なぜ日本人は劣化したか の商品レビュー
2007年に起きた診療報酬不正請求の新聞記事を一つ紹介しています。 たったこれだけで、「著明である」=「非常にあきらかである」と言っているのだ。 一つの事例をもって全体を説明するのは、科学者としてあり得ない行為です。 これをもって、読む価値無しと判断し、最後とあとがきまでスキップ...
2007年に起きた診療報酬不正請求の新聞記事を一つ紹介しています。 たったこれだけで、「著明である」=「非常にあきらかである」と言っているのだ。 一つの事例をもって全体を説明するのは、科学者としてあり得ない行為です。 これをもって、読む価値無しと判断し、最後とあとがきまでスキップ。 『もちろん、この「劣化力」は私自身にも忍び寄っている。私が完全に「劣化」してしまう前に、この本がかけて本当によかった、と今は思っている。』 ちなみに「劣化」は相対的なものです。そのため『完全に「劣化」する』ということは起きえない。 香山氏は「劣化」の意味を知らず、本を1つ書いたということになります。 https://seisenudoku.seesaa.net/article/477839687.html
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香山リカが、日本人からモラルが失われつつあることを嘆き、「正当な権利」と「個人の身勝手」が混同されてしまっていることを批判するという、保守論客のような口ぶりで語っていることに、まずは驚かされました。 それでも後半になると、小泉内閣の頃に見られた新自由主義の隆盛を、スパンの長い問...
香山リカが、日本人からモラルが失われつつあることを嘆き、「正当な権利」と「個人の身勝手」が混同されてしまっていることを批判するという、保守論客のような口ぶりで語っていることに、まずは驚かされました。 それでも後半になると、小泉内閣の頃に見られた新自由主義の隆盛を、スパンの長い問題を考える知力や想像力の「劣化」という心理的な要因によって説明するという、著者らしい議論が見られます。もっとも新自由主義の問題を心理的な要因に還元することはできないのでしょうが、精神科医である著者の立場からこの問題に切り込むとこうした議論になるというのはそれなりに理解できます。 ただ、たとえば「劣化」の例として、『奥の細道』を鉛筆でなぞる本がベスト・セラーになったことや、小学校の給食費の未払いが増えていることなどがとりあげられているのですが、どのようなセグメントにどの程度こうしたメンタリティがひろがっているのかということがデータに基づいて示されているわけではありません。印象に基づくエッセイのような時評がこの著者のスタイルなので、あまりとやかくいっても仕方がない気もしますが、さすがにRPGゲームのヒット作が出ていないことから、キャラクターの感情に共感する能力が「劣化」しているというのは少々強引ではないでしょうか。 また著者は、高い「理念」を掲げることで問題を克服しようとする道は、「理性」がいきわたってなければスピリチュアルなどに回収されてしまうのではないかと懸念を表明しています。そのうえで、「他者を手段としない互酬的な世界の実現」という理念や「誇りの持てる国」「美しい国」といった自己賛美など、左右のイデオロギーをともに廃して、「劣化」の「病識」をもつことから現実的な解決を探っていくべきだと主張しています。しかし、そうしたメタ認知の能力がそもそも「劣化」によってうしなわれているのだとすれば、堂々巡りにならざるをえないと指摘しています。 排除型社会での「寛容の劣化」に対する批判には、イデオロギー的なかさ上げにつながるようなある種の「きな臭さ」を感じてしまいました。もっともこれは、著者に対する先入見のせいなのかもしれませんが。
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確かに多くの点で日本人は劣化したと思う。 だが、進化した部分も少なからずあると思う。 そういった点に目を向けることも、これからの時代を生きていく上で大切なのではないかと感じました。
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確かにその通り、と思うのだけれど、その原因が新自由主義である、と本当に言えるのか。それだけじゃないだろう、という気がした。
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とにかく日本は、日本人は劣化したんだよと言うことが延々と述べられている本。 そろそろ香山さんも飽きてきたかなw 劣化って言うとなんだか悲しい・・・。 何をもって劣化とするのか、それは香山さんの感覚だけ。反論はいくらでも挙げられる。 例えば、若者の「生きる力」の劣化。すぐに死にた...
とにかく日本は、日本人は劣化したんだよと言うことが延々と述べられている本。 そろそろ香山さんも飽きてきたかなw 劣化って言うとなんだか悲しい・・・。 何をもって劣化とするのか、それは香山さんの感覚だけ。反論はいくらでも挙げられる。 例えば、若者の「生きる力」の劣化。すぐに死にたいとか言うのは、何も今始まったことではなく、明治時代だったか、大正時代だったか、ちょくちょく若者の間で自殺が流行った時期がありました。そんな簡単なこと(当人にとってはきっと重要なこと)で死んでしまうん?!ってレベルで。当時も問題になったりしてました。 めんどくさくて具体的なソースが挙げられないので、説得力に欠けますが・・・・w 要するに、反論の余地は多いにある本なんですが、単なるエッセイだと思って読む本です。ってことです。笑
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「考える」 人間は、この時間を持つことが大事という。 今、日本人は、この「考える」力が劣化しているというのだ。 日本語能力。他者の心を想像する能力。 知的世界を展開させる原動力が弱まっているという著者。 だから、知的な退廃がそれにともなっておきている。 とにかく...
「考える」 人間は、この時間を持つことが大事という。 今、日本人は、この「考える」力が劣化しているというのだ。 日本語能力。他者の心を想像する能力。 知的世界を展開させる原動力が弱まっているという著者。 だから、知的な退廃がそれにともなっておきている。 とにかく、本を読むことと、コミュニケーション。
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文字がでかくなったことは情報量の少なさ、即ち劣化を示す。まあ昔の文庫を見ると確かに文字は小さいですし説得力も無きにしも非ず。 他人を思いやる心の欠如という点についてはその通りでしょう。権利は主張しても義務を果たさないのは人としての劣化そのもといえますし。
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タイトルの時点で非常に挑戦的な本だが、内容も十分に挑戦的だった。 香山リカの本は初めて手に取ったのだが、前半は感覚ベースで書かれていて殆ど所感レベルだったが、後半は様々な人の引用や科学的な用語を含む文章で、差が激しかった。それも戦略なのだろうか。 感想としては、経済社会につい...
タイトルの時点で非常に挑戦的な本だが、内容も十分に挑戦的だった。 香山リカの本は初めて手に取ったのだが、前半は感覚ベースで書かれていて殆ど所感レベルだったが、後半は様々な人の引用や科学的な用語を含む文章で、差が激しかった。それも戦略なのだろうか。 感想としては、経済社会について新自由主義批判をしていたが、やはり竹中平蔵先生が言っている内容とのズレがある。 どちらが正しいとかは恐らく判断できないのだろうけれども、「小泉・竹中政権によって格差が拡大した」と言っているあたり、やはり感覚ベースなのかなとも思ったり。 2007年時点の本だから仕方ないのかしら。 結局、香山リカがどんな論者なのか十分に把握することはできなかったが、社会科学や哲学などに造詣の深い方だということは分かった。 また面白そうな新刊を見つけたら読んでみようかな。 ただ、香山リカの主張は、なんか僕の肌には合わなかった気が、する。 なんでだろうね。
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※このレビューにはネタバレを含みます
ひと息200字=読む力の劣化?そんなごく僅かな例を挙げられても… 第一、この雑誌の名前が挙げられていないのはなぜ? 新聞や文庫本の文字が大きくなった、つまり情報が薄っぺらになったのは、若者の新聞離れが原因? いや、考えられるとしたら、暇の少ない人や視力の弱った高齢者への配慮だろう。 それに、文章の長さ=情報の価値ではないはず。「昔の高齢者は虫眼鏡を使ってでも小さな活字の本を読んだ」とも言っているが、たったこれだけの理由で文字が大きくなった、イコール劣化というのは牽強付会だと思う。 「脳を鍛える」などのお手軽なゲームや、「なぞる」本が好調な売り上げを見せているのは日本人の劣化が原因? いや、ファイナルファンタジーやドラゴンクエストといった名作のシリーズも、最近でも発売すればたちまちミリオンヒット以上の売上を叩き出すし、今もプレイしている人は少なくないはず。お手軽ゲームの売上増は、高齢者など今までゲームに縁が遠かった人もプレイするようになったからためであろう。 なぞる本が売れるのも、いきなり名作に触れるのは敷居が高すぎると思う人や、脳を若く保ちたい人が増えただけだろう。 やたら分厚い京極夏彦の本の読者層は主に2~30代の若者である。 「劣化」の定義については本書のどこにも示されておらず、全体的に「劣化」の根拠が薄弱で、ソースも少なくてなんだか胡散臭いものが多い。「昔はいい時代だった。それに比べて今の人々は大事な何かを失っている」なんてフレーズを金科玉条の如くしている人に受けそうな内容だった。
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[ 内容 ] 知らず知らずのうちに日本と日本人の学力・知性・モラルの崩壊が始まっている。 [ 目次 ] 第1章 活字の劣化 第2章 モラルの劣化 第3章 劣化していないものは? 第4章 若者の「生きる力」の劣化 第5章 社会の劣化 第6章 排除型社会での「寛容の劣化」 第7章 ...
[ 内容 ] 知らず知らずのうちに日本と日本人の学力・知性・モラルの崩壊が始まっている。 [ 目次 ] 第1章 活字の劣化 第2章 モラルの劣化 第3章 劣化していないものは? 第4章 若者の「生きる力」の劣化 第5章 社会の劣化 第6章 排除型社会での「寛容の劣化」 第7章 劣化はいつから起きたのか 第8章 劣化か、進化か 第9章 劣化を防ぐことはできるか [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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