山の民・川の民 の商品レビュー
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かつて鉱山採掘は修験者の経営するところであった。 彼らは水源地を掌握し、太陽の運行を熟知し、金山の光明を背景に「護摩の灰」の霊力をもって民衆に臨んだ山の神の代官であった―「文献史料がないところにも歴史は存在する」という信念のもと、著者は残存文書の解読に挑み、地を這うような現地調査を組織する。 中世以前の日本で、山や川辺に住む多くの非農業民は、いかに生き、やがてどのような運命をたどったのか。伝承に秘められた歴史の真実とは。民俗学、地理学、考古学をとり入れ、社会経済史、宗教史を綜合し、後の新しい歴史学の展開を用意した記念碑的著作。 中世史に興味を魅かれ始め、これは避けて通れない課題だと感じて購入した本です。 地名から中世の町を推測する、寺社に残っている文献や仏像から当時の様子を推測し、ある程度まで確定できる。 今まで全然知らなかったことばかりなので、目からウロコでした。 山の民や川の民、宗教が及ぼした影響など様々なことを地道に検証してあわせることで、色々なことがわかってくるのですね。 自分が住んでいる町の、それこそ誰も見向きもしない五輪塔などを調べていけば町の歴史が分かるのではないかと興味がわいてきました。 かなり詳細で分かりやすかったので、お勧め度は高いです。
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中世、近世、近現代を通じて、いわば超時代的にワタリ・タイシ=賤民=被差別部落とする傾向が強く、どのような歴史的段階で被差別部落が形成されたかはあいまい。 村落の人たちは村はずれのこんもりと杉の木の茂った丘や平野の中にぽつんとそびえる山を神の降臨する場所と考えていた。 鎌倉時代の奥...
中世、近世、近現代を通じて、いわば超時代的にワタリ・タイシ=賤民=被差別部落とする傾向が強く、どのような歴史的段階で被差別部落が形成されたかはあいまい。 村落の人たちは村はずれのこんもりと杉の木の茂った丘や平野の中にぽつんとそびえる山を神の降臨する場所と考えていた。 鎌倉時代の奥山庄で、非人と呼ばれたものは、実は金堀りを中心とする山の民であり、重労働や猪、熊、蛇などの動物性蛋白質を供給減とする食習慣などから卑賤視されていた。こうした山間の賤民は日本列島に広汎に分布していた。
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