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黒い雨 の商品レビュー

3.9

210件のお客様レビュー

  1. 5つ

    52

  2. 4つ

    76

  3. 3つ

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2023/08/29

2度目の広島訪問を前にして、それをより意義あるものとしたくて手に取った。 戦時下の淡々と進んでいく日常生活を破壊した原爆。しかしその中にあっても日常を生きる他ない、生き残ったものたちの現実が描かれていた。 戦争を直接は知らない私は、東日本大震災の惨事やコロナ禍の窮屈な生活と絡めて...

2度目の広島訪問を前にして、それをより意義あるものとしたくて手に取った。 戦時下の淡々と進んでいく日常生活を破壊した原爆。しかしその中にあっても日常を生きる他ない、生き残ったものたちの現実が描かれていた。 戦争を直接は知らない私は、東日本大震災の惨事やコロナ禍の窮屈な生活と絡めて読んだが、戦争は人為的に引き起こされるもの。なぜそれを止めることができないのか。歴史から学べない人間の愚かさを思った。

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2023/08/15

戦時中という非日常の中で日常を営んでいる所に落ちる原爆。 姪のお見合い成就の為、当時の有り様を日記に落とし込む形で再現している。 正直、現実味がわかないくらいの出来事が現実に起こっていた。 そして現代でも起きないとは限らないという潜在的な危険が世界にはあるってことを改めて思い出...

戦時中という非日常の中で日常を営んでいる所に落ちる原爆。 姪のお見合い成就の為、当時の有り様を日記に落とし込む形で再現している。 正直、現実味がわかないくらいの出来事が現実に起こっていた。 そして現代でも起きないとは限らないという潜在的な危険が世界にはあるってことを改めて思い出した。 仮に今この様なことこ起きたとき、生き残るのは難しいなと思えるくらいには平和ボケしてる自分を認識した。

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2023/08/06

生まれ育った街が燃えても、家族や友人や恋人が死んでも、淡々と生活を続けねばならない市井の人たちの描写がこの出来事の悲惨さを強調しているようで辛く、休み休み読んだ 夏に繰り返し読むだろう

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2023/08/02

梅雨が明けて夏が来ると読みたくなる、いや、どこか「読まなければ」という義務感に駆られて繰り返し読んでいる一冊。 声高に「反戦」や「No moreヒロシマ・ナガサキ」を訴えるのではなく、淡々と、市井からの目線で1945年8月の広島を描いているところに、静かな凄みのようなものを感じ...

梅雨が明けて夏が来ると読みたくなる、いや、どこか「読まなければ」という義務感に駆られて繰り返し読んでいる一冊。 声高に「反戦」や「No moreヒロシマ・ナガサキ」を訴えるのではなく、淡々と、市井からの目線で1945年8月の広島を描いているところに、静かな凄みのようなものを感じる。

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2023/07/17

原爆投下直後の広島の様子が克明 正常性バイアス? 淡々と現実を受け入れている 当時の人々の様子 読んでて苦しいけど引き込まれる ブックオフ妙興寺店にて購入

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2023/07/16

原爆が広島に落とされた日から月日が経っても苦しめられている人々の事を改めて思い知らされる。 目を背けたくなる描写はあるが、多くの戦争を知らない人々に是非読んでもらいたい。

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2023/06/30

日常の底にいつも沈められている、人間の狂気は正義ですらある。 僕らが立っているこの大地のすぐ下には、いつ起き出すかわからない猛獣を飼っているようなものだ。 手懐けていた家畜はいつのまにか手に負えぬ代物になっていて、飼っていた人たちだけさっさと逃げる用意をしていて、なにも知らない...

日常の底にいつも沈められている、人間の狂気は正義ですらある。 僕らが立っているこの大地のすぐ下には、いつ起き出すかわからない猛獣を飼っているようなものだ。 手懐けていた家畜はいつのまにか手に負えぬ代物になっていて、飼っていた人たちだけさっさと逃げる用意をしていて、なにも知らないひとたちが逃げ遅れる。 エネルギーや核兵器の問題は誰も解決できなくなっている。文明は繁栄と平和で作り笑い。 正義の戦争より不正義の平和の方がましじゃ とはよくゆうたもので。 それもそれでがんじがらめになってます。 以下、ネダバレですが、核兵器をつかえる立場の人には必ず読んでほしい。 そしてこの本を核兵器のボタンの横において置くこと。 ↓↓↓↓ (子供は)柘榴の実の一つ一つに口を近づけて、ひそひそ声で「今度,わしが戻って来るまで落ちるな」と言い聞かせていた。その時、光の玉が煌めいて大きな音が轟いた。同時に爆風が起こった。塀が倒れ、脚立がひっくり返り、子供は塀の瓦か土かに打たれて即死した。

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2023/06/22

後世に、絶対に残さないと行けない作品。 戦争は絶対に起こってはいけないことを、特に若い人たちにこの本を読んで、感じてほしい。

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2023/04/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

面白い話ではない。しかし、何十年経っていてもこの小説の文章を読めば、重松が見たような光景や生活を思い描けるような話になっているところがすごい。 原爆症と診断されていないのに原爆症だと噂されて結婚が遠のいてしまう姪っ子のために、証拠の日記を相手方に示そうと当時の記録を追っていく話。戦後と昭和20年8月5日〜15日までをいったりきたりする。 重松は姪っ子の縁談がどうにかうまくいかないものかとすごく気を揉んでいる。どうしてあんな噂なんか信じるのか、最近は特に可愛くなってるし良い子なのに・・と、心の中でヤキモキしてイライラして、奥さんすぐ隣の部屋にいるのに「おいシゲ子、わしの日記を出してくれ」と急に大声で呼びかける。 おっさんが突然デカい声を出す現象はこれだったのか。気持ちは分かるけどびっくりするのでやめてほしい。 痛々しい場面になる度に一回小説から離れたくなるので数ページ読んで、置いて、数ページ読んで、置いてを繰り返した。なかなか読み終わらなかった。 しかし、重松をはじめ、なんとか奮闘し続ける人たちの話が盛り込まれているので、少しずつでも読み進めたい話になっているようにも思う。 ただ、普通では考えられない死に方、怪我、内部から生き物が破壊されていく得体の知れない怖さはずっと付きまとってくる。 後半、臭かろうが姿形が変わろうが、身内としては生きてほしい、奇跡が起こってほしい、と願って捜しまわってその後も看病し続けるエピソードが、怖ろしさに怯む以上にどうにかなってくれないかと願うものなんだと逞しかった。爪の先程も悲惨さは及ばないけど、根本的な気持ちは変わらないのだと、自分の経験と重なるように思えて涙が出た。 過去に何度も読もうとして挫折していた本。多分、火傷とか虫とかグロテスクなところばっかに目がいってて何も分からず最初の方までしか読めてなかったんだと思う。やっと読み終える事ができた。確か原爆関係の本で、「いいご身分ですなぁ」と嫌味を言われるシーンがあったなと薄っすら記憶していたものもこの本だった。

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2023/02/27

サンマの肝みたいな一冊。極上の脂をまとった白くふっくらとした身を陽とするなら、血生臭くどろりと黒い肝が陰。そして両者は隣同士で接する位置にある。ただ思い切って味合えば、肝特有の苦味の中にサンマの本質とも言うべき滋味も感じることができる。 ひたすら戦争と原爆のエグさ、そしてその後...

サンマの肝みたいな一冊。極上の脂をまとった白くふっくらとした身を陽とするなら、血生臭くどろりと黒い肝が陰。そして両者は隣同士で接する位置にある。ただ思い切って味合えば、肝特有の苦味の中にサンマの本質とも言うべき滋味も感じることができる。 ひたすら戦争と原爆のエグさ、そしてその後遺症についての生々しい描写が続く。原爆の恐ろしさについて触れた文学作品って数多あるんだろうけれど、井伏鱒二がこれを出したことに大きな意味があると感じる。彼ぐらいのネームバリューがあれば「井伏鱒二読んだことないからいっちょいってみっか」という私のような素人に、あらためて戦争について考えさせることができるので。特にこんな時代だからこそ、戦争体験の後世への伝達ツールとしてきちんと機能する読みやすさだし、あらためて教科書とか課題図書とかにしたらいいと思うよ。ほんとマジにマジで。 印象的だったのは、原爆投下直後の広島で必要になったあらゆる物資の中に「お経」があったこと。身近な人間がバタバタ死んでいくような悲惨な状況下で、その尊い死を軽視せず尊厳を与えたこの行為はどれだけの人に安堵を与えたのだろうね。飢えを凌ぐための食糧品以上にもしかしたら価値があったんじゃなかろうか。戦後を生きなければならなくなった残された人たちにとっては何よりの精神安定剤だったんじゃないかなぁ。 下記は印象に残った本文の抜粋です。 広島は焼けこげの街、灰の街、死の街、滅亡の街。累々たる死骸は、無言の非戦論(15頁) 戦争はいやだ。勝敗はどちらでもいい。早く済みさえすればいい。いわゆる正義の戦争よりも不正義の平和の方がいい。(205頁) 矢須子は次第に視力が弱ってきて、絶えず耳鳴りがするようになったと云っている。はじめ僕は茶の間でそれを打ちあけられたとき、瞬間、茶の間そのものが消えて青空に大きなクラゲ雲が出たのを見た。はっきりそれを見た(279頁)

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