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斜陽 の商品レビュー

4.1

690件のお客様レビュー

  1. 5つ

    219

  2. 4つ

    238

  3. 3つ

    134

  4. 2つ

    19

  5. 1つ

    2

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2023/09/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

直治の遺書 僕の生きている苦しみと、そうしてそのイヤな生から完全に開放される僕のよろこびを思ってみて下さったら、あなたたちのその悲しみは、次第に打ち消されて行く事と存じます。

Posted byブクログ

2023/09/27

お母さまがスウプを掬う初めの1ページ目が物語の最高地点で、そこから沈み続けていくストーリー。日が傾いでいく、というのがいいのか。 主人公のかず子さんは、何も知らな過ぎて見ていられない。ここまで痛々しい主人公なのに語り手も同じ温度なのが、なんかもうゾワっとする。笑 高校生の頃に...

お母さまがスウプを掬う初めの1ページ目が物語の最高地点で、そこから沈み続けていくストーリー。日が傾いでいく、というのがいいのか。 主人公のかず子さんは、何も知らな過ぎて見ていられない。ここまで痛々しい主人公なのに語り手も同じ温度なのが、なんかもうゾワっとする。笑 高校生の頃に読んだときはもう少し純粋に楽しめた気がするんだけど、読後若干胃もたれするので「もう歳をとってしまったのかなぁ」と少し寂しい、太宰治でした。

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2023/09/25

「「僕は恥ずかしさのために死にそうです」。カッコよく、堕ちていくのも悪くない。 破滅への衝動を持ちながらも“恋と革命のため”生きようとするかず子、麻薬中毒で破滅してゆく直治、最後の貴婦人である母、戦後に生きる己れ自身を戯画化した流行作家上原。没落貴族の家庭を舞台に、真の革命のた...

「「僕は恥ずかしさのために死にそうです」。カッコよく、堕ちていくのも悪くない。 破滅への衝動を持ちながらも“恋と革命のため”生きようとするかず子、麻薬中毒で破滅してゆく直治、最後の貴婦人である母、戦後に生きる己れ自身を戯画化した流行作家上原。没落貴族の家庭を舞台に、真の革命のためにはもっと美しい滅亡が必要なのだという悲壮な心情を、四人四様の滅びの姿のうちに描く。昭和22年に発表され、“斜陽族”という言葉を生んだ太宰文学の代表作。」 ・既存の価値観が大きくゆらぎ、何をよすがに生きて行けばいいのかわからない混迷の時代に、翻弄されながらも生きる道を探り続ける人物のあがきを描く『斜陽』は、今を生きるヒントに満ちている。 ・戦争が終わっても、世の中のシステムがあ全く変わらないことに苛立ち絶望していた太宰治は、常識に縛られず自分の中にある「生命力」や「生きようとする意志」に従って、立ちはだかる現実の壁を突き破ろうとする女性に、男性にない大きな可能性をみていたのではないか。かず子はその象徴ではないか。 ・時代やシステムの変わり目には、「空気を読まないこと」が多発する。常識から見てしまうと、それは単に「空気をよまないこと」として一方的に貶められてしまうが、実はそこにこそ新たなものが生み出される始動があるのではないか?太宰はそのことに戦後すぐに気付いていた。今でそ女流文学は全盛だがそのはるか昔に、太宰はそれを切り拓くようなことをすでに「女性の声」を使って遂げていたのだから。

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2023/09/14

最初のスウプを飲むシーンに象徴される、母の貴婦人具合。しかし全体に纏われる、死と滅びの匂い。母も弟も離れてしまうなか、愛し方も分からぬまま惚れた男の精子を求め、醜さを選び生きていこうと誓う主人公に涙腺が緩む。

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2023/09/07

すらすら読めてしまう。 おもしろすぎる。 ダメ男のはずなのに女性を次々と虜にしてしまう主人公の魅力がすごい。 これが実話なのも興味深い。 彼は天才だ!

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2023/09/05

かず子は、どこか危うい。母親や弟、恋しい男のために身をつくして、自分を形成するけど、周りにいる人たちは徐々にいなくなってしまう。自分のバランスを保とうとするほど、微妙に不安定になっていくから、悲しくて、同時に少し恐ろしくもあった。

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2023/08/29

初めてちゃんと太宰治読んだ 文学的で昔の本は読みにくいと思ってたけどすごい読みやすかった! 他の本も読みたい気持ちになった、太宰治好きになれて嬉しい 貴族の母と娘のかず子、息子の直治、直治の師匠の上原が主な登場人物 かず子が6年前に一度だけ少しの時間会っただけの上原に送るラブレ...

初めてちゃんと太宰治読んだ 文学的で昔の本は読みにくいと思ってたけどすごい読みやすかった! 他の本も読みたい気持ちになった、太宰治好きになれて嬉しい 貴族の母と娘のかず子、息子の直治、直治の師匠の上原が主な登場人物 かず子が6年前に一度だけ少しの時間会っただけの上原に送るラブレターが怖すぎた 私の気持ちがわかる?、、、わからなかったら殴るわよとか 私は今まで人から嫌われた経験が無いんです。だからあなたも私をお嫌いのはずが決してないと思うのです。とかすごい 直治の遺書もいいし、日記的に書いてた 味気ない思い 金が欲しい さもなくば、眠りながらの自然死!とかいいね

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2023/08/26

道徳革命。 平等主義へのアンチテーゼ。 斜陽の明るさ。 【引用メモ】 不良とは、優しさのことではないかしら 片端から旧来の思想を破壊していくがむしゃらな勇気である。破壊思想。破壊は、哀れで悲しくて、そうして美しいものだ。 死んでいくひとは美しい。生き残るということ。それはたいへ...

道徳革命。 平等主義へのアンチテーゼ。 斜陽の明るさ。 【引用メモ】 不良とは、優しさのことではないかしら 片端から旧来の思想を破壊していくがむしゃらな勇気である。破壊思想。破壊は、哀れで悲しくて、そうして美しいものだ。 死んでいくひとは美しい。生き残るということ。それはたいへん醜くて、血の匂いのする、きたならしいことのような気もする。 生きている事。ああ、それは、何というやりきれない息もたえだえの大事業であろうか。 人間は、みな、同じものだ。なぜ同じだというのか。優れている、と言えないのか。奴隷根性の復讐。 斜陽には陰影があり、あるいは陰影の気配があって、それが一層明るさをきわ立たせる。 斜陽のような明るさ。自分が滅びることを避け難いものとして受けいれており、最後の光の中で輝いているからである。

Posted byブクログ

2023/08/24

有閑階級の没落が退廃的に描かれている。 物語としてのアップダウンはあまりないが、ただの食事シーンにすら厭世的な雰囲気を持たせてしまう高い表現力。 泥濘のような妙な重たい雰囲気が癖になる。

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2023/08/13

太宰四冊目。 ふっと、どの箇所だか忘れたが 一瞬「太宰が大嫌い」派の気持ちが...わかる!... と思った瞬間というか行間があった... しつこくて粘っこいのだ... じっとこらえて読み進む... 今まで読んだ太宰とはちょっと違った印象で読む... 長編のせいかもしれない.....

太宰四冊目。 ふっと、どの箇所だか忘れたが 一瞬「太宰が大嫌い」派の気持ちが...わかる!... と思った瞬間というか行間があった... しつこくて粘っこいのだ... じっとこらえて読み進む... 今まで読んだ太宰とはちょっと違った印象で読む... 長編のせいかもしれない... 登場人物を含むその風景の描写が美しいと思う。 見たこともないのに明らかに目に映る。 その人物の目を通して見ている気になる...好きだなぁ〜と思う。 最初の一行で鷲掴みされる... 母、直治(弟)かず子(姉)上原... 思いも及ばない展開...すごいです。 かず子は出戻り...でありながら可憐さの残る様子、そして 肉体的にも精神的にもたくましさを増し、自己実現のための M・C... 「女がよい子を産むためです」 自己実現へ淡々と突き進む様... 女は本能で産みたいと思うのか?感じ取るのか? そんなことも思いながら読んだ...。 いつもの解説者の解説もじっくり読んだ。 最後に「柄谷行人」という人が『斜陽』についてと書いていた。

Posted byブクログ