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氷点(下) の商品レビュー

4.2

100件のお客様レビュー

  1. 5つ

    42

  2. 4つ

    27

  3. 3つ

    16

  4. 2つ

    4

  5. 1つ

    1

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2021/10/12

陽子ちゃんはいい子だ。 澄んでいてけがれがなく美しく賢い。 本人には何も落ち度がないところ、それでいてお金に困るところ、そして周りの人をあてにできなく孤立していくところ、その境遇がどことなくザリガニの鳴くところを思い出しました。 美しく、才能があり、賢い、それでいて認められるべき...

陽子ちゃんはいい子だ。 澄んでいてけがれがなく美しく賢い。 本人には何も落ち度がないところ、それでいてお金に困るところ、そして周りの人をあてにできなく孤立していくところ、その境遇がどことなくザリガニの鳴くところを思い出しました。 美しく、才能があり、賢い、それでいて認められるべき人に認められない、社会からも孤立してしまう。 いい人だからこそ、本当に悲しい。

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2021/09/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

陽子以外のどの人間にも共通して言えることだが感情の波が激しすぎる上にこってり目の心内描写で憎悪や歪んだ愛が描かれていく様が少々胃もたれした、、、。何度も映像化されているとのことで映画やドラマの形の方がアクが抜けて、受け入れられやすい気がした。 逆に言えばそんな癖モノたちに囲まれてもなお、決然と生き続けた陽子の姿は美しく、結末の遺書の部分は感情を堪えながら読み進めた。自分が犯した罪ではなく、自分の出生に刻み込まれた原罪からくる呵責によって自殺する。 自殺はキリスト教においては罪とされているにせよ、陽子が自分の出自を知ってしまった上でその後も夏枝や啓造と暮らしていったであろうことを思うと死が「すくい」になることさえあるのだろう。

Posted byブクログ

2021/06/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

心の内がつぶさに描写され、人一人の人生の奥行きと重みが否応なしにのしかかってくる。悲しみや寂しさ、醜い悪意と自己愛。重苦しくても読むのをやめられずどんどん没入していった。 読後、言葉も涙も次々溢れてくる。 どんな人間にも後ろ暗い感情の一つや二つ、あるものだと思う。聖書の教えを元に自問自答する啓造が、教会に行かずともその役割をほとんど果たしているのではないかとか思えた。 愚かだが愛すべき人間が何を選択しどう生きるのか、心に訴えかけてくるものがあった。

Posted byブクログ

2020/07/12

「原罪」というテーマが先にあって書かれた作品だとか。しつこいくらい緻密に書かれた複数の登場人物の心情の移ろいから、人間の根本的な性質が浮き彫りになる。タイトルが良い。

Posted byブクログ

2019/03/24

まさに昼ドラそのものみたいな物語だった。 夏枝の気持ちもわからないではないけど、自分の事はすっかり棚の上にあげて自分勝手に陽子を責め続ける夏枝にほんとに腹が立った。 陽子があまりにもかわいそうでほんとうに幸せになってほしいと思った。 そんな昼ドラの世界に思いっきり引き込まれつつ陽...

まさに昼ドラそのものみたいな物語だった。 夏枝の気持ちもわからないではないけど、自分の事はすっかり棚の上にあげて自分勝手に陽子を責め続ける夏枝にほんとに腹が立った。 陽子があまりにもかわいそうでほんとうに幸せになってほしいと思った。 そんな昼ドラの世界に思いっきり引き込まれつつ陽子が幸せになってくれる事を祈って続編を読んでみようと思う。

Posted byブクログ

2018/08/02

評価は5(++) 内容(BOOKデーターベース) 自分が辻口家を不幸にした殺人犯の子であるとして、自殺をはかった陽子。一命をとりとめ、父・啓造や母・夏枝からすべてを謝罪されたが、自分が不倫の末の子であったという事実は潔癖な陽子を苦しめた。 大人になりきれない夏枝にイライラ。そ...

評価は5(++) 内容(BOOKデーターベース) 自分が辻口家を不幸にした殺人犯の子であるとして、自殺をはかった陽子。一命をとりとめ、父・啓造や母・夏枝からすべてを謝罪されたが、自分が不倫の末の子であったという事実は潔癖な陽子を苦しめた。 大人になりきれない夏枝にイライラ。そして良い子過ぎる陽子にやきもき。大人の分別のある辰子が出てくるとホッとする。イライラしながらも続・氷点(上)へ続く

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2017/08/08

上巻を読んでどんよりした気持ちになったので、なかなか下巻に手を伸ばせなかったのだが、読み始めたら一気読みだった。 上巻のラストで九死に一生を得てキリスト教的な清らかな気持ちになった啓造だが、やはり相変わらず夏枝を許せず、陽子に愛情が持てず、そんな自分を嫌悪し反省する。陽子の出生の...

上巻を読んでどんよりした気持ちになったので、なかなか下巻に手を伸ばせなかったのだが、読み始めたら一気読みだった。 上巻のラストで九死に一生を得てキリスト教的な清らかな気持ちになった啓造だが、やはり相変わらず夏枝を許せず、陽子に愛情が持てず、そんな自分を嫌悪し反省する。陽子の出生の秘密を知った夏枝、成長して陽子を愛し始めた徹、自分が養女だと知った陽子、それぞれに胸に秘めた思いを抱えた辻口家の不安定な日々。 罪と赦しについて嫌というほど考えさせられる話だが、ラストの陽子の決断はやはり共感し難い。 続編を読むか迷うところだ。

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2017/03/14

圧巻の三浦綾子。ドロドロなんて言葉では言い表せない。人間が誰しも持っている醜さ、底意地の悪さ、そういうものも原罪と呼ぶのかもしれない。もし自分が氷点の世界にいたら何ができただろう?何を信じ誰を信じていただろう?人間なんて信用ならないもの無垢に信じていた陽子を誰が救えただろうか。 ...

圧巻の三浦綾子。ドロドロなんて言葉では言い表せない。人間が誰しも持っている醜さ、底意地の悪さ、そういうものも原罪と呼ぶのかもしれない。もし自分が氷点の世界にいたら何ができただろう?何を信じ誰を信じていただろう?人間なんて信用ならないもの無垢に信じていた陽子を誰が救えただろうか。 信じあっていた人たちが実は全員騙し合っていた、その結果何の罪もないのに罰をを受けたのは陽子ただ一人だった。啓造や夏枝の尋常ならざる汚さにはうんざりするけれど、人間だれもが何かのきっかけさえあれば心に巣食うかもしれない感情たちを目の当たりにして恐ろしくなった。「私ならこんなことしない」と言える人は幸せ者だ。やっぱり三浦綾子はすごいな。もっとこういう本を読まなければいけない。続氷点、読みます。 氷点の意味を知ったとき、心が凍るような陽子の様が手に取るように伝わった。なんという冷たく悲しいタイトルなんだろう。

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2017/02/05

青少年のための100冊、みたいなのによく入っているので小学生のころ読んだが、昼ドラばりのドロドロだしキャラの思考回路には腹がたつし文章が美しい訳でもないし、青少年としては何も得るところがなかった。 歳をとったら価値が理解できるかと思ったが未だにどのキャラにも共感できない上、無駄な...

青少年のための100冊、みたいなのによく入っているので小学生のころ読んだが、昼ドラばりのドロドロだしキャラの思考回路には腹がたつし文章が美しい訳でもないし、青少年としては何も得るところがなかった。 歳をとったら価値が理解できるかと思ったが未だにどのキャラにも共感できない上、無駄な読書に時間をとられたという記憶だけが濃縮されて苛立ちが増大しつつあるのでここに昇華しておく。 せめて「色々とまっさらでなくなった大人に…」というおすすめの仕方なら理解できるが、何故世の中は青少年にこれを読ませたがるのか。

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2017/01/24

上巻以上に一気読み。みんな哀れ…人の思い込みや過ちが、取り返しのつかないことに繋がる可能性を突きつけられ、身の引き締まる思いがした。陽子の純粋無垢な性格に、深い愛情を感じずにはいられなかった。続氷点、絶対読みます!

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