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フィールドワーク の商品レビュー

4.2

13件のお客様レビュー

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2024/02/05

文化人類学者がよく利用する「フィールドワーク」という調査手法についての本。学術目的の調査を意識した内容だが、それ以外の領域でも役に立つ内容。自分にとって未知の領域をどのように理解していくか、量的調査と質的調査をどのように組み合わせていくか、課題発見から整理までの道筋の付け方などの...

文化人類学者がよく利用する「フィールドワーク」という調査手法についての本。学術目的の調査を意識した内容だが、それ以外の領域でも役に立つ内容。自分にとって未知の領域をどのように理解していくか、量的調査と質的調査をどのように組み合わせていくか、課題発見から整理までの道筋の付け方などの技術を学び、内容を一段メタな視線で読み自分の専門分野に適用する材料として良質な本。 プロダクト開発の現場では、ユーザーのニーズを理解してプロダクトを作り上げ進化させていくためにはユーザーを正確に理解することが重要。そのためにユーザーがどのように1日を過ごしているか、何を価値と捉えているか、アクションや問題の分類をどのようにしているか、様々な側面から理解し生き生きとしたユーザー像を自分の中に作る。それは文化人類学者が集団の特性を理解するアプローチととても似ている。対象にするのがプロダクトのターゲットなのか、民族・社会的集団であるか、調査の目的が経済活動か学術目的かの違いはあっても過程は似ている。

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2018/12/22

p92 ここで注意しておかなければならないのは、フィールドワークすなわち理論の「生成」であり、サーベイすなわち理論の「検証」という単純な図式ではない、ということです p97 ■操作的定義の限界と「感受概念」 しかし、本当にそうでしょうか。たしかに、「誰にでも同じように測れる」...

p92 ここで注意しておかなければならないのは、フィールドワークすなわち理論の「生成」であり、サーベイすなわち理論の「検証」という単純な図式ではない、ということです p97 ■操作的定義の限界と「感受概念」 しかし、本当にそうでしょうか。たしかに、「誰にでも同じように測れる」ような手続きを使えば、言葉をめぐる不毛な議論を防ぐことはできるかもしれません。しかし、誰にでも測れるというのは、裏を返してみれば、誰にでも測れる程度のことでしかないのではないでしょうか p107 逆の意味で言えば、理論やデータの裏づけに乏しいものは、単なる「思いつき」や「当て推量」にしかすぎない。学生の卒論に出てくるいわゆる「仮説」には、この手のものが多い。 →論文として仮説を提示するには、それなりのデータのサポートが必要 p108 「問題を発見し明確な形に整理していくことは問題を解くこと以上に難しい」 p110 フィールドワーカーの仕事は、何といっても「書く」ことです。 p113 フィールドワークの一つの目標は、徐々に現地の生活になじんでいくことによって、その土地の社会生活の文脈を理解し、一つ一つの出来事や行為の意味を分厚い記述として書きとめていくことにある p126 一人のひとから人づてに広がっていく手法のことを、雪玉式サンプリングという

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2015/11/22

本を読まずに現場に出てははいけないし、 本ばかり読んでいてはいけない。 だったら、本を持って現場に出ればいいんだな。 白黒つけすぎない姿勢がとても心地よい本。

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2015/10/28

平易な言葉でフィールドワークの歴史からツールまで網羅的に記述されている。この技法に対する著者の深い愛情を感じる。取り組んでいる定量調査が技術力の勝負だとすると、フィールドワークは人間力の勝負だ。

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2015/07/23

2015/07/23読了。図書館から借りて。 フィールドワーク入門。読みやすい語り口だが,フィールドワークに非常に重要な要素がぎゅっと濃縮されている。巻末のブックガイドも便利。

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2014/06/06

思っていたよりも体系立てて説明してくれていて、びっくりした。 フィールドワークって、こんなにいろんな要素があって、それぞれにいろんなグラデーションがあるねんなぁと思った。 いろんな項目に分けてフィールドワークの考え方を書いてくれているけど、ああ確かにって頷けるところが多くて、読ん...

思っていたよりも体系立てて説明してくれていて、びっくりした。 フィールドワークって、こんなにいろんな要素があって、それぞれにいろんなグラデーションがあるねんなぁと思った。 いろんな項目に分けてフィールドワークの考え方を書いてくれているけど、ああ確かにって頷けるところが多くて、読んでいておもしろかった。

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2014/08/14

フィールドワーク、特に対象となる地域やコミュニティに長期間密着する「参与観察」型フィールドワークを行う際の、心構えから手法・ツールに至るまでが詳細に説明されている入門書。やや文化人類学者向けに書かれた感はあるが、定量的な調査との違いが明快に示されているため読みやすく理解しやすい。

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2013/09/30

質的研究の手法としてのフィールドワークの考え方、やり方を説明するフィールドワーク解説書の金字塔(らしい)の改訂版。 最新のデバイスの紹介とかが追加されたみたい。 フィールドワークに行く際に役に立つのはもちろんなんですけど、普段の生活や勉強をするにおいても役立つ示唆に富んだ本...

質的研究の手法としてのフィールドワークの考え方、やり方を説明するフィールドワーク解説書の金字塔(らしい)の改訂版。 最新のデバイスの紹介とかが追加されたみたい。 フィールドワークに行く際に役に立つのはもちろんなんですけど、普段の生活や勉強をするにおいても役立つ示唆に富んだ本だと思います。 ざっくり言えば、ものの見方を考えさせてくれる。 より有意義に世界を勉強したいなと思いました。

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2012/07/15

寺山修司ファンの人類学ファンなので、サブタイトルにやられてしまいました。とてもわかりやすく、フィールドワークの入門書といったところだと思います。著者の他の本も読んでみたいです。

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2011/10/30

フィールドワークの入門書。 フィールドワークそのものの成り立ちや特徴についての本であるとともに、統計的手法や実験、文献などとも比較した社会科学の方法論についての本でもある。 細かく章立てされていて読みやすい。 個人的に注目するところは、 恥知らずの折衷主義・・・統計的...

フィールドワークの入門書。 フィールドワークそのものの成り立ちや特徴についての本であるとともに、統計的手法や実験、文献などとも比較した社会科学の方法論についての本でもある。 細かく章立てされていて読みやすい。 個人的に注目するところは、 恥知らずの折衷主義・・・統計的手法と参与観察などの弱点長所を理解したうえでそれらを組み合わせること。トライアンギュレーションの意義。 操作主義・・・操作的手続きによって対象としたい概念を限定するのではなく、調査を進めながら概念を感受していく方法の重要性。 分厚い記述・・・科学的に見える客観的記述ではなくて、その行為の意味などを知るためには質的調査に基づく主観的な記述=分厚い記述が不可欠。 サンプリング・・・無作為な統計的サンプリングは一見科学的だが、サンプリングの前後でご都合主義が紛れ込む。 文献リスト・・・研究を始める前に読むべき文献のリストを作っておき(古典も含めて)、実際の調査と並行しながらライブラリーワークの進捗も確認する。 モデルとしての民族誌モノグラフ・・・社会一般について理解するためのみならず、単一の集団の単一の対象について記述するにもモデルは必要。 フィールドノーツとカルチャーショック・・・カルチャーショックは参与観察の重要な結果であるが、それはフィールドノーツを手で書く段階に発現する。 QDAソフト・・・インタビュー記録や引用メモをボトムアップ式にファイリングするための専用ソフトウェア。 など。 これ読んでかなり将来自分のしたい研究の骨子が見えてきた。

Posted byブクログ