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夜明け前 第一部(下) の商品レビュー

3.6

10件のお客様レビュー

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非常に読むのが大変だ…

非常に読むのが大変だった。長いので暇な人は長期休暇でもつかって読んでみてください。

文庫OFF

2022/09/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

書き出しがあまりに有名な、幕末から明治にかけての馬籠宿を舞台にした島崎藤村の小説。なんとなく森鷗外「舞姫」のような文体を想像していたので、意外と読みやすくてビックリした。さて、本作の主人公・青山半蔵は、本陣の当主であり、参覲交代や長州征伐などさまざまなできごとを通して、激動の時代を描き出している。幕末を舞台にした小説ではやれ坂本龍馬だのやれ勝海舟だのといった志士たちがとかく主人公になりがちであるから、フィクションとはいえ、こういう田舎のいち宿場町を通してこの時代を見つめるということが非常に新鮮で興味深かった。また、この時代に順応しようとする一方で、昔から信奉する国学に固執し、時代に抗おうともする半蔵のアンビヴァレントな感じも興味深かった。そして、なんといってもその怒濤の展開。時代が時代であるだけに、淡淡と日常を描くだけでも十分に物語になるはずであるが、やはり文学史上に残り続けているだけあって、それだけでは終わらない。自殺未遂やら発狂やら、後半には昼ドラも真っ青のエピソードが続く。まったく想像もしていなかったのでビックリしたが、そもそもこの内容でこの結末になると予想できる人がいるであろうか。半蔵は藤村の父・正樹がモデルのようだが、藤村本人も姪との関係をめぐって問題になったのは有名な話。半蔵=正樹の晩年の様子を見ていると、「血は争えない」ということがよくわかる。全篇を通してとにかく揺れ動く感情、揺れ動く時代、揺れ動く馬籠が巧みに表現されていて、しかもおもしろさも持ち合わせた、紛うことなき傑作である。

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2022/08/16

上巻はあくまで導入部分に過ぎないように思えたが、下巻で展開は大きく変わる。大胆な改革により馬籠は経済的な危機にさらされ、幕府の長州征伐は失敗に終わってしまう。それまで主人公たちが暮らしていた世界が変貌し、来るべき新たな時代がようやく顔を覗かせた。第二部ではもっと波乱の展開になるこ...

上巻はあくまで導入部分に過ぎないように思えたが、下巻で展開は大きく変わる。大胆な改革により馬籠は経済的な危機にさらされ、幕府の長州征伐は失敗に終わってしまう。それまで主人公たちが暮らしていた世界が変貌し、来るべき新たな時代がようやく顔を覗かせた。第二部ではもっと波乱の展開になることを予測しつつ、あくまで主人公は希望を抱き第一部は終わる。時代小説は慣れていないが、当時の人々の心情が生々しく描かれていて(あくまで藤村の空想に過ぎないだろうが…)、物語としても非常に楽しめるようになってきた。

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2020/04/26

幕末の街道沿いが慌ただしい。時代の変化に敏感な主人公らは特にそうだ。長州に征討令が出たり、薩摩面妖な動き、京が気になって仕方がない。そして遂に王政復古を迎える。政権交代でなく古代の出発点に戻ったのだ。歴史の反復でなく、新たな時代。自分たちが世の中を作っていく、そう思うと誰もが胸高...

幕末の街道沿いが慌ただしい。時代の変化に敏感な主人公らは特にそうだ。長州に征討令が出たり、薩摩面妖な動き、京が気になって仕方がない。そして遂に王政復古を迎える。政権交代でなく古代の出発点に戻ったのだ。歴史の反復でなく、新たな時代。自分たちが世の中を作っていく、そう思うと誰もが胸高鳴ることだろう。2020.4.26

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2017/12/17

島崎藤村は文豪として知られるが、読書家の知人を見渡しても夏目漱石などと比べあまり読まれていないという印象を受ける。私自身島村には馴染みはなかったが、書店でふと目に止まりあらすじを見たところ引き込まれ、全4巻一気に読んでしまった。私が読んだ歴史小説の中で傑作中の傑作である。 夜明...

島崎藤村は文豪として知られるが、読書家の知人を見渡しても夏目漱石などと比べあまり読まれていないという印象を受ける。私自身島村には馴染みはなかったが、書店でふと目に止まりあらすじを見たところ引き込まれ、全4巻一気に読んでしまった。私が読んだ歴史小説の中で傑作中の傑作である。 夜明け前の主人公のモデルは平田篤胤の国学に心酔する宿場町の庄屋であり、「古き良き時代」を取り戻そうという志を胸に秘める。それはすなわち、武家政権を倒し古事記の時代にあるような王政を復古させるというものだった。一介の庄屋という高くはない身分の主人公であったが、勤皇の志士に便宜を図ったり草莽の志士たちが集う会合に出席したりして、彼は復古運動に密かに情熱を注ぐ。折しも幕末。開国によって社会が混迷を深める中、彼らの運動は多くの人々の心をとらえていった。 封建制の下諸藩に強い影響力を及ぼしていた徳川幕府の力も幕末の荒波によって地に落ち、ついに大政奉還によって待ち望んでいた「復古」がなされたかに見えた。しかし現実は思わぬ方向へと進む。西欧の文物が急速に流入し、国学を信奉する主人公の居場所は次第になくなっていったのだ。かれはやがて発狂し、その生涯の幕を閉じる。 島村は、本書に「夜明け前」という題名をつけた。近代化という夜明けの前にあった出来事という意味なのだと思う。しかし私は、この題名は、その響きのもつ芸術性は別にして、どうしても本質からずれているように思えてならない。本書は決して、近代化の直前にあった話という単純なものではないと思う。むしろ、近代そのものの話であるはずだ。近代化にとってどうしても必要だった何か、表立っては語られないが近代を影で成立させている何か、その「何か」が本書のテーマだと考える。いずれにせよ、「近代国家日本」が曲がり角に差し掛かっている今だからこそ、この作品は大きな意味を帯びるようになるだろう。

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2017/09/16

「夜明け前」は、黒船が到来した幕末から明治維新まで、木曾路の庄屋兼宿の主を主人公として、時代の移り変わりを描いた歴史作品である。 江戸と京都の中間に位置する木曾を舞台にした時点で、勝負は決まったようなものだ。 江戸から京都へ、京都から江戸へ、そこを訪れる武士たちの様子によって...

「夜明け前」は、黒船が到来した幕末から明治維新まで、木曾路の庄屋兼宿の主を主人公として、時代の移り変わりを描いた歴史作品である。 江戸と京都の中間に位置する木曾を舞台にした時点で、勝負は決まったようなものだ。 江戸から京都へ、京都から江戸へ、そこを訪れる武士たちの様子によって、激しい時代の変遷をうかがい知ることができる。 見事な着想だが、しかもそれが島崎藤村の父がモデルだとは。 作者がこの文学史に残る大作を書くことは、運命だったかのように思える。 この巻では、水戸の天狗党事件を中心に、大政奉還までを描く。 最初の巻では、淡々とした物語という印象だったが、戦闘シーンもあってかなりドラマチックな展開。 一気に読ませる。 天狗党のことは、これまでほとんど知らなかった。 水戸の人々にとって、幕末と明治維新とは、裏に痛切な事件を秘めた勃興と没落の時代だったようだ。 尊王攘夷の中心として、また討幕運動の中心として、一貫して時代を動かす人々を送り出し続けるが、この事件で人材が尽き果ててしまい、明治政府には一人の高官も送ることができなかったという。

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2016/10/21

やっと半分読み終わった! なんとスケールのでっかい木曽の話。 さて、第二部はどんな展開になるのでしょうか・・・?

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2013/03/31

読んだきっかけ:100円で買った。 かかった時間:5/9-5/29(21日くらい) 解説(帯より):参勤交代制度の廃止以後木曾路の通行はあわただしくなり、半蔵の仕事も忙しさを増す。時代は激しく変化し、鎖国の解かれる日も近づく。一方、幕府の威信をかけた長州征伐は失敗し、徳川...

読んだきっかけ:100円で買った。 かかった時間:5/9-5/29(21日くらい) 解説(帯より):参勤交代制度の廃止以後木曾路の通行はあわただしくなり、半蔵の仕事も忙しさを増す。時代は激しく変化し、鎖国の解かれる日も近づく。一方、幕府の威信をかけた長州征伐は失敗し、徳川慶喜は、薩長芸三藩の同盟が成立していよいよ倒幕という時に大政を奉還した。王政復古が成り立つことを聞いた半蔵は、遠い古代への復帰に向かう建て直しの日がやって来たことを思い心が躍るのだった。

Posted byブクログ

2012/07/20

第一部の上よりは、作品に動きが出てきたとはいえ、やはり冗漫の感は否めない。 歴史の説明と物語内容が必ずしも有機的につながっていないから、どうしても必然性を感じられず、読んでいて退屈になる、 長篇は、むずかしいのですね。 それにしも長い!あと二冊って!!

Posted byブクログ

2011/01/29

国学を現在進行形でかじっているわたしにとっては、半ば副読本のようになっている。天の導きかなこれw 深い背景を前に置き、淡々と静謐に進んでいくストーリーは緊張感を孕む。面白い。 ただもっと脚注増やしていいんじゃないかな……。時代が隔たるにつれてどんどん分からなくなっていくものがある...

国学を現在進行形でかじっているわたしにとっては、半ば副読本のようになっている。天の導きかなこれw 深い背景を前に置き、淡々と静謐に進んでいくストーリーは緊張感を孕む。面白い。 ただもっと脚注増やしていいんじゃないかな……。時代が隔たるにつれてどんどん分からなくなっていくものがあるし。幕末よう知らん人にはすごく読みづらそう。 破戒→注釈多すぎてネタバレ 夜明け前→注釈少なすぎて不親切 中間はないのか…。 あとなんでこれだけイメージないの?

Posted byブクログ