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響きと怒り(下) の商品レビュー

4.3

8件のお客様レビュー

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2024/05/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ジェイソンが語り手の第三章が一番わけがわからんかった。 一章、二章より読みやすいと思ったら全然違った。 どういう状況なのか理解しずらい。 全部読み終わってから思い返すと、いちいち皮肉って考えてるからわかりにくかったのかも。 最後にヤケになってるところでちょっと好きになれた。 第四章は意外とあっさりしてた。 泣き止まないベンジーに「ディルシーがここにおるよ」って頭を撫でながら話しかけてるところは、ディルシーの優しさを感じて好き。 付録で、ベンジーが最終的には施設に入っちゃうのがせつなかった。 読むのはかなり大変だったけど、面白かった!

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2023/05/22

津村の読み直し世界文学の1冊。ほとんどが情景描写と会話である。太字の箇所も上巻ほど多くない。100年前のことなので、黒人が使用人となっているというパターン化として描かれている。

Posted byブクログ

2017/11/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

改めて、上巻のぐるぐる混沌とした文章がこの本の大きな魅力の1つだと思った。 付録読んでクエンティン好きだなーと痛感。キャディのことは、家の象徴として愛してる。でも死期を遅らせたのは先祖じゃなくて弟のベンジャミンのため、っていう。この危うい純粋さ、繊細さがたまらない。そしてその美しさを、文体が底上げしてる。これぞ退廃美。 しかし、ジェイソンは面倒ごとを引き受けすぎてひねくれた感がすごい。母親も言葉では一番大切、って言ってるけどいや嘘でしょう、と言いたくなる仕打ちしてる。母親は自分大好き人間なんだなあ、ってことがよくわかる。ジェイソン、よくそんなに頑張れたよね、尊敬する。没落の悪い側面を一身に背負ってる感じでひたすら不憫。 クエンティンとジェイソンを対比と捉えたら、最後に示されたキャディの消息にも意味があるような気がしてきた。彼女が“家”の象徴だとすると、違う場所で生き続けてる、っていう示唆?体裁は悪いかもしれないけど、綺麗な富ってそもそもないと思うんだよね。キャディはすごく現実的に栄えてる気がする。彼女が現実なら、ベンジャミンはまさに幻想世界の住人だし。 あー考察本読もうかな。

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2016/04/21

第一章を読み終えることができるかどうかが、本書を読了することができるかどううかを決めるだろう。人間の意識の流れをリアルに文章化するという試みであり、これほど読みいくい文章を他に知らない。頁内で数回という頻度で時代と場面が変換する。巻末の場面転換表と解説を見ながらでなくては全く理解...

第一章を読み終えることができるかどうかが、本書を読了することができるかどううかを決めるだろう。人間の意識の流れをリアルに文章化するという試みであり、これほど読みいくい文章を他に知らない。頁内で数回という頻度で時代と場面が変換する。巻末の場面転換表と解説を見ながらでなくては全く理解できないと思う。しかし、この第一章こそが本書の最重要部分であることが読了後にわかる。 二章以降は、「アブサロム、アブサロム!」「八月の光」に比べると非常に読みやすい。これは原文がわかりやすいのか、翻訳がうまいのかはわからない。個人的には、代表作三作では「八月の光」が一番好きだが、本書も傑作だと思う。

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2015/12/24

上巻に比べ下巻に入ると話しがすっきりする。 同じ名前で異なった登場人物が出てくるのでややこしい所がある。 没落していく名家、黒人のポジション等当時の南部の土壌についての知識がないと理解しづらい所があるのかもしれない。 いずれにしても海外文学に興味があるのであればぜひ読んでおきたい...

上巻に比べ下巻に入ると話しがすっきりする。 同じ名前で異なった登場人物が出てくるのでややこしい所がある。 没落していく名家、黒人のポジション等当時の南部の土壌についての知識がないと理解しづらい所があるのかもしれない。 いずれにしても海外文学に興味があるのであればぜひ読んでおきたい作品である。

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2013/07/05

下巻に入ると一気に視界が開けてきた。そこにあるのは未曾有の繁栄を享受していた北部から取り残された1920年代アメリカ南部の風景であり、奴隷解放宣言から半世紀が経つも未だ関係が改善されない人種の溝であり、逃れられない血の宿命を体現した家族の没落する姿であった。三部の視点主となるジェ...

下巻に入ると一気に視界が開けてきた。そこにあるのは未曾有の繁栄を享受していた北部から取り残された1920年代アメリカ南部の風景であり、奴隷解放宣言から半世紀が経つも未だ関係が改善されない人種の溝であり、逃れられない血の宿命を体現した家族の没落する姿であった。三部の視点主となるジェイソンは狂おしいまでに正気な人間だが、その生き方は彼が罵倒する黒人以上にしがらみと抑圧にまみれており、それは四部で描かれる使用人達のしたたかさと黒人教会での開放的な姿と対象形を成している。フォークナーの言葉は鈍器の様に重く、響く。

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2013/01/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

南部貴族コンプソン家の没落した日常を書いている。当主ジェイソンはアル中で死に、母キャロラインは惨めな繰り言をいい、長男クェンティンは自殺、長女キャディダスは銀行家と結婚するものの婚前にできた私生児を生み離婚、実家に娘クエンティンを預けている。末弟ベンジャミンは自閉症?のまま33歳になっており、黒人に世話をされている。次男ジェイソンは姉のコネで銀行員になろうとして失敗、長男がハーバードに遊学したこと等に嫉妬しながら、地元の雑貨屋に世話になり、家計を支えているが、働きぶりもマジメとは言えず、かなりヤサグレて冷酷な中年になっている。彼は姉が預けた娘クェンティンに厳しく接し、キャディダスを脅し彼女が送ってくる娘の養育費の管理人になり、金を貯め込み、(大恐慌の前の)綿相場にも手を出し、損を出しているが、最後にはクェンティンに貯め込んだ金を持ち逃げされる。上巻の回想や幻想が縦横に織り込まれる文体と異なり読みやすいが、ジェイソンの一人称には全く幻想というものがなく、別の意味で日常に狂っているとも言える。あまり心地よい小説ではない。

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2011/07/01

全編を通して、プライドが高いのにイジけている母親に苛々する。この人を育てられたせいで、コンプソン家の子供たちはまともに育たなかったのでは、と思ってしまった。要再読、二回目にまた違う発見がありそう。

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