東京夜話 の商品レビュー
いしいしんじはほんまおもろいなぁ。と心底思う。 フィクションなのかノンフィクションなのか、そもそも小説なのかなんなのかさっぱり分からない。分かる必要もない。すべては「いしいしんじ」というカテゴリーに行き着くのだ。この絶妙で独特な世界観は癖になる。 この短編集で特に気に入っているの...
いしいしんじはほんまおもろいなぁ。と心底思う。 フィクションなのかノンフィクションなのか、そもそも小説なのかなんなのかさっぱり分からない。分かる必要もない。すべては「いしいしんじ」というカテゴリーに行き着くのだ。この絶妙で独特な世界観は癖になる。 この短編集で特に気に入っているのが『クロマグロとシロザケ 築地』。いしいしんじしだから、いしいしんじしか書きえないこの世界観は本当に素晴しく素敵。 あと大阪弁が良い味をだしている。なぜだか大阪生まれなのに文章に起こすと所々微妙な違和感がある大阪弁を書かれる作家さんもいるので。あれがあると興醒めしちゃう。その点、いしいしんじの書く大阪弁はれっきとした大阪弁で安心する。背後にあるもうひとつの扉が途中で開くことはない。
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小説と言うよりはむしろ童話って感じがする。東京の、夜の童話。「クロマグロとシロザケ」の純愛っぷり、「クラブ化する日本」の悪ふざけっぷり、「うつぼかずらの夜」のリアルさと明るさ、「吾妻橋の下、イヌは流れる」の仲見世の描き方が好き。いしいしんじは不思議だ。
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すっとぼけた東京。 深夜になってもそびえ立つビルの灯は消えず、繁華街はにぎやかで。そんな東京の安直なイメージはここになく、ただゆったりとした、ちょっと不思議な、ヘンな話がみっちりつまっている。 築地の話がお気に入り。情熱的であり、知性的であり、胸に染みる恋物語である。心を通わせあ...
すっとぼけた東京。 深夜になってもそびえ立つビルの灯は消えず、繁華街はにぎやかで。そんな東京の安直なイメージはここになく、ただゆったりとした、ちょっと不思議な、ヘンな話がみっちりつまっている。 築地の話がお気に入り。情熱的であり、知性的であり、胸に染みる恋物語である。心を通わせあいながら一緒にいられない、愛しているからこそというけなげな想い。上等な甘い恋物語だったと思う。 (但し、マグロと鮭の)
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