雪国 の商品レビュー
日本人初のノーベル文学賞を受賞した作家の初期の代表作。 情景描写が美しく、昭和初期の湯沢に自分もいるような感覚でした。 あえて細かく描写されない部分もあり、理解するのには少し時間がかかりましたが、世界観を感じることはできました。 読み終わると、冒頭の一文の意味の深さを感じました。
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初めて川端康成氏の作品を読んだ。内容を理解する事に手間取ったし、読み終わっても完全に理解したとは言えないが、まずまずの読み応えであった。解説を読んで少し理解した程度だが、他の作品も読んでみようと思った。
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ある意味びっくりしました。自分自身も寒い場所にいるような、物語の中に存在しているような感覚さえありました。文豪ってすごいなぁ
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書き出しがあまりにも有名な本作。 平易な文に見えて、説明が不足しており(敢えてしていない)実はかなり難解。 初期の川端康成はこの簡素さと取っ付きづらさが魅力。 作者の女性に対する繊細で残酷な視点がありありと分かる重要な一作。
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冷たいほどに澄んだ島村の心の鏡に映される駒子の烈しい情熱を哀しくも美しく描く、と裏表紙にあるが、著者にそのような意図があったのか多少疑わしい。 島村は「小太り」、しかも成人男性で「丸い頬」をしているほどだからよほど福々しい容姿だったらしく、それで舞踏評論家というのが面白い組み合わ...
冷たいほどに澄んだ島村の心の鏡に映される駒子の烈しい情熱を哀しくも美しく描く、と裏表紙にあるが、著者にそのような意図があったのか多少疑わしい。 島村は「小太り」、しかも成人男性で「丸い頬」をしているほどだからよほど福々しい容姿だったらしく、それで舞踏評論家というのが面白い組み合わせで、頭の中では江戸時代の滑稽本の挿絵で描かれた主人公と重なり、長いトンネルを超えた先の異郷の夢幻的な切ない恋愛話らしきものがぐっと明るめで地に着いた話になった。もちろん小太りの人に切なく恋焦がれてもいいのだけれど、島村がすかした優男ではなかったから、駒子が憧れや気兼ねを感じることなく、酔ってハチャメチャに絡んだりむさくるしい住居に案内したり、伸び伸び接しやすい、気のおけない関係に見える。葉子もよく知らない相手でも「東京に連れて行ってください」と言ってしまえるような気安い相手だったのだろうと。 按摩の女性が語った事情が本当なら憤懣やるかたない三角関係+借金で自由にならない身の上ながら、「一年に一回ぐらい来てね」が(鄙びた温泉地の健気でいじらしい芸者さんの気兼ねではなく)息抜きに必要な会うとホッとする人がそのくらいの頻度で来てくれるとちょうどいい、みたいに聞こえる。駒子は掃除や片付け好きで奉公も身体に無理をかけない、賢いしっかり者で、モデルになった女性がすっかり堅気の人生を全うしたのと重なる。それを本気で愛されている、と思っているのがまさに滑稽本の主人公=信頼できない語り手による叙述トリックのようで憎めない+この作品の奥深いところ。
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登場人物は少なく、皆、「逞しい」という印象を受けた。 妻子がありながら、親の遺産で温泉に入り浸る男、その男の温泉地の若い愛人、その愛人の許嫁(実際には許嫁ではなかったが)の男を世話する声の美しい女。 完全に自己解釈なので、間違えているかもしれないけれど、登場人物の女たちは純...
登場人物は少なく、皆、「逞しい」という印象を受けた。 妻子がありながら、親の遺産で温泉に入り浸る男、その男の温泉地の若い愛人、その愛人の許嫁(実際には許嫁ではなかったが)の男を世話する声の美しい女。 完全に自己解釈なので、間違えているかもしれないけれど、登場人物の女たちは純真であったり、秀麗であるが、それぞれの間には思慕ではなく、執着や執念のようなものを感じた。 そう思わせるのは冷徹な印象を受ける男の存在なのだろうか。 美しい情景の描写の中で、情念が対比的に描かれていて、いっそう際立っていたように感じた。
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生きることに必死な女を「美しい」と形容する、地に足をつけない男と、縋りながらも結末を分かっている女の、恋にまで至らない虚しさが漂う物語。 物語が醜くなる前にあえて終わらせていると気づいた時には感激した。
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印象的に繰り返される”徒労”という言葉。人の生き方を徒労だと下してしまうことほど残酷なことはないが、冷たく澄んだ島村の視点にほんのわずかに宿る情が、その言葉を美しくする。 男女の満たされない情の物語を基盤にしつつ、世の中を孤独に見つめる島村から見える雪国の世界。トンネルを抜けて...
印象的に繰り返される”徒労”という言葉。人の生き方を徒労だと下してしまうことほど残酷なことはないが、冷たく澄んだ島村の視点にほんのわずかに宿る情が、その言葉を美しくする。 男女の満たされない情の物語を基盤にしつつ、世の中を孤独に見つめる島村から見える雪国の世界。トンネルを抜けてこちら側へ戻ってくると、きっと消えてしまうその世界は、でも本を開くとずっとそこにある。不思議なことだと思う。
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色彩や熱量が感じられる作品。 なんだけど、主人公の男女の あり様というか、差が疎ましくも感じるのよね…自分が女性だからかもしれませんが。
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ノーベル文学賞を受賞した作者の代表作。 文学史的な価値も非常に高く不朽の名作といわれている。冒頭の「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」の一文はあまりに有名。 雪深い温泉町で許嫁の療養費を得るために芸者になった女性と、その生き方に惹かれつつもそれ以上の関係を持つことな...
ノーベル文学賞を受賞した作者の代表作。 文学史的な価値も非常に高く不朽の名作といわれている。冒頭の「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」の一文はあまりに有名。 雪深い温泉町で許嫁の療養費を得るために芸者になった女性と、その生き方に惹かれつつもそれ以上の関係を持つことない男性の心模様を描く。
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