三四郎 の商品レビュー
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物凄くお洒落な恋愛小説。 最後の絵(女)に対するそれぞれの近寄り方が象徴的で、謎解きの答え合わせみたいでスッキリ。 最終的に美人なら誰でもいいような男と美禰子が結婚することになったあまりの不遇に、小説だからこそ「どうしてそんなに鈍いんだ三四郎!!」と胸倉掴んで揺さぶりたくなったけど、心根が優しくて繊細で、善良な三四郎だからこそ、自分を律して真実に気付けないってこともあるのかなあ。こういう人、時代も場所も越えてたくさん居そう。
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(Mixiより, 2010年) 軽やかな質感だけど、現実感と虚無感を行き来するようなこの雰囲気に俄然吸い込まれてしまう中篇。物語の推進力は大学に入学し、新生活をはじめた三四郎の恋だが、それに添えられる話が現実的でもあり、一種幻想的でもあり、どれも味わい深い。「・・・あとは散漫に美...
(Mixiより, 2010年) 軽やかな質感だけど、現実感と虚無感を行き来するようなこの雰囲気に俄然吸い込まれてしまう中篇。物語の推進力は大学に入学し、新生活をはじめた三四郎の恋だが、それに添えられる話が現実的でもあり、一種幻想的でもあり、どれも味わい深い。「・・・あとは散漫に美禰子の事が頭に浮かんで来る。美禰子の顔や手や、・・・(中略)・・・色々に出て来る。三四郎は本来からこんな男である。(中略)先方がどう出るだろうという事ばかり想像する。自分が、こんな顔をして、こんな事を、こんな声で云って遣ろうなどとは決して考えない。しかも会見が済むと後からきっとその方を考える。そうして後悔する。」(三四郎)「馬鹿だなあ、あんな女を思って。思ったって仕方ないよ。第一、君と同い年じゃないか。同年位の男に惚れるのは昔の事だ。」(与次郎)など名シーン、名台詞の連発。美禰子と人のにぎわいから抜け出して、空を眺めるシーンが大好き。何度も読んでます。
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「三四郎」は、明治41年(1908年)朝日新聞に連載された小説。 翌年には春陽堂から発行されています。 続編の「それから」、「門」へと続く三部作の一作目です。 「三四郎」以降の作品は、ユーモラスなものが排除され憂鬱さが前面に出てきます・・・。 夏目漱石の人生を知ると作品の生い立...
「三四郎」は、明治41年(1908年)朝日新聞に連載された小説。 翌年には春陽堂から発行されています。 続編の「それから」、「門」へと続く三部作の一作目です。 「三四郎」以降の作品は、ユーモラスなものが排除され憂鬱さが前面に出てきます・・・。 夏目漱石の人生を知ると作品の生い立ちに連動していることがよくわかります。 熊本から大学進学で上京した三四郎。 彼は、自分の周りには「郷里」「学問」「恋愛」の三つの世界があることに気が付きます。 どこに向かうべきか。 揺れ動く心の様を漱石は描いていきます。
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一番いいなと思った表現は 「青春の血が暖かすぎる」 夏目漱石から出てくる言語表現に美しさを感じずにはいられない物語。 目まぐるしい毎日と戦う三四郎はとにかく純粋すぎてかわいい。 美禰子さんをみていると、当時の女性の息苦しさの規模がよくわかる。 また歳をとってから読みたい一...
一番いいなと思った表現は 「青春の血が暖かすぎる」 夏目漱石から出てくる言語表現に美しさを感じずにはいられない物語。 目まぐるしい毎日と戦う三四郎はとにかく純粋すぎてかわいい。 美禰子さんをみていると、当時の女性の息苦しさの規模がよくわかる。 また歳をとってから読みたい一冊です。
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大人になってから夏目漱石をちゃんと読んだ。 いつの時代に読んでも面白いから名作と呼ばれているのだなと納得した。 三四郎は熊本から東京大学へ通うべく上京するのだが、この時代のエリートの最先端のお話。三四郎が純粋で真っ直ぐで、モダンガールの美禰子に恋をする。 大学生のノリというか文化...
大人になってから夏目漱石をちゃんと読んだ。 いつの時代に読んでも面白いから名作と呼ばれているのだなと納得した。 三四郎は熊本から東京大学へ通うべく上京するのだが、この時代のエリートの最先端のお話。三四郎が純粋で真っ直ぐで、モダンガールの美禰子に恋をする。 大学生のノリというか文化的なものは今も昔もあまり変わらないものだ。 当時の文化や考え方を知れて興味深かった。
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熊本から大学に入学するため東京に来た三四郎の話。夏目漱石の作品の中でも、何度も読んでしまう作品です。学生の頃に読んだときと、社会人になってから読んだときの気になる部分や面白い部分が違ってくるのが、また読みたくなる要因かもしれません。 トレンディドラマのような三四郎と美禰子の関係。...
熊本から大学に入学するため東京に来た三四郎の話。夏目漱石の作品の中でも、何度も読んでしまう作品です。学生の頃に読んだときと、社会人になってから読んだときの気になる部分や面白い部分が違ってくるのが、また読みたくなる要因かもしれません。 トレンディドラマのような三四郎と美禰子の関係。お互い好きだと思うのに、伝えられないし、相手の行動から好意を寄せていることを読み落としているし。心情描写が非常に面白いです。また漱石の作品に出てくる女性の描写は興味深いです。 恋愛模様だけでなく、三四郎が生きた時代の日本、東京、日本の学生たちの生活はこんな感じなんだというのも垣間見れて三四郎とともにこの時代の青春を味わえます。
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九州から東大に上京してきた三四郎とそれを取り巻く人たちの話。都会的な女性美禰子に惹かれるのだが距離が縮まらないところはとてももどかしい。優しさなのか度胸の無さなのか、ストレイシープは三四郎そのもの、矛盾、女は恐ろしい、登場人物の描き方が上手いと感じた。
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※このレビューにはネタバレを含みます
三四郎の「田舎で送ってきた人生」「俗世から離れたアカデミックな人生」「華やかな人生」と三つの世界でアイデンティティを問い直している様子が俯瞰的に描かれており、大学生特有の悩みは200年前から変わらないのだと考えた。 結局三四郎は「度胸のない人」だったのだろうか。
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猫や坊つちやんに比べるとつまらない 描写にうまいところはあるが、肝腎のストーリーは退屈。中途の、熊本の牛肉屋で学生が肉を壁に叩きつけるといふ所だけが法螺のやうで唯一おもしろかった。それ以外は結局なんだったのかわからず、ただだらだらと書いてゐる。やはり漱石でおもしろいのは吾輩は猫...
猫や坊つちやんに比べるとつまらない 描写にうまいところはあるが、肝腎のストーリーは退屈。中途の、熊本の牛肉屋で学生が肉を壁に叩きつけるといふ所だけが法螺のやうで唯一おもしろかった。それ以外は結局なんだったのかわからず、ただだらだらと書いてゐる。やはり漱石でおもしろいのは吾輩は猫であると坊つちやん、夢十夜くらゐなもので、小谷野敦は『夏目漱石を江戸から読む』で、三四郎は美禰子と出会ふまへから江戸文藝的な女性嫌悪観念を抱いてゐると指摘してゐて、なるほどと思った。
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三四郎は真面目と言うか初々しいというか、田舎臭すぎないし、都会にかぶれてないし、流されてるわけじゃないと思うけどちょっと足元覚束無い青年 これから先彼は何をしたいんだろうな 「矛盾だ」って呟いたところの形が良くってなんか好き それとお母さん想いなところも好感が持てる
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