ナナ の商品レビュー
ゾラの代表作『ナナ』。フランス帝政の腐敗ぶり、当時の演劇界やメディア業界の舞台裏、娼婦たちの生活など華やかで淫蕩に満ちた世界をゾラはこの小説で描いています。 欲望を「食べ物」に絶妙に象徴して描いた作品が『パリの胃袋』であるとするならば、『ナナ』はど直球で性的な欲望を描いた作品と言...
ゾラの代表作『ナナ』。フランス帝政の腐敗ぶり、当時の演劇界やメディア業界の舞台裏、娼婦たちの生活など華やかで淫蕩に満ちた世界をゾラはこの小説で描いています。 欲望を「食べ物」に絶妙に象徴して描いた作品が『パリの胃袋』であるとするならば、『ナナ』はど直球で性的な欲望を描いた作品と言うことができるでしょう。 ゾラ得意の映画的な描写も健在で、読みやすいことこの上なしです。 世界文学屈指の名作に数えられる『ナナ』。ぜひぜひおすすめしたい作品です。
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ルーゴン・マッカール叢書第9巻にして、『居酒屋』の続編。前作の女主人公ジェルヴェーズの娘ナナのその後。 前作『居酒屋』では社会の最下層の人物たちが描写され、ダメ男と貧乏と酒で家庭が崩壊するという悲惨な話だった。その家庭を飛び出した娘のナナは、その美貌と自由奔放な性格を武器にパリ...
ルーゴン・マッカール叢書第9巻にして、『居酒屋』の続編。前作の女主人公ジェルヴェーズの娘ナナのその後。 前作『居酒屋』では社会の最下層の人物たちが描写され、ダメ男と貧乏と酒で家庭が崩壊するという悲惨な話だった。その家庭を飛び出した娘のナナは、その美貌と自由奔放な性格を武器にパリの社交界に乗り出していくことになる。 まず注意点として、人物が多く人間関係も混み合っているので、序盤は何度か読み直しながら進むか、メモを取らないとこんがらがる。700ページオーバーの大作だが、序盤を越えて人間関係を把握してしまえば、、次第にそれぞれの人間描写の生々しさに面白みを感じるようになってくるので、中盤以降は意外に読みやすい。 高級娼婦としてパリに君臨したナナは、貴族などの上層階級の男たちを虜にし、次々に食らいつくしていく。メインの相手となるミュファー伯爵だけでなく、彼女に関係するあらゆる人物の描写には、泥臭いというか生々しいというか、その負の部分に引きつけられるものがある。脇役ながら虎視眈々と野心をあたためる使用人や、某ドラクエの「遊び人が賢者になる」をまさに体現するかのようなシーンなど、印象深いエピソードがいくつも積み重なって物語は進んでいく。新聞記者フォシュリーがナナを最下層の溝泥から飛び立った「金の蝿」と例え、彼女が無意識に上層社会に復讐している様を評したのは考えさせられるものがあった。後半がおなじみの展開に思えるのは、19世紀フランスの恋愛小説を読みすぎているからだろうか。とはいえ、期待を裏切らない圧巻のラストだった。
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前作「居酒屋」の次の本。 久しぶりにゾラを手に取り、彼の凄さを再確認した。 文章から絵画のように、頭の中で描けるような素晴らしい技術。 ジェルヴェーズの娘らしく調子乗り過ぎたナナの最期が気になり、一旦放置状態でしたが再び手に取りあっという間に読めた。 少しだけ、谷崎文学みたいな箇...
前作「居酒屋」の次の本。 久しぶりにゾラを手に取り、彼の凄さを再確認した。 文章から絵画のように、頭の中で描けるような素晴らしい技術。 ジェルヴェーズの娘らしく調子乗り過ぎたナナの最期が気になり、一旦放置状態でしたが再び手に取りあっという間に読めた。 少しだけ、谷崎文学みたいな箇所もあり、久しぶりにゾラを堪能できた。
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悪女ものは数多くあるが、ナナを越える悪女を知らない。 彼女は悪いことをする気が全くない。悪意のない人間に騙されないようにするなんてことはできない。自然災害のような女性。
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大学の授業で扱ってるので読んだ。最初は退屈だったけど、章が進むにつれて登場人物に愛着がわいてくると、結構一気に読めてしまった。いろんな事件が次々に起こるのでテンポが良い。ただ、訳されたのが50年以上前で、言葉遣いや文章表現に慣れなかった。新訳版が欲しい! ナナは現代でいうクズ女...
大学の授業で扱ってるので読んだ。最初は退屈だったけど、章が進むにつれて登場人物に愛着がわいてくると、結構一気に読めてしまった。いろんな事件が次々に起こるのでテンポが良い。ただ、訳されたのが50年以上前で、言葉遣いや文章表現に慣れなかった。新訳版が欲しい! ナナは現代でいうクズ女みたいなもので、言動や行動もまるで意味がわからない。傍観者的な立場で読むと面白い。
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貧しい家庭の生まれのナナが、女優になり、高級娼婦になり…という物語。ナナの退廃的な色気にぞっこんです。これを読んでから、ジャンルノワール監督のNANA を観るのがオススメです。原作のイメージそのままに、カトリーヌヘスリング演じるナナがハマりすぎてムラムラです。大根役者最高。
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浮き沈みの激しさに翻弄さる中にあの頃の時代のパリを垣間見れたと思います。翻って現代でも多かれ少なかれ起こっている事なんでしょう。
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登場人物を携帯でメモしながら読了。総勢50人以上。全員がいきいきと描かれる。罪の意識を持たないヴィナスに翻弄される人々。著者は綿密な調査の元に作品を書いていったとのこと。かつてのパリの夜は華やかかつ、生々しい。
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エミール・ゾラ「Nana(ナナ)」 多角的すぎる表現に圧巻。。 前々作「居酒屋」では主人公ジェルヴェーズの生涯、 という体裁をとっていたが、この作品に至って 主人公のナナは「装置」としての色合いが強い。 それは三島由起夫「金閣寺」の養賢が夢見た、 全てを「同一の条件かに押しつぶ...
エミール・ゾラ「Nana(ナナ)」 多角的すぎる表現に圧巻。。 前々作「居酒屋」では主人公ジェルヴェーズの生涯、 という体裁をとっていたが、この作品に至って 主人公のナナは「装置」としての色合いが強い。 それは三島由起夫「金閣寺」の養賢が夢見た、 全てを「同一の条件かに押しつぶしてしまう圧搾機」を思わせる 2012-05-01 01:48:17 Twitterより
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見栄と肉欲とお金。汚いものが集まって輝いている。 使い捨てにされる男も可哀想だけど、騙される者がいるから騙す者が生まれるのだから仕方がない。 女の身勝手さを体現したナナと、そんなナナにバカみたいに貢ぐバカな男達の話。
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