物語の役割 の商品レビュー
読書がわたしたちにとってどんなものであるかを、沢山の言葉で優しく教えてくれる内容だった。私も小さい頃、いろんな本に出会えたことで救われていたんだろうなぁと、ふと思い出せた。
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3つの講演会の話をまとめた新書。 著者の物語についての考え方がわかりやすく語られている。 「主題が何か、について私は一切考えていない」という言葉が印象的。 「博士の愛した数式」の生まれた経緯が興味深い。おもしろい。
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毎週楽しみだった小川洋子さんのラジオ番組「Melodious Library 」が終了してしまい心にポッカリ穴が空いてしまった気分でした。そんなときに見つけたのがこの本。講演会の内容をまとめたものなので小川さんの声がまた聞こえてくるようで、読んでいてとても嬉しく感じました。 面...
毎週楽しみだった小川洋子さんのラジオ番組「Melodious Library 」が終了してしまい心にポッカリ穴が空いてしまった気分でした。そんなときに見つけたのがこの本。講演会の内容をまとめたものなので小川さんの声がまた聞こえてくるようで、読んでいてとても嬉しく感じました。 面白かったのは、小川さんの物語を考える過程と、河合隼雄さんのカウンセリング技法との間に共通点があったこと。ある出来事や話から浮かんできた映像をより具体的なストーリーにしていくには、自分の想像力だけでは遠く及ばず、登場人物の視点であるからこそ広がっていく。それはクライエントの話からどんな景色が見えてきたのかをお話し、それを聞いてさらにどう感じたのか対話を通して癒されていく傾聴の過程と同じであると感じました。
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誰もが物語をもっている。 現実をどう捉えるか、という問題。 強すぎるお話しは、ダメというのは、勇気づけられた。 マネジメントの視点でも。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
本書には小川洋子さんが「物語」について語る上でいろいろな作品が出てきますが、 「博士の愛した数式」は頻繁に引用されているので、事前にを読んでおくことをお勧めします。 ネタバレになりますが、これが小川洋子さんが作りだす「物語」の本質なのだろうと感じた箇所を、ほぼそのままの文章で紹介します。 「物語は本を開いたときに、その本の中だけにあるのではなく、日常生活の中、人生の中にいくらでもあるんじゃないか。」 「困難な現実にぶつかった時、人間はほとんど無意識のうちに自分の心の形に合うようにその現実をいろいろ変形させ、どうにかしてその現実を受け入れようとする。もうそこで一つの物語を作っているわけです。」 「現実を記憶していくときでも、ありのままに記憶するわけではなく、嬉しいことはうんと膨らませて、悲しいことは小さくしてというふうに、自分の記憶の形に似合うようなものに変えて、現実を物語にして自分の中に積み重ねていく。」 「そういう意味で言えば、誰でも生きている限りは物語を必要としており、物語に助けられながら、どうにか現実と折り合いをつけているのです。」 「作家は特別な才能があるのではなく、誰もが日々日常生活の中で作り出している物語を、意識的に言葉で表現しているだけのことだ。自分の役割はそういうことなんじゃないかと思うようになりました。」 私は、最近読んだ「ことり」のレビューで、自分自身の思い出や日常のことを書いてしまいましたが、「ことり」と"自分の物語"がシンクロしてしまったのですね。 よくブク友さんのレビューで「これって自分のことじゃん」といった感想を目にしますが、漠然と思っていることを作家さんが分かり易い言葉で表現してくれるから強く感じてしまうのですね。 とても感銘した「博士の愛した数式」という作品が出来上がった背景をいろいろと知れたことも良かったです。
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知り合いに薦められての拝読。読んでよかった。 一人ひとりに物語がある。そのことを意識するだけでも、他人と関わるときに想像を働かせることができる。物語として組み立て直すことで、経験が自分のものとなっていく。メタ認知的な役割を果たしていくことには、なんとなく納得。 「言葉で一行で表現...
知り合いに薦められての拝読。読んでよかった。 一人ひとりに物語がある。そのことを意識するだけでも、他人と関わるときに想像を働かせることができる。物語として組み立て直すことで、経験が自分のものとなっていく。メタ認知的な役割を果たしていくことには、なんとなく納得。 「言葉で一行で表現できてしまうならば、別に小説にする必要はない。言葉にできないものを書いているのが小説ではないかと思うのです。」世界をシンプルに明確に捉えようとしてしまってはいないか。世界はもっと複雑で曖昧である。目に見えるものばかりでもない。受け入れながら、眺めていくことで、少しは世界の見え方が広がりそうな気がする。
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たまに小川洋子の小説を無性に読みたくなる。上品で静謐で、世界と自分の関わりについてついつい考えこんでしまう、そんな糸口を、小川の世界は提示してくれる。 この講演録っぽい本も、やわらかだけど磨きこまれた語り口に編集されていて、なんだか小川と自分だけが対座してお話を聞かされているよう...
たまに小川洋子の小説を無性に読みたくなる。上品で静謐で、世界と自分の関わりについてついつい考えこんでしまう、そんな糸口を、小川の世界は提示してくれる。 この講演録っぽい本も、やわらかだけど磨きこまれた語り口に編集されていて、なんだか小川と自分だけが対座してお話を聞かされているような気分になる。
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小説なんて何の役にも立たない、とビジネス書や実用書ばかり読む人もいるそうだが、そういった人達は自分の周りにある物語に気づいていないだけなのだろうと思った。 受け入れ難い現実、人生の中で自分の中で物語を作り出すことでそれを生き抜いていく 物語は作るものではなく、そこかしこにあり、そ...
小説なんて何の役にも立たない、とビジネス書や実用書ばかり読む人もいるそうだが、そういった人達は自分の周りにある物語に気づいていないだけなのだろうと思った。 受け入れ難い現実、人生の中で自分の中で物語を作り出すことでそれを生き抜いていく 物語は作るものではなく、そこかしこにあり、それを見つけよく観察し、言葉にする、これが物語というもの。 小説は単純に面白いので昔からよく読んでいたけど、この本を読んでから読む物語はまた違ってみえることだろう。 物語だけでなく、人生そのものについてのお話のように思えた。
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小川さんと河合隼雄先生の「生きるとは、自分の物語をつくること」と同じタイミングで読めてよかった。 世の中に溢れているフィクションもそうだけど、自分たちの日常だってとてもドラマティックだよな〜とは考えていたことがある。映画「花束みたいな恋をした」を見たときだったかな。それこそ、渦...
小川さんと河合隼雄先生の「生きるとは、自分の物語をつくること」と同じタイミングで読めてよかった。 世の中に溢れているフィクションもそうだけど、自分たちの日常だってとてもドラマティックだよな〜とは考えていたことがある。映画「花束みたいな恋をした」を見たときだったかな。それこそ、渦中にいるときは気づけなくても、あとから振り返って物語に気づくんだよな、人は記憶よりも自分の物語を持って生きていくんだよな〜なんて 「物語」というテーマに関してはぼんやりと自分で考えたことがあるけど、2章の具体的な創造のシーンは読者としてはおもしろかった! なんとなーく内容が思い出されたTED talkメモ https://www.youtube.com/watch?v=y9Trdafp83U https://www.youtube.com/watch?v=XgRlrBl-7Yg&list=PL6QbRcFJo4tsyytRZs0LkGQ_C3HCjuTZ8&index=13
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小川さんの他のエッセイなどで読んだエピソードも多くありましたが、それらが毎度宝物のように語られるのが飽きない理由なのかと思います。そうした見知ったエピソードを少し延長した先に、小川さんにとっての「書く」という行為がある、けしてひらめきで物語を進めるわけではないのだ、ということが伝...
小川さんの他のエッセイなどで読んだエピソードも多くありましたが、それらが毎度宝物のように語られるのが飽きない理由なのかと思います。そうした見知ったエピソードを少し延長した先に、小川さんにとっての「書く」という行為がある、けしてひらめきで物語を進めるわけではないのだ、ということが伝わってきて、安心感を覚えました。 「死んだ人と会話するような気持ち」という章が個人的にタメになりました。
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