あすなろ物語 の商品レビュー
明日はひのきになれるかな
井上靖の自伝的作品。主人公鮎太の成長を通して、今一度自分の人生を振り帰ってみては?深みのある感動が押し寄せます。
aoi
この物語を読むことに…
この物語を読むことによって、全てではないけれども、あすなろうにかけるのもよいのではないかと思った。
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自分が日本文学にはま…
自分が日本文学にはまったのはこの本を読んでからでした。あすなろの木「明日は檜になろう」と主人公の成長をかけている。決してサクセスストーリーではないけれど、確かに人生はこんなものなのかな、と心地よい虚無感を与えてくれる一冊。
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古本屋でたまたま手に取った本で、戦前/戦後の青年の生活と心の移ろいを、なんとも自然に綴った物語。伏線回収とか、特徴のあるキャラクターだったり、ドラマのある話とはある意味無縁で、時代背景やその情景までも、そのまま活字に映しているように思え、読み心地が良かった。 また、どこかクールで...
古本屋でたまたま手に取った本で、戦前/戦後の青年の生活と心の移ろいを、なんとも自然に綴った物語。伏線回収とか、特徴のあるキャラクターだったり、ドラマのある話とはある意味無縁で、時代背景やその情景までも、そのまま活字に映しているように思え、読み心地が良かった。 また、どこかクールで冷静な印象の主人公だけに、どの時期にも”女性”が伴走しているところも、特徴。
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自伝ではないが、自伝的作品と言えるのだろう。 『しろばんば』は、情景描写が素晴らしい美しい作品だが、『あすなろ物語』は哀感が作品全体を貫いている。 成長の過程や社会へ出ていく中で、檜になりたいのになれない現実の自分をもどかしく思いながら、戦争という時代をも生きていかなくてはならな...
自伝ではないが、自伝的作品と言えるのだろう。 『しろばんば』は、情景描写が素晴らしい美しい作品だが、『あすなろ物語』は哀感が作品全体を貫いている。 成長の過程や社会へ出ていく中で、檜になりたいのになれない現実の自分をもどかしく思いながら、戦争という時代をも生きていかなくてはならない。生きることは、どうしてこうも切ないのだろう・・・
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「文庫旅館で待つ本は」を読んだので、たまには昔の作品を、と。 ヤングアダルトコーナーにあったし、さらりと読めるかなぁと思ったのだが、確かにさらりと読めはしたのだが…
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作者の自伝小説『しろばんば』を読んでいると、これも自伝小説でその続きなのかと思いがちですが、著者のいくつかの実体験を活かした創作です(『しろばんば』に連なる続編は『夏草冬濤』『北の海』)。 タイトルの「あすなろ」は、あすは檜になろうと思いつつ、永久に檜になることが出来ない。それ...
作者の自伝小説『しろばんば』を読んでいると、これも自伝小説でその続きなのかと思いがちですが、著者のいくつかの実体験を活かした創作です(『しろばんば』に連なる続編は『夏草冬濤』『北の海』)。 タイトルの「あすなろ」は、あすは檜になろうと思いつつ、永久に檜になることが出来ない。それで「翌檜(あすなろ)」という名が付けられた、檜に似た木をモチーフにしています。 この物語は、主人公の少年期〜青年期〜働き盛りの壮年期までの人生を、戦前から戦後にかけて6部構成で描いています。そして、会話の中で「あすなろ」にちなみ、檜になれた人、なれなかった人を論じていますが、印象的なのが、3部目の「貴方は何になろうとも思っていらっしゃらない」と主人公が揶揄されるところ。翌檜でさえ目標があるのにと言わんばかりの発言を、憧れの女性から面と向かって言われているのに、まったく堪えていない。夢中だったと言えばそれまでですが、次の4部で、そのホの字の憑き物が落ちたのは、ある意味転機と言えるでしょう。5部では意図せずにライバルの転機に加担してたりして、人の運命の転機は意外なところにあるものだと思いました。 ラストの6部では、明日は檜になろうとする、終戦から必死に立ち直ろうとする人々の力強さを感じる印象的なエンディングでした。ここで、あえて主人公が檜になれたか言及していませんが、当人が気付いていないだけで、立派な檜だと自分は思うのですが、これを読んだ他の人はいかに? ところで、6部構成のそれぞれに女性が登場し、その誰もが個性的ですが、「春の狐火」の清香の話しが幻想的でとても良かったです。
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あすなろ忌 1953年の作品。 明日は檜になろう“あすなろう。 若い頃何かしらの感銘を受けて、いつか再読しようと持ち続けた一冊。 親と離れて祖母と二人、小さな村の蔵で暮らしていた少年、鮎太の恋心と成長の物語。 この少年の設定から、だいぶ本人に近いように思う。 以下は、覚え書き ...
あすなろ忌 1953年の作品。 明日は檜になろう“あすなろう。 若い頃何かしらの感銘を受けて、いつか再読しようと持ち続けた一冊。 親と離れて祖母と二人、小さな村の蔵で暮らしていた少年、鮎太の恋心と成長の物語。 この少年の設定から、だいぶ本人に近いように思う。 以下は、覚え書き ⚪︎深い深い雪の中で 「しろばんば」と同時期。 明日は檜になろうと一生懸命考えている木。 永久に檜にはなれない。 伊豆山の雪の中、あすなろの木の下で若い男女 の心中事件。女は、鮎太の祖母の姪。時折、 同居していた。男は、鮎太に勉強の必要を教え た大学生。この章の印象が強い。 ⚪︎寒月がかかれば ここに出てくる少女が読んだ鮎太の歌 寒月ガカカレバ キミヲシヌブカナ アシタカヤマノ フモトニ住マウ 歌のごとく 愛鷹山のふもとに井上靖文学館が 建てられている。存命中に建てられ、井上靖も たびたび訪れたようだ。しばらく行ってないけ れど、大きくはないが、林の中の素敵な建物。 ⚪︎張ろう水の面 このあたりから青年。大学生となり、未亡人 へ憧れを抱いたり。それを避けて九州へ行った り。 ⚪︎春の狐火 大学生→兵隊→新聞記者 ⚪︎勝敗 遊軍記者として活動 ⚪︎星の植民地 戦後の混乱期 一人の男性の寂しい幼児期から真面目な少年期、反抗的な青年期、戦争、敗戦。その時代に気になる女性をそれぞれ登場させる。 実は記憶が、、違う^ ^。 路傍の石とか真実一路とかその辺と混じってしまっていたかも。そのうち、他のも読みます。
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明日は檜になろう、という、様々な翌檜の人物が、その願いは叶わないとしても、自分が自分であるために明日への願いを持って生きていく。特に人生のそれぞれの局面で出会う女性たちとの関係の中で、主人公の鮎太の生き方、翌檜が変わりゆく様が、その場面場面を、幼年期の恋慕や青春、競争やニヒリズム...
明日は檜になろう、という、様々な翌檜の人物が、その願いは叶わないとしても、自分が自分であるために明日への願いを持って生きていく。特に人生のそれぞれの局面で出会う女性たちとの関係の中で、主人公の鮎太の生き方、翌檜が変わりゆく様が、その場面場面を、幼年期の恋慕や青春、競争やニヒリズムなどを切り取った、絵画のように描かれている。翌檜の人々は様々な形で想い、願い、努力し、時にはそれを秘め、そして叶わず死ぬ者、諦める者、失う者、それでも翌檜を失わない者。人生とは、人生の幸せとは何だろう、を染み染みと考えさせられた。
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梶鮎太が冴子、雪枝、佐分利信子、清香、左山町介、オシゲとの関わりのなかで翌檜の人たちが出てくる。 信子の貴方は翌檜でさえもないじゃあありませんか。の言葉が心に刺さった。
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