田舎教師 の商品レビュー
学生時代に読んだとき…
学生時代に読んだときにはそうでもなかったのですが、社会人になってから読むと胸が苦しくなります。
文庫OFF
中学の同級生が進学をして立身出世を目指す一方で、家庭貧しく進学のできない林清三は田舎の小学校教師として赴任する。東京で青春を謳歌するかつての同級生を羨み、田舎教師としての生活を抜け出そうと努力するも、次第に田舎教師の生活に馴染んでいく。しかし、田舎教師として生きていくことを受け入...
中学の同級生が進学をして立身出世を目指す一方で、家庭貧しく進学のできない林清三は田舎の小学校教師として赴任する。東京で青春を謳歌するかつての同級生を羨み、田舎教師としての生活を抜け出そうと努力するも、次第に田舎教師の生活に馴染んでいく。しかし、田舎教師として生きていくことを受け入れたと同時に清三は病に侵され死ぬ。清三のコンプレックスを掘り下げれば、もっとドロドロとした、胸に突き刺さるような作品にもなり得たのかなと思った。あとがきで福田恆存がこの作品は小説というより紀行文であると評価したのも納得である。
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2024/10/22 読み応え抜群。というか、こういうものがやっぱり文学作品なんだと改めて感じるような現代から見ると少し古風な言い回しに思える表現の多くが読み応えをより高いものにしてると思います。 現代の埼玉県の加須を中心とした地域に学校の教師として赴任することになった林清三が主...
2024/10/22 読み応え抜群。というか、こういうものがやっぱり文学作品なんだと改めて感じるような現代から見ると少し古風な言い回しに思える表現の多くが読み応えをより高いものにしてると思います。 現代の埼玉県の加須を中心とした地域に学校の教師として赴任することになった林清三が主人公の話。 内容はとても平凡で小説の中で特に大事件が起きるわけでもなく、1教師の生活が淡々と描かれている。 途中の展開として恋に落ちる場面や、友人との諍いや、教師の道を踏み外してしまいそうになる場面などは出てくるが、予想を大きく裏切るような感じでは無い。 でも描かれている時代が日露戦争期の人々の様子であることも相俟って、令和の現代とは全く違う当時にしか存在しなかった職業の数々、現代では考えられないような慣習や風習、当時の人々の過ごし方などを小説を読むことでかなり感じることができたように思う。 当時の人々は戦争をこのように受け止めていたのかとか、戦争に対して一若者はこう考える人もいるんだなぁみたいな部分も面白かった。 読むのにとても時間がかかり、分からない言葉も多くあったが、逆に色々な言葉や言い回しもこうした時代の文学作品を読むことで知ることができたと思う。 定期的にこうした文学作品を読み挟んでいきたい、
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家庭の貧しさから、友たちと同じように勉強できないことや 人語らうのが好きな主人公に、寂しがり屋な人だなと思いながら同情もした。 けれど途中からは、その気持ちも無くなった。 父親にはムカつくけれど、もっと彼は幸せに生きる道があったと思いえる。
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自然主義作家田山花袋の代表作の一つ。世に出て事を成し遂げたいという志を有しながらも恋に夢に生活に破れる田舎教師の挫折。 本作が発表されたのは一九〇九年。実に百十五年前である。にも拘らず主人公・林清三には何処となく親近感すら感じて了う。彼の理想と現実のギャップに悶え苦悩する姿...
自然主義作家田山花袋の代表作の一つ。世に出て事を成し遂げたいという志を有しながらも恋に夢に生活に破れる田舎教師の挫折。 本作が発表されたのは一九〇九年。実に百十五年前である。にも拘らず主人公・林清三には何処となく親近感すら感じて了う。彼の理想と現実のギャップに悶え苦悩する姿はまるきり現代の意識高い系の若者に他ならないからだ。 志と言っても、具体的なものは無く、兎に角何でも良いから世に出て成功者に成りたい。そんなところだろう。時代が五十年違えば安保闘争にでも燃えただろうか。尤も清三なら病床に伏して歯痒い思いをするだけかも知れないが。 時代が変われども人間の本質は変わらない。そういう普遍の真理が、田舎教師林清三の姿を借りて此処に描かれている。
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埼玉県の田舎の風景や人々の生活ぶりなどの描写が美しい。四季折々に見られる植物の名前も数多く挙げられて風情豊かに季節の移り変わりが感じられる。 文学や音楽に憧れながら、田舎の小学校教師として勤めて実家の家計を支え埋もれてゆく青年の生き様を淡々と描いている。 大志を持って進学を目指す...
埼玉県の田舎の風景や人々の生活ぶりなどの描写が美しい。四季折々に見られる植物の名前も数多く挙げられて風情豊かに季節の移り変わりが感じられる。 文学や音楽に憧れながら、田舎の小学校教師として勤めて実家の家計を支え埋もれてゆく青年の生き様を淡々と描いている。 大志を持って進学を目指す友人がいるかたわら、平凡に見える暮らしぶりにも充実した生活を送る親友や和尚さんの姿も印象的に描かれている。
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主人公の精神的未熟と、自らもそれに気がつかず空回りする哀れさ。 向上の志が強すぎ、方向性も少し誤って、結果的に人生を途中退場してしまい残念。
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現状(貧困環境、時代背景、生活基盤・場所)を認めてしまった(認めざるを得なかった)者の悲運と切なさ、そしてその結果として与えられた人生の選択肢の少なさと侘しさ・険しさが淡々と物語られている。幸少なしと。 環境は変えられるのか、環境に購えるのか? 確かに、本書で描かれた時代では難しいかもしれない。同窓生が、高等学校に進学する姿を指を銜えて見ているしかなかったかもしれない。しかしそれが、音楽学校の試験に挫折したままの言い訳にはならない。結局、自分が一番嫌っていた、「まごまごしていれば、自分もこうなって了うんだ!」に陥ることなる。 夢はいつしか遠のき、生活に追われる日々の中で、大切だったものは失われてゆきます。心の中で馬鹿にしていた普通の人々の生活は、……。 「しょせん、境遇は境遇なり、運命は運命なり、かれらをうらやみて捨て去りしわれの小なりしことよ。」で、終わらせて良かったのでしょうか。 私達は、この時代より進んでいる時代に生きていると考えてよいでしょうか。 ふと、そんなことを感じました。
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作者の田山花袋は日本の文学史に名を残す作家で「自然主義文学」の代表的な作家と言われています。名前は以前から知っていたが、その作品を読んだことはなかった。館林に引っ越してきて、市内の公園で田山花袋の文学碑を目にし、この作家が館林市の出身だと知った。市役所の近くに田山花袋文学記念館があり、そこで代表作と言われる『田舎教師』という素朴な題名の小説を買ってみた。 物語は明治時代に生きた実在の人物をモデルにした小説。主人公の林清三は足利出身で、熊谷の中学校を卒業し、羽生市のはずれ(現在の東北自動車道羽生サービスエリア近く)にあった弥勒高等小学校(明治42年に廃校)に3年半ほど勤務した文学青年です。彼は家庭が貧しく、高等学校に進学することが出来なかった。中学時代の友達たちは東京や浦和の学校に進学していく。友人たちを羨ましく思いながら、当時住んでいた行田から四里離れた弥勒の小学校で代用教員として働き出す。彼は大きな志を抱いていた。最初のうちは以前住んでいた行田にも毎週末帰り、友と遊び語らう。「行田文学」という文学誌も立ち上げた。やがて自己の境遇・現実に触れるにしたがって理想が崩れていき次第に諦めに変わる…。恋愛も金銭面も、自己の目標達成も思い通りにならない。地元で友達と会った週末の帰り路、行田から羽生、弥勒とだんだんと活気がなくなる景色に彼の心情が重なっていく。やがて現実に折り合いをつけ教師にやりがいを見いだしていくが、体が弱かった彼は仕事が出来なくなるまで体を壊してしまう。自宅の暗い病床で日露戦争の戦勝に沸く提灯行列の喧騒を聞きながら、親に看取られ短い生涯を終える。以上がこの物語のあらすじです。 この小説を最初読んだときは小説の世界(明治時代の一般人の話)になかなか入り込めない感じがした。しかし読み進むうちに主人公に同情し、共感していった。気付いたら「自分も同じだな」と考えていた。 描かれているのは当時を生きた無名の日本人青年で、功名心を抱きながらも次第に諦め、現実生活に折り合いをつけ小さな喜びを見いだしていく。その生き方に、自らの能力への矜持と出世主義、友人や周りへの羨望と挫折感、寂しさ、侘しさといった人間の感情が凝縮されていて、とても奥深いヒューマンドラマです。 歴史に名を残した人の話ではなく「無名の人の話」というのがこの小説が僕の心に響いた点ですが、その核心が最後の場面に象徴されています。日露戦争の戦勝に沸く人々の賑わいを主人公は病床で聞きます。日露戦争当時の日本を描いた小説で真っ先に思い浮かぶのは『坂の上の雲』ですが、その登場人物たちは「歴史を作った人たち」で名を残した人です。題名の如く坂の上の雲を目指して当時の日本を牽引したスターの話です。対して「田舎教師」は同じ時代の日本で、彼方で戦う同胞に想いを馳せ、何もできない自分を不甲斐なく思います。現代社会の片隅で生きている自分も主人公と同じだなと思えてきます。 この小説を読んで、小説ゆかりの地羽生を訪ねました。作者や主人公が生きたこの物語の世界を身近に感じられる街歩きも含めて、味わいたいストーリーです。
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解説まで読んでしまって…。 退屈と書かれてしまっていて、少々その内容に納得してしまいました。淡々と文章を読んでいるだけの様に感じてしまい、明治末期の文化に慣れておらず、読むのに時間がかかりました。 主人公はあくまで冷静で夢を持とうと頑張りますが、現実の生活をしていくだけの日常に...
解説まで読んでしまって…。 退屈と書かれてしまっていて、少々その内容に納得してしまいました。淡々と文章を読んでいるだけの様に感じてしまい、明治末期の文化に慣れておらず、読むのに時間がかかりました。 主人公はあくまで冷静で夢を持とうと頑張りますが、現実の生活をしていくだけの日常に甘んじてしまっています。夢が塞がれた時、周りの人間に流されて自暴自棄になってしまう所は胸が痛かったです。 埼玉の羽生や弥勒、自然描写がしっかりと描かれており、そこがこの本の魅力でしょう。
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