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ヴィヨンの妻 の商品レビュー

3.9

302件のお客様レビュー

  1. 5つ

    70

  2. 4つ

    113

  3. 3つ

    68

  4. 2つ

    14

  5. 1つ

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2023/07/24

短編集... それぞれ、引き込まれるように読む。 行間に余韻があるというか...上品ですね...そんなことを感じた。 読み始める前に著者太宰治の略歴を改めて見直して読み始めた... 何十年ぶりだろう... そんなことを思いながら読み進み新たな発見があるようにも感じた... ...

短編集... それぞれ、引き込まれるように読む。 行間に余韻があるというか...上品ですね...そんなことを感じた。 読み始める前に著者太宰治の略歴を改めて見直して読み始めた... 何十年ぶりだろう... そんなことを思いながら読み進み新たな発見があるようにも感じた... 『百冊で耕す』を読んで、太宰治をこの歳になって 改めて読んでみようと思った次第...

Posted byブクログ

2023/06/23

太宰治の晩年の作品を集めた一冊。 表題作「ヴィヨンの妻」のほか、「親友交歓」「トカトントン」「父」「母」「おさん」「家庭の幸福」「桜桃」を収録。 暗く死の影を感じる作品が多く、もの哀しい気持ちになった。 「ヴィヨンの妻」は、ろくでなしの詩人の夫と、そんな夫を子どもと待つ健気な妻...

太宰治の晩年の作品を集めた一冊。 表題作「ヴィヨンの妻」のほか、「親友交歓」「トカトントン」「父」「母」「おさん」「家庭の幸福」「桜桃」を収録。 暗く死の影を感じる作品が多く、もの哀しい気持ちになった。 「ヴィヨンの妻」は、ろくでなしの詩人の夫と、そんな夫を子どもと待つ健気な妻のお話。 家族を蔑ろにする夫なのに会えるだけで嬉しいって、もうなんか愛人みたい。いや愛人なのかも。太宰治自身、不倫してたって話だし。 しかし体験談を元に書いてるとしたら太宰治も相当なものだ。 女の健気さを描くことで男のろくでなし感をあえて引き立たせているように感じた。 そうだとしたら、自身に絶望を抱いていたに違いない。

Posted byブクログ

2023/06/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

親友交歓が個人的に面白かった。 突然自宅を訪問してきた、好いところが1つもみじんもない男との飲み会。 自分の楽しみにとっておいたお酒を鯨飲されるわ、話は下世話でつまらないわ、すごく嫌な時間を過ごしていた。 でも感情のままに発言せずに、自分のしたい流れを作るため相手の喜ぶ内容で色々と話をふっかけていた。 でも相手に響くことなく最後は大事なお酒の、新品をよこせと言われ渡すことになっていた。 ここまで来たら煙草もいるか聞いて、欲しいと言われたのであげてた。 終始、主人公はされるがままの状況だった。 でも最後、訪問してきた男は「威張るな!」と主人公に言っていたので、結局訪問してきた男の負けだなぁと思った。

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2023/04/22

 青森旅行前の再読。新潮文庫の定番どころで、『人間失格』『斜陽』『津軽』に続く4冊目。最晩年の短篇集から感じたのは、深い絶望感というよりも、あるべき人生の枠を前にした焦燥感だった。 <親友交歓>  故郷のの自称旧友から酒をたかられる話。成功者や金持ちへのやっかみと、取るに足らな...

 青森旅行前の再読。新潮文庫の定番どころで、『人間失格』『斜陽』『津軽』に続く4冊目。最晩年の短篇集から感じたのは、深い絶望感というよりも、あるべき人生の枠を前にした焦燥感だった。 <親友交歓>  故郷のの自称旧友から酒をたかられる話。成功者や金持ちへのやっかみと、取るに足らない人間を心の中で見下す気持ちのせめぎ合い。ねちっこい話だけど、嫌いではない。 <トカトントン>  戦後、何かやる気を出そうとしたところで「トカトントン」とトンカチの音が聴こえてきて何もかも馬鹿馬鹿しくなってしまう男が作家に手紙を出して、作家から「気取った苦悩ですね」と返される話。  手紙を出した男は、敗戦に伴う玉音放送とその時聞いた戦争熱に当てられた軍人の熱いトーク、そして近くから聞こえた「トカトントン」に、太平洋戦争というある種の熱狂の時代が終わった虚無感みたいなものに襲われる。こうしたパラダイムシフトは自分の今まで捧げてきた熱を否定されるような気もするのかもしれない。  ただ、そこでまた新しいものを建ててゆくという行為が、虚無と映るか新たな希望に映るかは人による。  作家の返信が虚無に陥った男への教訓めいた批判なのかなとは思うが、下手に考えてないでやることやったら?という突き放しなようにも思える。 <ヴィヨンの妻>  表題作。家庭のことは何もしない(できないという表現の方がしっくりくるかもしれない)夫と、その妻。妻は物語を通じて強くなってゆく。一方の夫は弱くなってゆく。  「女には、幸福も不幸もない」「男には、不幸だけがある」今の時代に生きると男女の違いはどんどん見えにくくなっているけれど、家庭を守るという「行為」に生きる女と、仕事と家庭というものへの向き合い方に悩んだ男の違いのように見受けられた。  家族を育むことに向いていないと思いながら家族を求めてしまうのは何故だろう。 <おさん>  『ヴィヨンの妻』以上に妻はからりとしている。そこには、夫との感情の隔たりが大きかったのだろう。よくまあ結婚したなという感じで、二人はしっかりと感情を交えることも無く終わる。 <家庭の幸福>  家庭の幸福は諸悪の本、と言いつつも、語り手の根底には家庭の幸福が全ての根源だという思いがあるような気もしてくる。  家庭の幸福を批判する論拠として一人の市民を結果的に死に追いやった役人の例え話が使われているが、これは「役人で無くてもよさそうである。銀行員だって、医者だって」(p.188)と言っており、社会的な地位のある職種ばかり。プリンシプルとでも言おうか、公務員かくあるべしという特定の職種への職業倫理を引き合いに出して、ようやく批判される家庭の幸福というものは、否定のし難い倫理として語り手を束縛しているように思える。 <桜桃>  「子供より親が大事、と思いたい。子供のために、などと古風な道学者みたいな事を殊勝らしく考えてみても、何、子供よりも、その親のほうが弱いのだ。」(p.190)という、出だしから苦しい感情が向かってくる。  前の短篇、「父」「母」「家庭の幸福」という言葉から、当時求められた家庭観のようなものが伝わってくる。  今でこそ、「子はかすがい」「父性」「母性」といった言葉は力を徐々に失い、海外ではもはや夫婦という形でなくても子どもを授かることが当たり前になっている国すらある。それでも、日本においては生きるための重要な土台であることに変わりなないし、それだけに父になることや母になることは立派な人になることが求められる。もちろん、それが良いことだとか悪いことだとか論じたい訳ではない。古い家族の形が悪いことなら、それならどうすればいいのかなんてわからない。  一度倫理感というものが自分に宿ったら、そこに殉じて生きようとも、これを破って生きようとも、心は休まることはないと思う。太宰を死に追いやったものはなんだろうと考えるときに、この短篇集は示唆的だし、この小説が持つ魔力は今なお衰えていないと思った。

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2023/04/16

文豪と呼ばれる作家の書いた作品で初めて読んだものがこの太宰治のヴィヨンの妻だったと思う。最後に読んだのは数年前だけれど、凄く心に残っている、また読み返したいな。

Posted byブクログ

2023/04/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

【ヴィヨンの妻】奥さんにおどおどしたところが一つもなく、すごく好き。きっぱりしていて、それで居て言葉遣いは物腰柔らかで、過去の経験から社交的で……良い女。 一方の夫については、読み進めれば進めるほどクズ男でイライラした。放蕩という2文字がよく似合う 読み終わったあとは、モヤモヤするかと思いきやどことなくすっとした。意外とラストシーンが比較的明るい感じというか、希望があるというか。 作中には、女には幸福も不幸もないと書いてあったが…どうか幸せになってくれ、奥さん!

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2023/03/13

戦後発表の作品を収めた短編集。家庭に金を入れず飲んでまわる、いわゆる「太宰治」のイメージを設定にした作品が大半だが、ストーリーにはヴァラエティがある。 印象的だったのは、 小学校時代の親友だという農夫が押しかけてくる「親友交歓」 終戦時に金づちの音を聞いて以来、金づちの音...

戦後発表の作品を収めた短編集。家庭に金を入れず飲んでまわる、いわゆる「太宰治」のイメージを設定にした作品が大半だが、ストーリーにはヴァラエティがある。 印象的だったのは、 小学校時代の親友だという農夫が押しかけてくる「親友交歓」 終戦時に金づちの音を聞いて以来、金づちの音を聞くとなにごとに対してもやる気が失せてしまう「トカトントン」 青森の旅館で見知った年増の女中を描いた「母」 夫の借金を返すために居酒屋で働くうちに社会の実相を知ることになる「ヴィヨンの妻」

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2023/01/19

晩年の短編集。表題作と「おさん」の2作、妻の目線が特に好き。太宰が女性性が強かったのではないかといつも勝手に思う。

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2023/01/03

太宰もしくは本著を深く勉強しないと理解は厳しい? 自由勝手な夫が最後は現実と向き合い今後の生き方を考慮したのは救い

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2023/01/03

トカトントンの世にも奇妙な感は忘れられなさそう。 家庭を扱った作品のほとんどは物書きの旦那を持つ妻の視点で描かれていて、その旦那は太宰よろしく酒と女に溺れている。 夫のいない家庭をここまで生々しい想像していながら入水自殺をしたのかと太宰への理解を改める一冊だと思う。 太宰が戦後ま...

トカトントンの世にも奇妙な感は忘れられなさそう。 家庭を扱った作品のほとんどは物書きの旦那を持つ妻の視点で描かれていて、その旦那は太宰よろしく酒と女に溺れている。 夫のいない家庭をここまで生々しい想像していながら入水自殺をしたのかと太宰への理解を改める一冊だと思う。 太宰が戦後まで生きてたの知らなかった。

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