紅い花(あかい花) 他四篇 の商品レビュー
面白い。 超まじめゆえに、世界のすべてをひきうけてしまう。まさに、ブラック企業に搾取される典型的なタイプだ。そして、行き着く先は破滅しかない。(「紅い花」) すごく分かるわ~。だからこそ、いいかげんに、てきとうに生きなきゃいけない。それは悪いことじゃない。 「ロシア文学の教室」...
面白い。 超まじめゆえに、世界のすべてをひきうけてしまう。まさに、ブラック企業に搾取される典型的なタイプだ。そして、行き着く先は破滅しかない。(「紅い花」) すごく分かるわ~。だからこそ、いいかげんに、てきとうに生きなきゃいけない。それは悪いことじゃない。 「ロシア文学の教室」に紹介されていたので手に取った。
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あんまり良くないかもやけど、「あかい花」は神西清の翻訳もあいまって、結構笑えるテクストやと思う。1883年に発表らしいが、部分的にinner monologが使われていたり、技法的にも面白い。「四日間」と「信号」はめっちゃ面白くて没入して読んだ。後ろの二つはふーんというかんじ。全...
あんまり良くないかもやけど、「あかい花」は神西清の翻訳もあいまって、結構笑えるテクストやと思う。1883年に発表らしいが、部分的にinner monologが使われていたり、技法的にも面白い。「四日間」と「信号」はめっちゃ面白くて没入して読んだ。後ろの二つはふーんというかんじ。全体的に左翼的なフィーリングがあって熱かったけど、「信号」にしろ「アッタレーア」にしろ屈折があって、その辺は実際にはどうだったんでしょう、とか思いました。ciniiでちょっと見た感じだと、もうあんまり研究はされていないのかしら。
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- ネタバレ
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短いが、どれも印象に残る美しく悲しい話。悪を滅ぼさなければならないと、その命を削る青年。たしかに狂気だが、いつの世も、世界を変えようと思う人はそういう危うさを孕んでいるのかもしれない。「四日間」―戦争とはこういうものか、と死体の傍らで生にしがみつき、自分の犯した罪と失ってから気付く平時の愛しい日々と向き合う。「信号」男の健気さが邪道に落ちた(?)男の心を引き戻したか。悲しい。「夢がたり」衆愚の中で信念を語る。しっぽが落ちる。また生えてくる。ただそれだけのこと。「アッターレア・プリンケプス」自由に向かってぐんぐん伸びるしゅろの姿は美しかった。しかしその末路は…。地に根を張っていては温室から出て生きられないのかな。
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図書館で借りた本。5話の短編集だがかなり薄い本。アッターレア・プリンケプスと信号が好きかな。あかい花は精神病院に収容された青年の話。アッターレア・プリンケプスは絵本を読んでる感覚になるくらい情景が浮かぶ。報われず、あっさりしたラストだが植物達の会話が童心を思い出させる。
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これはあれか、大人向けの童話って感じだろうか。単に短いからそう思うだけか。概ねこの時代の本というのは、一ページにめっさ文字が入っていて、見るだけでむはーとなってしまうけども、これはどの話も短くて、やっぱこれくらいがちょうど良いわー、とへたれとしては思ってしまう。
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昔、福武文庫の『ガルシン短篇集』を読んだものの、 相次ぐ引っ越しの途中で手放してしまい、 少し前に「赤い花」を読み返したくなったので、 今度はこちらの岩波版を購入。 タイトル表記は「紅い花」だが、 古本屋さんで買った1959年改版→1989年第48刷では 「あかい花」と表記されて...
昔、福武文庫の『ガルシン短篇集』を読んだものの、 相次ぐ引っ越しの途中で手放してしまい、 少し前に「赤い花」を読み返したくなったので、 今度はこちらの岩波版を購入。 タイトル表記は「紅い花」だが、 古本屋さんで買った1959年改版→1989年第48刷では 「あかい花」と表記されている。 個人的にはこのひらがな書きに魅力を感じる。 収録は「あかい花」「四日間」「信号」(これらは福武文庫で既読) と、童話風の「夢がたり」「アッタレーア・プリンケプス」の5編。 表題作は、精神病院の庭に咲いた罌粟の花を悪の象徴と見なして 徒手空拳で虚しい戦いを挑む青年の短い物語。 19世紀後半のロシアという激動の世に生を受け、 繊細過ぎて精神を病んでしまったインテリゲンチャの魂の叫びが 美しく痛ましい物語として血の色を含んで開花した―― とでも言えばいいだろうか。 それにしても心に沁みる名訳。
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「紅い花」の鮮やかさが強烈。どれもまっすぐ迫ってくるものばかりで、苦しくもあり、また清々しくもあり。純度の高い、研ぎ澄まされた感覚。狂気の美しさ。
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精神を侵されていたにしては温かさが息づいていた 戦争がいかに人間の根源を脅かすかを強かに表現 そして俗世界から離れ、動植物を登場させた童話のような話。スキダ。 どの作品にも彼の慎ましやかな優しい心が。 2009/03/09
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珠玉の短編5本。物悲しい短調の調べが聴こえてくるようだ。繊細で艶やかな言葉遣いの名訳。サラリと読めるが深く印象に残る。「アッタレーア・プリンケプス」が特に印象深かった。物言わぬ植物だけど植物の言葉が聴けたらなんて妄想が広がる。
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正義感のあまりの死、頑張って打ち破った制約に実は自分は守られていた・・・など。むなしい。外へ出ようとあがくほど、それは無駄だと悟ることになる。その中で、人はどうやって生きればいいのか?この作品集では、それは犠牲の美しさの中に解消されているような気がした。なんて恐ろしい物語だ。
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