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物語の役割 の商品レビュー

4.1

111件のお客様レビュー

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    31

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2020/11/19

これを読んでから日常に物語が至る所に転がっていることに気がつく。些細な会話からも、テレビ番組からも、大学の講義からも。ホメロスから村上春樹まで古今東西に物語が存在したという事実から、それが人間にとって必要不可欠なものなんだろう。

Posted byブクログ

2020/09/19

改めて、物語とは何か。物語の役割って何か。深く考えてみたくなる内容であった。 例えば、本書の中で紹介される物語。小川さんの著書や著名な物語もあるけれども、アメリカの一市民がラジオ番組向けに作った物語。そこには優しさがあった。その物語によって描かれる一言では表すことが出来ない、だ...

改めて、物語とは何か。物語の役割って何か。深く考えてみたくなる内容であった。 例えば、本書の中で紹介される物語。小川さんの著書や著名な物語もあるけれども、アメリカの一市民がラジオ番組向けに作った物語。そこには優しさがあった。その物語によって描かれる一言では表すことが出来ない、だけどもそこにある世界。 小川さんは真実を追求する数学者の姿勢を小説家と重ねていた。言葉が先にあるのではなく、描かれる世界がそこにあって、言葉は後からついてくるのだと。小説家は観察者であるとも。 たしかにそこにある、見えないけれどもそこにある。そういった世界の一部に触れること。世界の一部でありながら、自分は特別な存在であるということを知ること。普段見失ってしまいそうな、忘れがちなことを思い出させてくれる、それこそが物語の役割なのかな。そんなことを考えさせてくれました。

Posted byブクログ

2021/05/10

講演自体が小説の様でした。小川さんは、作品は人となりの合わせ鏡なの人なのだと思いました。 ブッカー賞の最終候補との事。 深い世界観が、日本語以外で同じ共感を得る事に震えます。

Posted byブクログ

2020/08/26

小川洋子さんの作品をもう一度読みたいと(読み漁りたいと)思った。 『博士の愛した数式』を初めとして、著者がどのようなことをきっかけに物語を作り上げたのか、そのイメージの連なりのようなものが垣間見えて興味深い。 人は誰でも物語を持っていて、例えば困難な現実に直面した時に、それを無...

小川洋子さんの作品をもう一度読みたいと(読み漁りたいと)思った。 『博士の愛した数式』を初めとして、著者がどのようなことをきっかけに物語を作り上げたのか、そのイメージの連なりのようなものが垣間見えて興味深い。 人は誰でも物語を持っていて、例えば困難な現実に直面した時に、それを無意識に自分の心の形に合うように現実を変形させている。 物語は誰にでもあり、作家は過去の中にある物語を発掘しているのであって言葉は後から追いかけてくるようなもの。 本書は物語ではないものの、なぜか心が落ち着いたし、きらきらとした憧れを感じた。

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2020/08/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ーーー私たちは日々受け入れられない現実を、自分の心の形に合うように転換している。誰もが作り出し、必要としている物語を、言葉で表現していくことの喜びを伝える。ーーー 「本なんて人生に不要」「読み聞かせは恩着せがましい偽善」「妄想乙」こういう言葉を見るたび、この人は子供の頃そう言われて育ったのか、本を読むことを強要されすぎて嫌になってしまったのか、などと考えていたけれど、最近、『文章(文字)を見て・読んで、場面を想像できるのは一種の才(特徴)』という言説を知り、そういうこともあるんだと思い知った。確かに身近に本を読むということが分からないという人がいたな、と思い至る。 そんな中でのこの本。物語の役割って、なんだろう、という問いにスパッと答えは出ていなくて、やっぱりこの本を読んで自分で感じ考えることだなという結論。著者が本を読んだときに感じたこと、物語を感じ取ったときに思ったこと、がスッと入ってくる本だった。本文中に出てきた本を読みたくなった。 それから、ホロコースト文学というのを初めて知り、興味深かった。物語はつらい思いしてる時(感情が動いてる時)しか書けない、と言うけれど、それはある種真理だと思う。 どちらかと言うと、物語を書きたい自分が反応した。

Posted byブクログ

2020/05/26

タイトルに興味がわいたため選びました。物語を読むことも書くことも好きなため、役割についても考えていきたいと思いました。

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2023/02/02

物語を作るとき、まずテーマありきで、その次にストーリー、登場人物、その他細部という順で進めていくのかと思っていましたが、小川氏の場合は、最初の段階では、テーマもストーリーも決まっていないとわかり、とても意外な感じがしました。 登場人物の部屋には、どんな花が生けられているか、どん...

物語を作るとき、まずテーマありきで、その次にストーリー、登場人物、その他細部という順で進めていくのかと思っていましたが、小川氏の場合は、最初の段階では、テーマもストーリーも決まっていないとわかり、とても意外な感じがしました。 登場人物の部屋には、どんな花が生けられているか、どんな形のコーヒーカップがあるかなど、小説には描かれない細部までイメージした上で、物語を進めていくという手法も興味深かかったです。

Posted byブクログ

2019/09/11

役割、なんて言われたらちょっとさみしいな、と思ったけどそこはさすがの小川さん。きっと物語を読むときのわくわくはずっとこれからも続くだろうし、むしろもっと強まりそう。そして自分の周りの物語にもっと注意深くなれそう。

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2019/04/21

講演を基にしているからか、こちらに語りかけるような柔らかい物腰の文章でとても読みやすく、喫茶店でのんびりコーヒーを飲んでいる間にスルスルと読み終えていた。 自分がこれまで感じてきた小川作品の匂いと、小川洋子さん自身の言葉で語られる小川作品の匂いが近しくて、意味もなく嬉しくなった。...

講演を基にしているからか、こちらに語りかけるような柔らかい物腰の文章でとても読みやすく、喫茶店でのんびりコーヒーを飲んでいる間にスルスルと読み終えていた。 自分がこれまで感じてきた小川作品の匂いと、小川洋子さん自身の言葉で語られる小川作品の匂いが近しくて、意味もなく嬉しくなった。 小川洋子さんの作品をある程度読んできた方には、小川作品をより楽しむ副読本としてオススメ。

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2019/02/19

小説の実作者の立場から物語を書くことの意義を語った講演3本を収録しています。 第1章では、われわれが日々、受け入れられない現実との折りあいをつけるために物語の力を必要としているということが語られます。アウシュヴィッツを経験したユダヤ人作家のエリ・ヴィーゼルや、自殺した息子への追...

小説の実作者の立場から物語を書くことの意義を語った講演3本を収録しています。 第1章では、われわれが日々、受け入れられない現実との折りあいをつけるために物語の力を必要としているということが語られます。アウシュヴィッツを経験したユダヤ人作家のエリ・ヴィーゼルや、自殺した息子への追憶にささげられた柳田邦夫の『犠牲(サクリファイス)―わが息子・脳死の11日』を例にとりあげて語られる内容は、たいへん説得的だと感じました。 第2章では、著者が物語を紡いでいくときの想像力の働きかたが説明されます。著者は、作家が自身の想像力によってリードしながら物語を生みだしていくのではなく、むしろ「小説を書いているときに、ときどき自分は人類、人間たちのいちばん後方を歩いているなという感触を持つことがあります」と述べます。 「先を歩いている人たちが、人知れず落としていったもの、こぼれ落ちたもの、そんなものを拾い集めて、落とした本人さえ、そんなものを自分が持っていたと気づいていないような落し物を拾い集めて、でもそれが確かにこの世に存在したんだという印を残すために小説の形にしている」。第1章での著者の主張と取り合わせて考えてみると、人はかつての希望のかけらを拾い集めて物語を紡ぐことで、「過去の救済」をおこなっているといえるかもしれません。 第3章では、物語に助けられながら生きてきた、著者自身の読書遍歴が語られます。

Posted byブクログ