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真景累ケ淵 の商品レビュー

3.9

14件のお客様レビュー

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2020/11/22

映画にもなった円朝の名作。酒乱の旗本深見新左衛門と、深見に殺された盲目の高利貸皆川宗悦の因果が次の世代まで連なっていく。宗悦の娘、園と豊志賀、深見の息子新五郎と新吉。立派に育った子供たちだが互いを親の仇敵とも知らずに出会うや否や金と色に溺れて狂い人を殺し殺され崩壊していく。怪談話...

映画にもなった円朝の名作。酒乱の旗本深見新左衛門と、深見に殺された盲目の高利貸皆川宗悦の因果が次の世代まで連なっていく。宗悦の娘、園と豊志賀、深見の息子新五郎と新吉。立派に育った子供たちだが互いを親の仇敵とも知らずに出会うや否や金と色に溺れて狂い人を殺し殺され崩壊していく。怪談話に括られるが実際は因果因縁の話であり、幽霊が明確に出てくるシーンはない。それよりも円朝が真景とは神経病、現代は幽霊なんているはずなくてそれを見るのは神経がちとおかしいからと説明するように、人が変わったような狂い方、暗闇から急に虫が湧きだすような神経病的恐怖描写と鎌や匕首で喉を掻き切るときの血飛沫の描写は日本のホラー映画、小説、漫画表現の源流と思わせる。

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2016/08/30

速記をもとにした長い長い戯曲。高座にかければ20時間ほどの長尺だろう。数世代にわたる因縁による連続殺人事件。ホラーやスリラーというよりサスペンスかピカレスクロマンに近いかな。登場人物は多いが何らかの縁によって結びついているため人間関係はそれほどややこしくない。やっぱこれは読むもの...

速記をもとにした長い長い戯曲。高座にかければ20時間ほどの長尺だろう。数世代にわたる因縁による連続殺人事件。ホラーやスリラーというよりサスペンスかピカレスクロマンに近いかな。登場人物は多いが何らかの縁によって結びついているため人間関係はそれほどややこしくない。やっぱこれは読むものではなく聴くものだろう。六代目三遊亭圓生の演じたものは音源があるから聴くことができる。蛇足だが、雲田はるこさんの昭和元禄落語心中の八雲は六代目圓生がモデルと思えてならない。

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2016/06/07

連綿と続く因縁話の、なさそうでありそうな感じがすごい。最後の仇討ちは退屈という理由から、現代の落語家はほとんど取り上げないらしい。退屈とする考えもわかるが「これがなければ噺が完結しない」という原作者の考えにも共感できるのでカットされるのはちょっと惜しい気がする。

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2013/10/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

因果。因縁。この言葉を今まであまりに軽くみていたように思う。事は、高利貸しの皆川宗悦が、客で旗本の深見新左衛門に殺されるところに端を発する。殺された宗悦の娘二人(園と豊志賀)と、殺した新左衛門の息子二人(新五郎と新吉)。この四人を軸に、事の発端の「因縁」が複雑に絡み合い「血」をめぐる怪談、敵討ち、殺し合いの話が繰り広げられる傑作長編。とにかく読み物として面白く、幕末の時代に21歳でこれだけを書き上げた円朝の才能に脱帽するしかない。読みやすいので、現代でももっと広く読まれてしかるべき作品だ。

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2012/08/29

全97章という異様な長さの怪談噺。桂歌丸が全編を演じきった時が260分というからとても落語の長さじゃない壮大さ。この長い長い噺の中で語られるのは複雑に入り組んだ因果の糸。旗本が金貸しを斬り殺したところから始まる因果は、数十年の歳月をかけ何十人という人々を巻き込んで巡っていく。一般...

全97章という異様な長さの怪談噺。桂歌丸が全編を演じきった時が260分というからとても落語の長さじゃない壮大さ。この長い長い噺の中で語られるのは複雑に入り組んだ因果の糸。旗本が金貸しを斬り殺したところから始まる因果は、数十年の歳月をかけ何十人という人々を巻き込んで巡っていく。一般に言われているように子孫たちが不幸に陥っていく前半部が圧倒的に面白く、後半の仇討ちは少し冗長ではある。とはいえ読みきって全体像を掴んでこそわかる面白さがこの大作には確かにある。いつか生でみてみたいものです。

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2012/09/12

幕末明治の頃の伝説的な落語家・・・ 三遊亭円朝の噺・・・ 元は落語の、と言ってボクは落語はちゃんと聞いたことないので円朝さんなんてまったく知らんかったけども・・・ これ読んで思ったわけです・・・ 落語ちゃんと聞いてみてー・・・ まぁ、それはそうとコレ・・・ 怪談噺・・・ こうい...

幕末明治の頃の伝説的な落語家・・・ 三遊亭円朝の噺・・・ 元は落語の、と言ってボクは落語はちゃんと聞いたことないので円朝さんなんてまったく知らんかったけども・・・ これ読んで思ったわけです・・・ 落語ちゃんと聞いてみてー・・・ まぁ、それはそうとコレ・・・ 怪談噺・・・ こういったの初めてだよー・・・ 結構な古典だしどうだろうなー?と思って読んでみたらさ・・・ これがもうヤミツキ・・・ 一気に読んでしまったよー・・・ タイトルは『しんけいかさねがふち』って読むわけだけど・・・ 最初は読み方も分からなかったわけだけど・・・ 文章も昔の言葉でして・・・ 皆さん江戸やら茨城の田舎の方言(?)で喋るから・・・ こりゃあ読めるかなと不安だったわけだけど・・・ さすが落語・・・ たいてい会話だから思いのほかでスラスラ読めちゃう・・・ 直ぐ慣れるし、テンポも良くって、却って雰囲気があってイイもんだね・・・ 怪談なんで幽霊が出たりするんですが・・・ 怨念ですね・・・ これが纏わり憑いて・・・ 様々な人の人生が狂っちゃう・・・ いろんな人のいろんな因縁が絡まってスッゲーどろどろ・・・ こんなになります?ってくらいどろどろ・・・ でも幽霊とか怨念とかが怖いんじゃなくて・・・ そういうんじゃなくて・・・ やっぱり怖いのは人間さまそのもの・・・ 業?性?ってヤツですかね・・・ 今の世も変わらない・・・ お決まりの酒、銭(金)、色(恋)・・・ いやー、これらでもって狂っちゃう・・・ そして、幽霊やら怨念やらが現れる・・・ 狂うと言うと大げさか・・・ 変わっちゃう・・・ そうつまり、誰にでもあり得ること・・・ ってーことは、読んだボクも登場人物になりうるわけだ・・・ げー、こえー・・・ いろんな因縁が絡まりあって最後に一気に解れて行くサマは今でも通じる面白さだと思う・・・ えー、マジか!?という因縁よ・・・ おー、思い出しただけでもコワ・・・ コワ面白い・・・ 古臭いストーリーだけども・・・ 古臭すぎるから逆に新鮮・・・ なもんでハマっちゃったら一気に読めちゃうはず・・・ 前半だけ超ザックリ言うと・・・ お侍で酒癖がチョー悪い深見新左衛門が、まさに酒に酔って・・・ 町の鍼医で金貸しもやってる皆川宗悦を殺しちゃい・・・ その怨念が発動・・・ 新左衛門の長男の新五郎と次男の新吉・・・ 宗悦の長女の志賀と次女の園・・・ ひょんなことからその子らが出会って、恋をして・・・ ジョジョかと見紛うばかりの世代を超えた因縁ストーリーが始まる・・・ 幽霊はあくまでイイ具合に利くスパイス・・・ 絶妙ですが・・・ ハイパーな因縁ストーリーこそが真髄・・・ なんて因果な話でしょうか・・・ おー、コワ・・・ おー、オススメ・・・ 累ヶ淵行ってみてぇ・・・

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2011/09/28

親方が昔、竹田人形座の人形芝居を観て、すごく面白かったっていうお話。 読みやすくて語り口が心地よかった! 仇討場面では泣けっちまったよ。

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2011/08/30

「後巷説百物語」の最終章に圓朝が出ていたので読んだ。高座の単なる速記であるが、まさに巻措く能わずの面白さ。前半は有名な怪談話、後半は敵討ちという構成。全巻を通じて、おどろおどろしい因縁が描かれる。前半はオカルト的な怖さ、後半は運命の怖さだろう。江戸時代の言葉に関する資料としても貴...

「後巷説百物語」の最終章に圓朝が出ていたので読んだ。高座の単なる速記であるが、まさに巻措く能わずの面白さ。前半は有名な怪談話、後半は敵討ちという構成。全巻を通じて、おどろおどろしい因縁が描かれる。前半はオカルト的な怖さ、後半は運命の怖さだろう。江戸時代の言葉に関する資料としても貴重と思う。高座を聞いてみたかった。

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2010/06/17

言わずと知れた落語の大家、円朝による怪談話。  縁が何重にもかさなり縺れ、悲劇は連鎖していく。  昔、やっぱり文庫で円朝落語全集って出てたんだよね。古典落語のほとんどを、私はそれでお勉強しました。で、それは会話の部分に「」(かぎかっこ)はつけてるけど、誰が話したかっていうのはな...

言わずと知れた落語の大家、円朝による怪談話。  縁が何重にもかさなり縺れ、悲劇は連鎖していく。  昔、やっぱり文庫で円朝落語全集って出てたんだよね。古典落語のほとんどを、私はそれでお勉強しました。で、それは会話の部分に「」(かぎかっこ)はつけてるけど、誰が話したかっていうのはなかった。この本は、いちいちあります。  これがねぇ、なんか白けるんだよね。  うーーん、不思議だ。  多分、わかりやすさの為にそうしたんだと思う。確かに、さっと誰が話してるのかはわかる。でもね、落語って基本的に二人しか同時には出ないんだよね。つか、多くても3人で、3人目は話の進行役ぽくなってるんだよ。  ああ、落語でやってる場面が頭に浮かぶからその人の名がうっとおしんだ。名前がはいってるせいで、会話のリズムがカクンと止まってしまうんだ。  って、これで止まるリズムって、文になってるのに円朝の芸のすごさがわかるってもんだな。  にしても、昔の人はこの因縁話を聞いてどう思ってたんだろうな。  今よりずっと短命で、死が常にそばにあると自覚していた時代、避けられぬ運命や、振り払っても付きまとう因縁に絡みとられ、もがき、地獄の業火に焼かれるような無残を迎える登場人物たちを聞いて、哀れと思っていたのだろうか。これに比べたら自分たちはましだと、自分を慰めていたのだろうか。  それとも、単に怖いもの見たさ??

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2019/01/16

「真景」ってなんだろう?と思っていましたが、真景=神経=怪異現象の科学的解釈で、すなわち当世(明治の終わりごろ)風の怪談のことだそうな、。解説を読んでようやく納得がいきました。非常にしゃれたタイトルですね。 とにかく、登場人物が多くて、話が拡散していて、中盤読むのが辛い部分も。...

「真景」ってなんだろう?と思っていましたが、真景=神経=怪異現象の科学的解釈で、すなわち当世(明治の終わりごろ)風の怪談のことだそうな、。解説を読んでようやく納得がいきました。非常にしゃれたタイトルですね。 とにかく、登場人物が多くて、話が拡散していて、中盤読むのが辛い部分も。 ただ、終盤で、それら全部の因縁が修練していくあたりは、非常に気持ちがいいです。

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