あすなろ物語 の商品レビュー
明日は檜になりたいと願う翌檜。子供から大人になると、翌檜ですらなくなっていくのか。そう言われればそうかもなあ。この本も、鮎太が子供時代の頃が一番よかったなあ。ピナクルは、無論後半、激動の戦争時代なのだろうけど、個人的には子供時代にこそ救いがあり、良くも悪くも暗示があり、それら込み...
明日は檜になりたいと願う翌檜。子供から大人になると、翌檜ですらなくなっていくのか。そう言われればそうかもなあ。この本も、鮎太が子供時代の頃が一番よかったなあ。ピナクルは、無論後半、激動の戦争時代なのだろうけど、個人的には子供時代にこそ救いがあり、良くも悪くも暗示があり、それら込み込みの翌檜なのだと思う。翌檜は、置いて行くとその願いすらなくなり、その願いすらなくなれば、それはもはや翌檜ですらなくなるという自己矛盾を抱えている。俺は、翌檜なのだろうか。
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井上靖の本は学生時代によく読んだけど久しぶりに、未読のこの本を読んでみた。手持ちの本が掃けて読む本がなかったので息子の本棚にあったこれを手にした。 もっと子供っぽい内容かと思ったけど、全然そんな本ではなかった。あすなろ、がそういう意味とも知らなかった。 この時代を生きた男の幼...
井上靖の本は学生時代によく読んだけど久しぶりに、未読のこの本を読んでみた。手持ちの本が掃けて読む本がなかったので息子の本棚にあったこれを手にした。 もっと子供っぽい内容かと思ったけど、全然そんな本ではなかった。あすなろ、がそういう意味とも知らなかった。 この時代を生きた男の幼少期から壮年期までを描いたもの。この頃の男子は誰しも一旗あげてやろうって思っていたんだろうな。そして、どの時代にも女性とのかかわりがあって、その様がとても印象的。これがテーマなのかな? 思いのほか良い本だった。古典というと大げさだけど、こういう定番の本もたまにはいいな、と思った。
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明日は檜になろうとする意志の象徴「あすなろ」 秀才肌の少年は、高校でやや落ちこぼれ、長じては平凡な新聞記者に。といっても、放蕩息子にはならない。 彼を取り巻く男女の「あすなろ」たちとの交流。未亡人にときめき、大胆な女たちに翻弄されそうにもなるが、決して危うい愛は渡らず、妻帯し、戦地も生き抜く。 面白みのない人生なのかもしれないが、周囲にそそぐまなざしの暖かさに好感がもてる。 いまの私小説にはもはやない爽やかさ。 克己を説いた大学生のでてくる、第一話が好き。 見上げた樹に教わるように、昔は身近な年上に人生を学んだもの。だからこそ、大人になるのが怖いとは思わなかったあろう。
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梶鮎太の少年期から壮年期までの成長物語。明日は檜になろうと願うあすなろの木。本物の檜は一握り。でも、鮎太はあすなろですらない。ぐだぐだの日々。
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約60年前の著者の自伝的な作品。 さすがに古くて理解に苦しむ事が多くて。 事象の羅列が多く、それによって気持ちはどうだったのかがよくわからなかった。 従軍記者としても華々しく活躍しながら戦時中に早逝してしまったライバルとの下りが一番良かった。 と言うか、そこだけかな。
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明日は檜になろうと懸命に生きている人々の姿が描かれている。また、登場する女性がみなそれぞれに魅力的。
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自伝的な小説。あすなろは檜になろうとする少年。 親戚を心中で亡くしてしまう。女性たちが何人も出てくるが、そういう人浮きあうこともなく全然知らぬ人と結婚する。妻と子を疎開させてある少女と出会い仲良くなる。 くまさんの妻。春さんが故郷に帰るそして、死。 色々あって生きてきた。 信子と加藤の妹ともそれから合わなかった。という一説は不思議だった物語が発展すると思った。
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思い出しては読んでいる本。でもなぜ何度も読むのか分からない本。ページをめくった時、「あれ、今ので終わりか」と毎回のように思ってしまう。
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様々な生き方をしていく友人、女性に触れながら青年へ成長していく著者の自伝的小説。人々と接する主人公の心の機微が表現されており、自分の感情に強い印象を与えた。
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現代文の模試かなにかに引用されていて、試験中に「文章がきれいでよみやすい!この本読みたい!」と思い購入。 この本と夏目漱石は整った日本語に飢えたときに読み返している
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