弱法師 の商品レビュー
一番心に残ったのは「卒塔婆小町」。天才的な小説家の男が、編集者に恋をし、彼女の為だけに小説を書き、捧げる。と、こうして書くと何の変哲もない話だが、登場人物達の、確かな存在感・愛の重量。誰に感情移入して読めばいいのか。誰に感情移入しても、苦しくて押しつぶされてしまいそうになる。どう...
一番心に残ったのは「卒塔婆小町」。天才的な小説家の男が、編集者に恋をし、彼女の為だけに小説を書き、捧げる。と、こうして書くと何の変哲もない話だが、登場人物達の、確かな存在感・愛の重量。誰に感情移入して読めばいいのか。誰に感情移入しても、苦しくて押しつぶされてしまいそうになる。どうしてここまで狂おしい感情を表現できるのか。最後まで揺ぎ無い「美しさ」を貫き通す作者の文章力にも圧倒される。読み終わった後、心にずしりと「何か」が残るはずです。純度の高い「愛」の本質とは、透き通るものでもなく、こんなにも重いものだったのか、と気付かされました。
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叶わぬ恋情、儚き生命。たとえ孤独を身に纏おうとも、死の淵に誘われようとも、人は誰かを恋する事を止められない-。能をモチーフに現代の不可能な愛のかたちを描く、静かで激しい純愛小説。 中編三編「弱法師」「卒塔婆小町」「浮舟」、何れも痛々しいほど純粋で美しい話で引き込まれた。三編共に秀...
叶わぬ恋情、儚き生命。たとえ孤独を身に纏おうとも、死の淵に誘われようとも、人は誰かを恋する事を止められない-。能をモチーフに現代の不可能な愛のかたちを描く、静かで激しい純愛小説。 中編三編「弱法師」「卒塔婆小町」「浮舟」、何れも痛々しいほど純粋で美しい話で引き込まれた。三編共に秀逸で甲乙付け難いが、原典に思い入れがある分、「卒塔婆小町」が最も心に沁みた。作家の狂おしい迄の一途な愛、女性編集者のこれまでの人生の道程、共に壮絶で圧倒される。 ホラーでも怪談でも無いが、恐い物語である。
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身を焦がすような深くて苦しい愛を描いた作品が三つ。 感情がリアルすぎて、こちらが目を覆いたくなってしまうようなまっすぐな愛情。 狂おしくもひたむきであり、破壊力を秘めた作品。
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2007.03.25 大好きな中山可穂さんの短編集が文庫化されていたので、その中で一番好きな「浮舟」を読んで……お風呂の中で号泣。初めて読んだときも泣いたけど、今回も泣いた。切ない(T_T)
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コレは中山可穂にしては性描写が少ない、ってゆーかほどんど無い。 だけど、やっぱりこの人の話は密度と粘度が高くて好き。 真っ黒の鉄の箱に、歯磨き粉みたいな質の半液体が表面張力でギリギリまで注がれてる感じ。 性描写を使わずに、人と人との心のつながりを書いた、中山可穂の新境地。
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【かなわぬ恋こそ、美しい―雨の気配を滲ませた母子に宿命的に惹かれ、人生設計を投げ捨てたエリート医師(「弱法師」)。編集者の愛を得るために小説を捧げ続けた若き作家(「卒塔婆小町」)。父と母、伯母の不可思議な関係に胸をふるわせる少女(「浮舟」)。能のモチーフをちりばめ、身を滅ぼすほど...
【かなわぬ恋こそ、美しい―雨の気配を滲ませた母子に宿命的に惹かれ、人生設計を投げ捨てたエリート医師(「弱法師」)。編集者の愛を得るために小説を捧げ続けた若き作家(「卒塔婆小町」)。父と母、伯母の不可思議な関係に胸をふるわせる少女(「浮舟」)。能のモチーフをちりばめ、身を滅ぼすほどの激しい恋情が燃えたつ珠玉の三篇】 深くて叶わぬ愛。 それがこの3作品で共通に感じたことでした。 人が人を好きになるには性別も年齢も何も関係ないんだということがとても伝わり、 どれも泣きたくなるような作品でした。 そしてどれも苦しいほどの恋を描いているのに、 文章が綺麗なのですーっと心に染み渡っていきます。 3作品とも良かったですが、特に心に響いたのは【卒塔婆小町】。 最後の数行で涙がぼろぼろこぼれました。 最後は救われたような救われなかったような・・・ でもこれで2人がまた出会えたんだと思うと、 「長かったね。でも良かったね」と声をかけてあげたくなりました。
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どの話も美しく、そして痛い程に切ない。登場人物たちの、身を切るような胸苦しい感情に私自身も苦しくなり、読みながら涙を我慢出来なかった。小説を読んでこんなに苦しい涙が溢れてきたのは初めてだ。素晴らしい作品だと思う。けれど、私には辛すぎて、きっともう読み返すことはないと思う。
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この人の描く恋愛は、いつも命懸けというか、全身全霊というか。 愛するがゆえに疲弊し、深く傷ついていく気がする。 能なんて碌すっぽ知りゃせんので、能の曲目を下敷きにされてもピンと来んのですが。 唯一「浮舟」は源氏モノなので、予備知識無くともすんなりと設定の意味がわかった。 ・・・...
この人の描く恋愛は、いつも命懸けというか、全身全霊というか。 愛するがゆえに疲弊し、深く傷ついていく気がする。 能なんて碌すっぽ知りゃせんので、能の曲目を下敷きにされてもピンと来んのですが。 唯一「浮舟」は源氏モノなので、予備知識無くともすんなりと設定の意味がわかった。 ・・・いや、もしかしたら大学で源氏関連の曲目に触れてたのに全然思い出せてないのかも・・・。 謡曲とか見せられても、どうにも眠たくなってしまうんよね。。。 3篇のうち、一番良かったのは「卒塔婆小町」。 叶わぬ恋に身を焦がして焦がして焦がしつくした繊細な作家の狂気が、胸に迫る。 絶望するほどに想い続けた理由は不明にしても。 理由なんて、本人にもわかるわけない、か。
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泣きました。三つのお話が入ってるんですが、後ろにいくにしたがって、とん、どん、すがしゃーんって感じで泣きました。こんなにまで誰かを想えたら、つらい恋でも、いいな。
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恋とは死に至る病である。 中山可穂というとレズビアンの小説のイメージが強い。確かに私もそう思っていたし、この中にもその話はある。付け加えるならこの中には性描写も無い。それで魅力が半減したと思うのはきっとすごく勿体無い、と私は思う。 かなわないものの前で、人はこれほど無力で、こ...
恋とは死に至る病である。 中山可穂というとレズビアンの小説のイメージが強い。確かに私もそう思っていたし、この中にもその話はある。付け加えるならこの中には性描写も無い。それで魅力が半減したと思うのはきっとすごく勿体無い、と私は思う。 かなわないものの前で、人はこれほど無力で、これほど美しいのかと言うことを存分に教えてくれる3作。前述のとおり、ここには激しい描写は精神的にも肉体的にも無いけれど、ひたひたと圧倒させる筆力は素晴らしい。
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