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人生論ノート の商品レビュー

3.9

71件のお客様レビュー

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人生について考える時…

人生について考える時に必要不可欠な要素(死、幸福、名誉心、孤独、成功、健康、希望など)を盛り沢山説いた作品です。

文庫OFF

2024/11/10

三木清著『人生論ノート 74刷改版 (新潮文庫 ; み-5-1)』(新潮社) 1954.9発行 1985.6改版発行 2020.6.13読了  三木清は兵庫県揖保郡(たつの市)で明治30(1897)年に生まれる。旧制第一高から京都帝国大学に進み、西田幾太郎(1870-1945)...

三木清著『人生論ノート 74刷改版 (新潮文庫 ; み-5-1)』(新潮社) 1954.9発行 1985.6改版発行 2020.6.13読了  三木清は兵庫県揖保郡(たつの市)で明治30(1897)年に生まれる。旧制第一高から京都帝国大学に進み、西田幾太郎(1870-1945)に師事する。卒業後、ドイツに留学し、ハイデッガーに師事(1922年)。パリに移り、パスカルの研究を開始。1925年帰国し、法政大学の教授となる。マルクス主義に取り組むものの、1930年、日本共産党に資金提供をしたという理由で逮捕され、転向を余儀なくされた。職を失い、文筆活動に専念することとなり、昭和13(1938)年6月に、人生論ノートの第一回目を書く。日中戦争の真っ只中であった。昭和20(1945)年、治安維持法違反に問われた高倉テルをかくまった廉で投獄され、獄中で疥癬などの病気にかかり、敗戦直後の9月26日に独房の寝台から転がり落ちて死んでいるところを発見された。48歳没。  本書は雑誌媒体に寄稿されたものを一まとめにしたものであるため、各項目は短い。それ故、箴言集のような体裁を備えており、何度も読み返したくなる。この人の根本は、人生を虚無から始まるものとして捉えている点にある。「風の谷のナウシカ」で、ナウシカが「いのちは闇の中にまたたく光だ」と言うシーンがあり、あれは小林多喜二(1903-1933)が田口タキに送った手紙の一文「闇があるから光がある」から着想を得たのではないかと私は思っていたが、あるいは三木清から着想を得たのかもしれない。この虚無論は西田幾太郎の無の研究が土台にあるようだ。西田幾太郎もいずれ読まねばならぬ。私はこの虚無から人生を見据える考え方に共感を覚えた。  人生とは虚無である。故に人生はフィクションであり、人生に実在性はない。人生とは小説的なものであり、いかに実在性のないものに実在性を与えんとするかの過程のことである。一つの仮説の実在性を証明せんこと、あるいは、虚無の実在性を証明せんがために、人生を形成していくものである。 https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000001-I18111104868094

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2024/05/15

奥付は昭和57年68刷。10代の頃は無知ゆえに本書の文章がすんなり頭に入ってきたのか? 50代の今、人生経験を重ねてしまったために「これは違う、これは何だ、これは納得」という気持ちが入り混じり、理解を妨げているような気がする。哲学者は全ての事象を難しく理解・表現せねばならぬ生き物...

奥付は昭和57年68刷。10代の頃は無知ゆえに本書の文章がすんなり頭に入ってきたのか? 50代の今、人生経験を重ねてしまったために「これは違う、これは何だ、これは納得」という気持ちが入り混じり、理解を妨げているような気がする。哲学者は全ての事象を難しく理解・表現せねばならぬ生き物らしい。23題の中で良い言葉・文章があった。10代の頃は死、嫉妬。50代の今は成功の題が印象に残った。反面、難解で理解できないものが少なからずあった。まだまだ修行が足りない。そして哲学、形而上学は向いていないのだと思った。

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2023/12/12

三木清は先崎彰容氏の推薦ということで手に取ったが、大変良かった。 構成は、「習慣について」「怒について」など短い章に分かれている。  言われていることはヨーロッパの思想に似ているが、それを唐突に直感的に書いていて、背景と理由は説明してもらえないところが日本思想。 と思いつつ読...

三木清は先崎彰容氏の推薦ということで手に取ったが、大変良かった。 構成は、「習慣について」「怒について」など短い章に分かれている。  言われていることはヨーロッパの思想に似ているが、それを唐突に直感的に書いていて、背景と理由は説明してもらえないところが日本思想。 と思いつつ読み進めていたら、まさにその点を指して、 「確実なものの直観は…論理の証明を要しないのに反して、不確実なもの…こそ論理を必要とする」 とあっさり論じてくれた。 「感情は多くの場合客観的なもの、社会化されたものであり、知性こそ主観的なもの、人格的なものである」というのも、その言い換えである。 社会と論理から思想を導くヨーロッパに対して、思想が個人に由来するという捉え方もある日本人の、わかりやすい自己説明だ。 この掴んだ実感をしっかり自分の言葉で表現できるようになりたいものである。 印象に残る章やフレーズ、言葉は、読む人やその時の心理状態によって変わるだろう。  自分は、特に最後の「個性について」の美しさに圧倒された。  ここだけ読むだけでも価値がある。 この章は附録であるらしく、「大学卒業の直前…私が公の機関にものを発表した最初である」と書かれていた。 若さの持つ瑞々しさが感じられたが、まさか大学生の文章だとは驚きだ。 やはり天才。 噂の持つネガティブな意味での力について、或いはテクノロジーの発達が世界を広くも狭くもしていることなど、戦前に書かれた本著に、今のネット社会や人工知能の発展などにも通じるような問題意識が見られたのも面白かった。 いつの時代もどんな偉大な思想家も、社会問題についてはその一つか二つ前の時代との比較になるので、どれほど科学が発達しても同じような問題意識は繰り返されるだろう。 それが歴史から学ぶ意義でもある。 最後に。 以前、成功か、幸福か、と問われた経験がある。 この本を読んで、要所はその問いでなく、その二つの分離と二項対立こそが問題なのだと教えられた。 しかし、もしその分離が社会や時代からくるものであるとしたならば、果たして個人の力や意識で乗り越えられるものなのか? 自分にとって、これはマキャヴェッリに次ぐ人生の問いだ。

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2023/10/16

一つ一つ立ち止まらず、意味を深く考えない事が完読出来た理由だと思う‼️ 一つの読書体験にはなったが、この作品から何を学べたのかは今はわからない‼️

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2023/09/11

170ページちょっとの薄い本。 だがしかし、内容が濃い。 私の場合は精神年齢が本に追いついていないせいか 内容を理解するのに時間がかかりました。 昭和二十九年発行。 当時の学生さんはすんなり本の内容を受け入れていたのかと思うと、昔の人々の成長スピードの速さに驚かされます。 この...

170ページちょっとの薄い本。 だがしかし、内容が濃い。 私の場合は精神年齢が本に追いついていないせいか 内容を理解するのに時間がかかりました。 昭和二十九年発行。 当時の学生さんはすんなり本の内容を受け入れていたのかと思うと、昔の人々の成長スピードの速さに驚かされます。 この本が難しく感じる理由として、具体例がないことが挙げられます。 使っている単語が難しい(なじみのない言葉)上に、具体例がないので、文章から自分の経験に落とし込んで理解する必要がありました。 (辞書引きながら本読んだのは学生の時以来です) 正直、著者の言わんとしていることを全て理解できたかというと?です。1/3くらい理解できた感覚かなぁ。 この本で得た気づきは以下です。 ”他人の幸福を嫉妬する者は、幸福を成功と同じに見ている場合が多い。幸福は各人のもの、人格的な、性質的なものであるが、成功は一般的なもの、量的に考えられ得るものである。だから成功は、その本性上、他人の嫉妬を伴い易い。” 幸福と成功は同じものであると、長年ごっちゃにして生きてきましたが、そうではない!のです。 幸福と成功は別物であり、別の性質を伴うものだと説いています。 長いこと、他人の成功を嫉んできましたが、幸福と成功を同じものとして考えていたからなのかもしれません。 (結構多いんじゃないかな~) 他人の成功を素直に喜べる人は、幸福と成功の違いを理解して腹落ち出来てる人なんじゃないかな、と感じました。 では、他人の成功を嫉妬せず、自分には自分の幸福があると自信を持つためには?? ”自分で物を作ることによって。嫉妬からは何物も作られない。人間は物を作ることによって自己を作り、かくて個性になる。個人的な人間ほど嫉妬的でない” と、著者は説いています。 嫉妬からは何も生まれない。嫉妬するくらいなら行動しろって事ですね。 久しぶりに体力の使う本を読みました。 数年後読み返したら、今とは違った感じ方をするのかもしれません。

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2023/08/04

いい意味でフランクさがない。 ①全ての根源は想像力である。 想像すること=期待すること=原動力『社会の基礎は契約ではなく期待である』 ②生きること=形成すること 形成の根源は希望であるが、この希望は常に他者から与えられるものであるが故に、失うことができない(確実性)。→人間は...

いい意味でフランクさがない。 ①全ての根源は想像力である。 想像すること=期待すること=原動力『社会の基礎は契約ではなく期待である』 ②生きること=形成すること 形成の根源は希望であるが、この希望は常に他者から与えられるものであるが故に、失うことができない(確実性)。→人間は形成し、与えることで価値を持つ→それは人間が本来的に虚無的な存在であるからだ。 ③個性は先天的なものではなく、獲得していくものである。 ④人生は旅である。 旅においては、到着点(結果)が重要なのではなく、その「過程」で見たもの、新しく視点に加わったものが重要である。その点において人生も旅のようなもので、結果を追い求めるのではなくて、自分自身に目を向け、紆余曲折の中に創造を続けていく過程こそが人生である。

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2023/07/01

はっきり言って、今までで一番自分には難しい作品でした。挫折するのは嫌なので最後まで執念で読破しましたが。内容は入ってきません(笑) トルストイの人生論の方が分かりやすかった。

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2023/06/07

メモ→ https://twitter.com/nobushiromasaki/status/1666277285757071361?s=46&t=z75bb9jRqQkzTbvnO6hSdw

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2022/12/08

昭和初期に活躍した哲学者、三木清氏の人生について、考え抜かれた23項目の小論文的なエッセイ。 さすがに、俯瞰的に考えていられて、時代を感じさせない。 個性について、というのが最後に掲載されている。これは、附録とされ、大学卒業直前の「哲学研究」掲載の文章とのこと。それまでのものと比...

昭和初期に活躍した哲学者、三木清氏の人生について、考え抜かれた23項目の小論文的なエッセイ。 さすがに、俯瞰的に考えていられて、時代を感じさせない。 個性について、というのが最後に掲載されている。これは、附録とされ、大学卒業直前の「哲学研究」掲載の文章とのこと。それまでのものと比べると、長く、難しい。その中で、自分自身の個性に触れているところがあり、「万の心をもつ人」であるという。そして、心理学者がそれを理解する試みをするだろうと。そして、自分の定義がされればされるほど、その価値が減じるように思うという。 たぶん、おそらくは、私達が理解しかねるところを、解説書を読むのではなく、ご本人の著述を読んで考えて欲しいと思っているのではないのかと思う。 虚栄について、偽善について、懐疑についてなどは、それぞれが絡み合いながら著述されてくる。 なかなか、全部を理解することは、難しいし、お互いが、所属する組織が、双方で理解していないとその実践には至らないのでしょう。三木もどうにか戦争を回避しようと、彼の理論を使っただろうけど、最後は、一人で獄中死を迎える。 また、時間を置いて読んでみようと思います。

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