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三四郎 の商品レビュー

3.8

361件のお客様レビュー

  1. 5つ

    72

  2. 4つ

    122

  3. 3つ

    103

  4. 2つ

    18

  5. 1つ

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2022/07/03

数十年ぶりに再読。東京帝大入学のために熊本から上京した三四郎。学友の与次郎、与次郎が心酔している広田先生、理科大学で研究している野々宮とその妹のよし子、偶然出逢った美禰子等に囲まれながらの生活。年齢故か田舎出のせいなのか、三四郎は受動的で頼りなく、風に吹かれて流れていく雲のよう。...

数十年ぶりに再読。東京帝大入学のために熊本から上京した三四郎。学友の与次郎、与次郎が心酔している広田先生、理科大学で研究している野々宮とその妹のよし子、偶然出逢った美禰子等に囲まれながらの生活。年齢故か田舎出のせいなのか、三四郎は受動的で頼りなく、風に吹かれて流れていく雲のよう。作中に繰り返し登場する「ストレイシープ」は三四郎のことを指すのは勿論、他の登場人物達にも当て嵌る。今世を生きる者全てがストレイシープだ。本作を読んでいると、生きる上で、どれだけ己の意思決定が反映されているのか、甚だ怪しいものだと思わざるを得ない。自ら選択したことだと思っているのは単なる錯覚で、実際は己の取り巻く環境や人間によって軌道をコントロールされているのではないだろうか。そう考えると三四郎が最後に呟いている「ストレイシープ」は何だか恐ろしい言葉に聞こえてくる。

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2022/06/01

恋愛小説かと思ったら違った 確かにそういった要素もあるのだけれど、それよりも主人公を取り巻く人間の浅ましさやそれを見た主人公のシニカルさをうまく表現したもののように思った 物語自体は正直冗長さを感じたが、ストーリー性よりも人間描写を重視したのかなとも思った 繊細な漱石らしい作品だ...

恋愛小説かと思ったら違った 確かにそういった要素もあるのだけれど、それよりも主人公を取り巻く人間の浅ましさやそれを見た主人公のシニカルさをうまく表現したもののように思った 物語自体は正直冗長さを感じたが、ストーリー性よりも人間描写を重視したのかなとも思った 繊細な漱石らしい作品だと思った

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2022/05/27

田舎から上京してきた、奥手で素朴な青年(三四郎)が都会の先進的な女性(美禰子)相手に初恋を経験する物語。 時代背景は、日露戦争後の明治後期、欧米の文化がどしどし入ってきて、個人主義の考えが広まりつつある時代。 (このイデオロギーによる人の考えの変遷については、作中で広田先生が面...

田舎から上京してきた、奥手で素朴な青年(三四郎)が都会の先進的な女性(美禰子)相手に初恋を経験する物語。 時代背景は、日露戦争後の明治後期、欧米の文化がどしどし入ってきて、個人主義の考えが広まりつつある時代。 (このイデオロギーによる人の考えの変遷については、作中で広田先生が面白く解釈している) 三四郎の視点からしか描かれていないので、美禰子の心情は、三四郎目線で汲み取るしかないけど、まあ、初恋は実らないものだよね、の典型的なパターンだと思う。この通説が漱石の時代からあったのかは不明だけど。美禰子がほどよい色気漂ういい女すぎて、ウブな三四郎には早すぎる感がひしひしと伝わってきます。

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2022/04/16

美術、哲学、物理学など、漱石がいかに博識か、さらには漱石が捉える景色や心象の描写がいかに的確で多様な表現でなされているかにただ驚かされた。今更なに言ってんのって感じだけど。 ストーリーとしては、いろいろあった結果、何も変わってない。広田先生が偉くなるわけでも、三四郎が美禰子また...

美術、哲学、物理学など、漱石がいかに博識か、さらには漱石が捉える景色や心象の描写がいかに的確で多様な表現でなされているかにただ驚かされた。今更なに言ってんのって感じだけど。 ストーリーとしては、いろいろあった結果、何も変わってない。広田先生が偉くなるわけでも、三四郎が美禰子または野々宮妹と結婚するというわけでもない。何も変わらないけれど、三四郎の(美禰子もだと思うけど)ストレイシープな心情が伝わってくる。現代よりもクローズドされた恋愛模様の中での心情の探りあいにリアリティを感じる。 と、なんかそれっぽいように感想を書いてみたものの、ちゃんと理解できてないだろうな。とりあえず、今読んでも全く色褪せず、おもしろいもんはおもしろいし、クオリティがめっちゃ高いということだけはしっかりと受け止めたい。さすが。

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2022/04/05

春に読みたい一冊。 立身出世の大志を抱き、田舎から都会に出てきた学生の青春って、明治時代も現代も、変わらないんだなぁ。 自分の大学時代を思い出し、読後はノスタルジックな気分になります。

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2022/03/14

こころと比べると物足りなく感じるかもしれない。 内容は少しだけ難しいけど、割と現代と変わらないようなかんじもするし、昔ならではの結末なかんじもする。終わり方好き。 美禰子の心情が終始不思議な雰囲気漂ってた。 与次郎がいいキャラしている。

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2022/02/22

自分の価値を理解している女性は、美禰子のような振る舞いをすることがあるように思う。 ただし美禰子はそれをよく認識しつつも強い意志で行なっているわけではなく、心はどうしようもなく迷子になっているのがなんとも憎めないなと感じた。

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2022/01/16

昭和55年3月10日 83版 再読 時代は明治後半、九州(出身は福岡、学校は熊本)から大学進学の為上京した小川三四郎の、東京での青春物語。前期三部作の一つ。 当時も大学の講義は面白くなかった様子。コンパのような集まりにも参加する。文化祭に似たような物もある。少し悪めの友人が出来...

昭和55年3月10日 83版 再読 時代は明治後半、九州(出身は福岡、学校は熊本)から大学進学の為上京した小川三四郎の、東京での青春物語。前期三部作の一つ。 当時も大学の講義は面白くなかった様子。コンパのような集まりにも参加する。文化祭に似たような物もある。少し悪めの友人が出来たり、研究室に閉じ籠りがちな研究者も居たりする。文化は変化していても、現在と似たような生活を垣間見る。そんな東京で三四郎は成長していき、淡い恋もする。 若い頃読んだ時は、見えなかった物が見えたりした。又、これも新聞小説であった事も知り、作中で当時の日本の社会批判を登場人物に語らせている事に驚いた。 stray sheep 迷える羊 が頻繁に出てくる。三四郎も明治日本も漱石自身も迷える時代だったのかもしれないですね。

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2021/11/02

明治時代という旧時代の因習と新時代の気運が渾然一体となった時代を切り取った青春小説。読了した後に見た、中田のあっちゃんのYouTubeでは明治時代のトレンディドラマと銘打たれていて、なるほどと思った。三四郎をコミカルに演じるあっちゃんの演技力で読みも深まった。正直、一読しただけで...

明治時代という旧時代の因習と新時代の気運が渾然一体となった時代を切り取った青春小説。読了した後に見た、中田のあっちゃんのYouTubeでは明治時代のトレンディドラマと銘打たれていて、なるほどと思った。三四郎をコミカルに演じるあっちゃんの演技力で読みも深まった。正直、一読しただけでは心内描写がふんだんにある三四郎はともかく、美禰子をはじめとする他の登場人物が何を考えているか理解するのは難しかった。 三つの世界を持ち出して、勝手に脳内で国から母を招いて、美しい嫁さんをもらって、学問するなどという大それた妄想をする割には美禰子の気持ち一つわからない三四郎が愛おしい。特に随所で見せる家族愛が人間らしい。 少なくとも人間の見方において漱石自身に最も近いのが広田先生かと。明治時代、日露戦争に勝利し、日英同盟に湧く日本を亡びるねと断じる。愛国心、家族制度と言った伝統が漱石の唱える個人主義と対立する様を風刺的に描く。それでも広田先生を偉大なる暗闇として成功者として描かなかったのは漱石の少しばかりの厭世主義のあらわれだろうか。

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2021/09/13

こころよりも難しく感じた。何か特別なことが書かれていたわけではないが、昔も今も変わらないのだと感じた。そして様々な人に出会いたいと思った。

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