おもしろく感じた。

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2012/11/28

詩人と聞いて、どんな人物をイメージするだろう。紅顔白皙の美少年?はたまた、痩せて神経質そうな病身の男?Google画像検索によれば、室生犀星は、そのどちらにも程遠い。そして、誰よりも詩人であった。 この詩集に収録された『けふといふ日』という詩は、一見、今日という一日のはかなさを...

詩人と聞いて、どんな人物をイメージするだろう。紅顔白皙の美少年?はたまた、痩せて神経質そうな病身の男?Google画像検索によれば、室生犀星は、そのどちらにも程遠い。そして、誰よりも詩人であった。 この詩集に収録された『けふといふ日』という詩は、一見、今日という一日のはかなさを歌っているかに見える。真夜中には、今日と明日の境目がある。十二時、時計が最後の鐘を打ったその瞬間に、今日という日は永遠に失われてしまう。地球上のどこを探しても、もう見つかりはしない。嬉しいことがあった日も、悲しいことがあった日も、遠ざかり、忘れられ、なんでもない日になっていく。それは誰にもとめることができない。ただ、時間は流れていく。一切は空虚であるかに見える。 けれど、最後の一行をもって、その虚しさは生への駆動力に転化される。「けふ一日だけでも好く生きなければならない。」ここに、詩人の思想を見る思いがする。 犀星という男は、強い男であった。恵まれない家庭に育ち、貧困に苦しみ、女には相手にされず。しかし彼はどんな苦境にあっても二本の足をしっかりと地につけて立ち、「われはかの室生犀星なり」と叫んだ。彼の詩に通底するのは生きることに対する覚悟であり、生への限りない賛歌である。とかく憂鬱やら哀愁やらに傾きがちな他の詩人であったなら、なかなかこうはいかないだろう、と思う。最晩年の作品である『今日といふ日』、その最後の最後にこの一行を堂々と叩きつけることのできるところが、犀星の犀星たる所以であるように思われる。

Posted byブクログ