日本人になった祖先たち の商品レビュー
日本人や世界各国の集団の来歴を遺伝的に解き明かそうとする好著 歴史好きにも科学好きにも満足できる内容だと思います
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☆彡日本人の起源についてDNAの視点から解説 〈概要〉 ・遺伝子を受け継ぐ者たち ・祖先をさかのぼるということ ・DNAで系統をたどる ・アルコール分解酵素をコードする遺伝子 ・遺伝子の分布からヒトの移動を考える ・なぜアフリカなのか ・拡散の跡を探る ・南アジアの道すじを...
☆彡日本人の起源についてDNAの視点から解説 〈概要〉 ・遺伝子を受け継ぐ者たち ・祖先をさかのぼるということ ・DNAで系統をたどる ・アルコール分解酵素をコードする遺伝子 ・遺伝子の分布からヒトの移動を考える ・なぜアフリカなのか ・拡散の跡を探る ・南アジアの道すじをたどる ・東アジア集団の南北のDNA勾配 ・アメリカ先住民はどこからきたのか ・日本人のハプログループ ・各ハプログループの故郷を探す ・東アジアの内での日本人 ・ミトコンドリアDNAから見た本土日本の地域差 ・分子生物学にとっての古人骨 ・日本人起源論の系譜 ・縄文人のDNA ・多様性を持つ関東の縄文人 ・古代東アジアのなかでの縄文人 ・朝鮮半島にも縄文人はいたのか ・あとがき
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このフィードが面白かったので、買ってみました。 http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120313/229777/
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
[ 内容 ] 最近、DNAの分析技術が飛躍的に進歩し、現代人はもとより古人骨に残された遺伝子から日本人のルーツとなる人々が溯れるようになった。 アフリカを出た人類がどのような道をたどって東アジアに到達し、日本列島へ渡ったのか、分子遺伝学の立場からその足跡に迫る。 また、縄文人が先住する日本に大陸から稲作技術を持った弥生人が移り住んできたという日本人の二重構造論をDNA分析から検証。 縄文から弥生への移行は平和的に行なわれたのか? 渡来した集団の規模は? さまざまな疑問に縄文・弥生人の遺伝子分析から答える意欲的な一書。 [ 目次 ] 第1章 遺伝子から人類史をさかのぼる 第2章 出アフリカ―ミトコンドリアDNAが描く新人の拡散 第3章 DNAが描く人類拡散のシナリオ 第4章 アジアへの二つの道すじ 第5章 日本人の持つミトコンドリアDNA 第6章 日本人ミトコンドリアDNAの地域差―北海道先住民、沖縄、そして本土日本人 第7章 古人骨の語るもの 第8章 日本人になった祖先たち 第9章 父系でたどる人類の旅路―Y染色体を追う 第10章 DNAが語る私たちの歴史 [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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遺伝学的知見と考古学的知見を摺りあわせて勧められる本書の議論は、専門分野に特化した論文では分からないことを教えてくれる。ただし、ところどころに現れる著者の文化に関する政治的意見が正当なものなのかはよく分からなかった。
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ミトコンドリアDNAに基づく人類の系統分析について、これまでの研究成果を紹介している。とても興味深い内容だが、著者も認めているとおり、ミトコンドリアDNAが枝分かれした後も民族の移動はあるので、そこまで踏み込めていないところが、はがゆさを禁じ得ないというのが正直な感想でもある。 ...
ミトコンドリアDNAに基づく人類の系統分析について、これまでの研究成果を紹介している。とても興味深い内容だが、著者も認めているとおり、ミトコンドリアDNAが枝分かれした後も民族の移動はあるので、そこまで踏み込めていないところが、はがゆさを禁じ得ないというのが正直な感想でもある。 ・U5:ヨーロッパと中東間で最も異なる突然変異を蓄積。最初にヨーロッパに移住した。5万5000〜4万5000年前に分枝。 ・J:1万年前にヨーロッパに到達。農耕を持ち込んだ人の中に含まれていた可能性。現在のヨーロッパ人の13%を占める。 ・M2:インドで最も多い10%を占める。5万年前に分枝。ドラビダ語族に多い。 ・R7:インド東部、オーストロアジア語族の分布と重なる。6万3000年前に分枝。考古学では、稲作とともにインドにやってきたと考える説もある。 日本人のミトコンドリアDNA ・バイカル湖を中心とした北方と、中国南部〜東南アジアの2つのグループに分けることができる。 ・A:3万年前のバイカル湖周辺が起源。マンモスハンター。北東シベリアと北中米の先住民の過半数を占める。日本人の7%を占める。A5は朝鮮半島と日本に限られる。 ・C:M8の分枝。中央アジアの草原地帯に起源。 ・Z:M8の分枝。東アジアから中央アジアで変異の幅が大きい。日本人の1%を占める。 ・G2:中央アジアに分布の中心。G全体で日本人の7%を占める。 ・G1:本土、アイヌ、朝鮮半島に少数見られる。 ・Y:N9の側枝。北東シベリアに分布。本土にはほとんどいないが、アイヌに多い。アムール川流域をルーツにするオホーツク文化が5〜10C末に北海道で栄えた。 ・M10:中国北部が起源。中妻遺跡、ブリヤート人で見つかる。日本人の1%を占める。 ・N9b:日本人の2%を占め、日本以外でほとんど見られない。国内では北に行くほど割合が高い。北海道の縄文人に高率に見られ、朝鮮半島ではほとんど見られないため、北回りで日本に入った可能性がある。 ・M8a:漢民族の北の集団で多い(黄河流域)。朝鮮半島には見つからない。日本人の1%を占める。 ・D4:東アジア東北部に分布。日本人の33%を占める。日本にどのように入ってきたかを推定することは困難。 ・D5:中国南部に分布。日本人の5%を占める。日本にどのように入ってきたかを推定することは困難。 ・N9a:分布は広いが、中国南部、台湾先住民に比較的多い。日本人の5%を占める。 ・M7a:琉球列島を伝って日本に入ってきた。日本人の7%を占める。沖縄で25%を占め、最も多様性に富む。縄文人の候補。 ・B:4万年前に中国南部で誕生。一番最初に日本列島に入った可能性。B4は日本人の9%、B5は4%を占める。南太平洋の先住民のほとんどすべてを占める。中国南部または台湾から農耕をたずさえて東南アジアの海岸地帯へ展開した集団の主体と考えられる。 ・F:東南アジアを中心に分布。4万年以上前に分枝。日本人の5%を占める。 日本の地域差 ・沖縄の人骨は貝塚時代のものとグスク時代のものとで異なり、グスク時代のものは本土集団と類似する。ハプログループの種類もほとんどが本土のものに一致している。貝塚時代以降の人の流れは本土の側から向かっていたと推定される。 形質人類学、考古学と遺伝学 ・形質人類学では、埴原和郎が提唱した、東南アジア系の縄文人と東北アジア系の弥生人が混血した二重構造論が主流の学説。多くの渡来した弥生人を仮定している。 ・考古学でも概ね二重構造論を認めるが、多くの在来人が、少数の移民が持ち込んだ大陸の文化を受け入れたと考えている。 ・ミトコンドリアDNAの研究では、日本人はおおむね朝鮮半島や中国東北部の集団に似た構成をしているが、Y染色体の頻度は大きく異なる。 ・本土日本人のミトコンドリアDNAのハプログループ頻度は、縄文人よりも渡来系弥生人に近い。農耕を受け入れた集団の方が人口の増加率が高いため、渡来系弥生人の割合が高くなった可能性がある。 父系をたどるY染色体 ・アフリカ以外のY染色体の系統は、6万8000年前に誕生した。 ・D2:日本人の30〜40%を占める。北東アジアに低頻度で見られ、チベットで30%を占める。沖縄とアイヌで高率で見られることから、縄文人が持っていたと考えられる。 ・C3:沿海州の先住民族、モンゴルに非常に高い頻度。C1とあわせて日本人の10%を占める。 ・C1:インドネシアを中心に高頻度。 ・O2b:日本人の30〜40%を占める。朝鮮半島、華北地域に分布。 ・O3:日本人の20〜30%を占める。華北から華南に分布。
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ブライアン・サイクス『イブの7人の娘たち』、『アダムの呪い』やS.オッペンハイマー『人類の足跡10万年全史』などの良書でも紹介されているミトコンドリア遺伝子による母系分析とY遺伝子による父系分析ですが、本書は日本人研究者によって日本人の遺伝子プールについてさらに深く調査したものを...
ブライアン・サイクス『イブの7人の娘たち』、『アダムの呪い』やS.オッペンハイマー『人類の足跡10万年全史』などの良書でも紹介されているミトコンドリア遺伝子による母系分析とY遺伝子による父系分析ですが、本書は日本人研究者によって日本人の遺伝子プールについてさらに深く調査したものを紹介したものです。日本人の遺伝子分析のサンプル数は他と比べても非常に多いというのは少々意外で驚きでした。元々統計的手法であることかつ必要な情報がすべて得られているわけではないため確実なことは言えないようですが、日本人の出自を高い蓋然性を持ってある程度辿ることができて興味深いです。 巻末の参考文献のリストを見ると、この人はまじめなんだなと思うとともに、この分野の研究成果の多くがほぼこの10年に得られたものでことがはっきり分かります。面白いですね。
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