獄門島 の商品レビュー
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余所者を寄せ付けない排他的な島というだけでワクワクしてしまう。それが海賊の子孫や流人の子孫で構成されているというのがまた曰く付きで、事件の背景としてぴったりだ。 美人だが倫理観のない3人姉妹や、縄張り争いに利用される美少年、座敷牢の狂人の登場にもワクワク。もう少し活躍して欲しかったが、嘉右衛門には誰も敵わなかったということだろう…… 俳句や芝居の見立て、安倍晴明の話も面白く読んだ。 本陣殺人事件から戦争を挟んでこの事件が起きたという時の流れがなんとも切なかった。大事な跡取りを戦争に送り出さなければならないこの時代の人々は身を切られるような思いだっただろう……戦後の混乱を生き抜くのも大変だったに違いないと想像させられた。
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金田一耕助が活躍するものの中で最も人気がある作品の一つ。海賊と罪人の子孫が住まう閉鎖的な獄門島で、芭蕉などの俳句に見立てられて大家の娘が次々に殺害されていく。陰惨で病的な舞台が事件の様相に一層の恐ろしさを演出している。 ミステリとしては、犯人は誰かとか、どうやってアリバイを確保し...
金田一耕助が活躍するものの中で最も人気がある作品の一つ。海賊と罪人の子孫が住まう閉鎖的な獄門島で、芭蕉などの俳句に見立てられて大家の娘が次々に殺害されていく。陰惨で病的な舞台が事件の様相に一層の恐ろしさを演出している。 ミステリとしては、犯人は誰かとか、どうやってアリバイを確保したかとか基本的なポイントは押さえているが、特に重要なのは、見立ての意味と殺人に及んだ動機だろう。いずれも真犯人の狂気を感じさせ、ゾッとさせられる。結局誰も救われなかった悲しい結末を迎え、耕助が島を去る際に合掌するシーンは切なく印象深い。 そのほか覚えているのは、耕助が牢屋に入れられるシーンだ。よそ者というだけでだまし討ちで牢屋に押し込むお巡りは酷いが、その中で呑気に食事したり寝たり、牢屋を出たあとも文句の一つも言わない耕助は、お巡りとは対象的にその器の大きさを感じさせて面白い。
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出版順に読んでるから、二冊目は獄門島。 前評判がいい分期待値がめちゃくちゃ高かったんだけど、その通りだわ。納得。 殺人現場は陰惨さは、数多くのミステリーを読んできたのでそこまでとは思わず。 だけど醸し出す雰囲気がおどろおどろしくて、背筋を冷たい物が伝った。 それでも金田一が牢屋に捕まっちゃったりとかするコミカルなところは笑っちゃった。駐在さんの奥さんは賢くて優しいね(笑) あと私は座敷牢にいる男が実は娘のことを案じているっていう推理はまったくもって外れた。普通にキチガイだった。こええよ。 人間の狂っていく様、狂っている様、狂うのを隠している様が見事に描かれていて怖かった。 真相に関しては、運命の悪戯としか思えない…!! 私は和尚さんが好きだったよ。死体背負ってたって真実と、一年間見続けた結果三姉妹は盛りのついた雌猫だからこのまま生かすのもかわいそうだって一言にはぞっとしたけど。 金田一読んでるとさ、「これが〇〇を見た最後だった」「金田一は悔やんでも悔やみきれないだろう」って普通にネタバレする文章があるんだけど、それが一層話に不穏さを醸し出して面白い。 次は夜歩く!
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文庫の帯にある綾辻行人の『「奇跡の一作」と讃えたくなる大傑作』の一言は全く大袈裟でなく、「悪魔の手毬唄」と並び、日本の推理、探偵小説の歴史に残る大傑作と言って過言ではないだろう。島民のほとんどがかつての海賊、流罪人の子孫とされる島が舞台。その島でおこる三姉妹の連続殺人。そして俳句...
文庫の帯にある綾辻行人の『「奇跡の一作」と讃えたくなる大傑作』の一言は全く大袈裟でなく、「悪魔の手毬唄」と並び、日本の推理、探偵小説の歴史に残る大傑作と言って過言ではないだろう。島民のほとんどがかつての海賊、流罪人の子孫とされる島が舞台。その島でおこる三姉妹の連続殺人。そして俳句に見立てた死体現場の演出。全てがまさに横溝ワールド。横溝ファンだけでなく、ミステリーファンは絶対に外せない一作だ。
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初読み横溝正史さん。 舞台は岡山県笠岡にある島。 イマイチ金田一耕助を分かってないのかもしれないが、事件を未然に防ぐ人ではないのだね? 全て解決したあとまだあったオチがなんとも言えず最後まで楽しませる工夫。 しかしこの時代50前後の女性は老婆なのか。
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『犬神家の一族』や『八つ墓村』と並ぶ、金田一耕助シリーズ作品の中でも特に有名な本作―――『獄門島』。何度も映像化されており、映像作品では観たことがあったが、原作には当たったことがなかったので、今回手に取ってみた。 「三人の妹たちが殺される」―――復員船の中で息を引き取った鬼頭千...
『犬神家の一族』や『八つ墓村』と並ぶ、金田一耕助シリーズ作品の中でも特に有名な本作―――『獄門島』。何度も映像化されており、映像作品では観たことがあったが、原作には当たったことがなかったので、今回手に取ってみた。 「三人の妹たちが殺される」―――復員船の中で息を引き取った鬼頭千万太に遺言を託された金田一耕助は、瀬戸内海に浮かぶとある島に向かう。「獄門島」―――流刑民と海賊を系譜とする人々が住まうと言われる島。千万太の実家で、島の網元である本鬼頭を訪れた金田一はそこで、美しくもどこか気味の悪さを醸し出す、千万太の三人の妹たちと対面する。"太閤様"と慕われた先代当主・嘉右衛門の死、気が狂い座敷牢に閉じ込められている現当主・与三松、唯一の跡取り息子であった千万太の死、そして件の三人の妹たち・・・本鬼頭が抱える"危うさ"は、火を見るよりも明らかであった。そして、千万太の本葬が進められる中、三女・花子が姿を消してしまい―――。 『犬神家の一族』や『八つ墓村』等と同じく、やはりトリックを楽しむというよりは、事件が発生した原因となる、戦後の混乱期という時代背景や、村社会をベースとした人間模様を味わう作品。事件を解決するために集められた手掛かりは、全てこの事件の背景にある因業に深みを持たせ、彩るための画材である。読了後、事件の真相が分かった状態で読み直すと、"あの場面・あの人物・あの言動"の理由が心に沁み、なんとも言えない気持ちになる。これこそが金田一耕助シリーズの醍醐味。
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金田一耕助が瀬戸内の海を島に向かう冒頭からワクワクが止まらない。獄門島という舞台設定、登場人物たちのキャラクター、殺人の意匠、殺人の動機、全体のストーリーなどいずれも完成度が高い。金田一シリーズの中でも傑作と推す声が多いことに納得。
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本陣殺人事件より戦争を挟み数年後の事件とのこと。 金田一耕助は戦争に行っていた。 亡くなった戦友に頼まれて、獄門島にやって来た金田一耕助は事件に巻き込まれていきます。 見立て殺人の物語でした。
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戦争から復員した金田一耕助は、戦友の鬼頭千万太の遺言にしたがって、瀬戸内海に浮かぶ獄門島を訪れます。この島では、網元の本鬼頭と分鬼頭が大きな力をもっており、千万太は本鬼頭の跡取りとなることを期待されていました。彼は、月代、雪枝、花子という三人の妹が殺されるという予感をいだいており...
戦争から復員した金田一耕助は、戦友の鬼頭千万太の遺言にしたがって、瀬戸内海に浮かぶ獄門島を訪れます。この島では、網元の本鬼頭と分鬼頭が大きな力をもっており、千万太は本鬼頭の跡取りとなることを期待されていました。彼は、月代、雪枝、花子という三人の妹が殺されるという予感をいだいており、金田一は彼の最期の願いを聞いて、この島へやってきたのでした。 島へ行く途中の船で金田一は、戦争中に供出した寺の釣り鐘を引きとりに来ていた了然和尚に出会い、彼の世話になって島に滞在します。しかし、金田一の懸念していた三姉妹の命は次々にうばわれてしまいます。 トリックそのものは多少強引なところも感じましたが、閉ざされた弧島に暮らす人びとの濃密な人間関係と、戦争が彼らの暮らしに落とした影などの設定に惹かれて、たのしんで読むことができました。
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あー、 金田一さんが石鹸で髪の毛洗ってもらってるー(読むたびに思ふ) あれは何なので良いのだが、お小夜さんの方、「へぼい伝統」ですらなく、徹頭徹尾蔑視されてゐる。 そして我らが金田一さんは、多分全員が首尾よくアレするまで、手を出せない。 しかも今回あれぢゃん。
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