興奮 の商品レビュー
名作ばかりを続けて読むのは案外疲れるものだ。疲れるほどに、引き込まれてしまう傑作のひとつである。 フランシスの作品の特徴のひとつは、主人公の持つ極めて硬い意志にある。この作品の主人公が時に率直に語る「曲げられないもの」は、なんというか、まぶしすぎる感じがする。 それでありなが...
名作ばかりを続けて読むのは案外疲れるものだ。疲れるほどに、引き込まれてしまう傑作のひとつである。 フランシスの作品の特徴のひとつは、主人公の持つ極めて硬い意志にある。この作品の主人公が時に率直に語る「曲げられないもの」は、なんというか、まぶしすぎる感じがする。 それでありながら、敵を打ち負かす為にその自尊心が傷つけられることを耐え忍ぶ。そうして得たものを、誰かを守る為に投げ捨てる。精神的にも肉体的にも堪え難いことに耐えてきたくせに、「私は記憶力が弱くて」なんてしゃあしゃあと言う。命がけで依頼を果たして報酬を返し、「では、なぜ引き受けたんだ」と訊かれて「スリルのためですよ」と答える。嫌味すれすれのかっこよさである。 物語は典型的な追跡物で、まさに猟犬のように追いかけていく主人公を見守るばかり。途中に起きる大事件が印象的で、そこで雰囲気がガラリと変わるあたりが読み応えがあるところだと思う。 シッド・ハレーではなく、本作の主人公が再登場していたらどんな物語になっていたのだろう。果たせないことだけど、ぜひ読んでみたかった。
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競馬の話題で意気投合した知人から頂いた。 三十年以上前の作品だが、今読んでも新鮮。 特に、不正のトリックは驚きだった。 タイトル通り興奮する事間違いなし。(10/31)
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初期の代表作。 長らくベストワンの位置を占めていました。 オーストラリアの若き牧場主・ダニエル・ロークが、イングランドの競馬界の重鎮から、潜入捜査を依頼される。 両親亡き後に弟妹を育てあげることに献身してきたダニエルだったが…? フランシスの主人公の中で、もっともハンサムで、おの...
初期の代表作。 長らくベストワンの位置を占めていました。 オーストラリアの若き牧場主・ダニエル・ロークが、イングランドの競馬界の重鎮から、潜入捜査を依頼される。 両親亡き後に弟妹を育てあげることに献身してきたダニエルだったが…? フランシスの主人公の中で、もっともハンサムで、おのずと自信があり、自己肯定的。 時代が違うので、最初に読むには薦めませんが、数冊読むならそのうちの一冊にぜひ。
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高校生の頃、人に勧められて読んだのだが、海外ミステリにつきものの名前がよく覚えられないのと、本書の特色である競馬という競技の背景を理解していなかったので、内容が全然頭に入ってこなかった。もちろん面白さも理解できなかった。 今は海外ミステリを好んで読むようになったので、面白かった。...
高校生の頃、人に勧められて読んだのだが、海外ミステリにつきものの名前がよく覚えられないのと、本書の特色である競馬という競技の背景を理解していなかったので、内容が全然頭に入ってこなかった。もちろん面白さも理解できなかった。 今は海外ミステリを好んで読むようになったので、面白かった。ディック・フランシスの競馬ミステリの第一弾として邦訳された本書は、ハードボイルドで硬派なミステリです。
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競馬好きの友達は今までいくらすすめても本は読まないので話してもいいかと思い、この本のトリックを話したら、笑われてしまった。読めば面白いいんだけど残念。
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3―1 傑作と評判の作品。 「〔競馬シリーズ〕最近イギリスの障害レースでは思いがけない大穴が十回以上も続出した。番狂わせを演じた馬には興奮剤投与の形跡が明白であったが、証拠が発見されなかった。そこにはどんなからくりがあるのか? 事件の解明を依頼された牧場経営者ロークは、厩務員に身...
3―1 傑作と評判の作品。 「〔競馬シリーズ〕最近イギリスの障害レースでは思いがけない大穴が十回以上も続出した。番狂わせを演じた馬には興奮剤投与の形跡が明白であったが、証拠が発見されなかった。そこにはどんなからくりがあるのか? 事件の解明を依頼された牧場経営者ロークは、厩務員に身をやつして、黒い霧の調査に乗り出した!」書評より
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障害レースで思いがけない大穴が続いていた。番狂わせを演じた馬は、その時の状況から推して明らかに興奮剤を与えられていた。ところがいくら検査をしても興奮剤を投与した証拠が出ない。どんなからくりで不正が行われているのか? 事件の解明を急ぐ障害レースの理事はオーストラリアに飛び、種馬牧場...
障害レースで思いがけない大穴が続いていた。番狂わせを演じた馬は、その時の状況から推して明らかに興奮剤を与えられていた。ところがいくら検査をしても興奮剤を投与した証拠が出ない。どんなからくりで不正が行われているのか? 事件の解明を急ぐ障害レースの理事はオーストラリアに飛び、種馬牧場を経営するロークに黒い霧の真相究明を依頼した。元全英チャンピョン・ジョッキーが描く競馬ミステリの白眉!―――――ジャンルはミステリというよりもハードボイルドになるでしょうか。あらすじの通り、主人公が潜入捜査するお話です。案外つまづかずに読めました。潜入捜査のため偽りの自分を演じる主人公なんですが、そこがカッコ良くて、正に男って感じでした。ただただ忍耐あるのみです。ただ自分はハードボイルド物は苦手なので…
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一気読みのはずだったが時間切れ。しかし,二日目も勢いよく読み進み,なかなか興奮。とくに競馬ミステリということを意識しなくとも十分ミステリ,というか冒険小説というか。ただ,主人公が今後のシリーズ化を匂わせるような発言をしておきながら続編がないのが憤り。
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