「普通がいい」という病 の商品レビュー
2010/04/21 精神療法を専門とする精神科医は日本ではまだまだ少ないなか、 著者は人間の心と身体の結び付きに深く興味を抱き、 様々な切り口から人が病に陥るプロセスを解き明かしている。 本書には多くの「図」や各書物からの引用が出てくるが、 補足としての解説が分かりやすく、...
2010/04/21 精神療法を専門とする精神科医は日本ではまだまだ少ないなか、 著者は人間の心と身体の結び付きに深く興味を抱き、 様々な切り口から人が病に陥るプロセスを解き明かしている。 本書には多くの「図」や各書物からの引用が出てくるが、 補足としての解説が分かりやすく、内容の理解にとても役立った。 世の中には本当にたくさんの言葉があふれていて、 自分を含め、周囲の人々がいかに振り回されていることか。 「普通」「孤独」「現実」「愛」「欲望」 よく使われるこれらの言葉だけでも、 内包するイメージの持つ力は計り知れないものがある。 たとえば、「孤独」のもつ言葉のイメージ。 それは「ネガティブなもの」であったり、「淋しい」であったり、 「いたたまれない」状況であったりする。 そして、その状態を修復するために、 恋人をつくったり、結婚したり、家族や友人と交際を持つ。 しかし、そもそも「孤独」が淋しいものであるという固定観念こそが、 孤独に苦しむ人々に孕む問題であり、 人は人と共に居ようが、一人で生きようが孤独であり、 また、すべての人々は、均等に孤独から 逃れることのできない存在なのだというように、 悩みを抱える人には、一度言葉のレッテルをはがしてやる必要がある。 日本ではまだまだ薬物療法が中心だが、 著者のような「心」の問題を専門に扱う医師が これから増えていくことを望んでやまない。
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素晴らしい! 平易な言葉で、ぎゅっと凝縮された内容。 様々な引用によって、よりわかりやすさを増し、あとで読んでみようという気にすらなります。 わたしはいま、まさにP246のDの地点に差し掛かってます。 ここからが正念場です。
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印象に残っている箇所以下3つ。?自分の全てをわかってくれて、自分の全てを受け入れてくれるような人間関係は存在しない。そのような「ないものねだり」を他社に求めることになってしまっている根本原因は、「自分が自分を愛していないこと」にある。つまり、自分の内界が寒く寂しいものになっている...
印象に残っている箇所以下3つ。?自分の全てをわかってくれて、自分の全てを受け入れてくれるような人間関係は存在しない。そのような「ないものねだり」を他社に求めることになってしまっている根本原因は、「自分が自分を愛していないこと」にある。つまり、自分の内界が寒く寂しいものになっているために、他者にその代わりの温かさを求めざるを得なくなっている。とのこと。「自分が自分を愛していないこと」というフレーズにとても引っかかった。多分、自分のどこかに思い当たる節があるからである。もう少し年齢を重ねてみないとこれに対してはまだ何も言えない。?ボランティア活動というのは、生きがいを求めて行うべきものではない。弱者を助けるという名目で「欲望」の対象にしてはならないということである。胸に刺さったような気がした。利他の精神と自身の欲望との線引きが明確にできていない状態で、奉仕活動をすることは、自身の場合、自分の欲望を満たしているに過ぎないのかもしれないと思う。?なぜ生きるか?禅問答の一つにこの問いに対し、趙州は「庭先の柏の木」と答えている。この意味は、この木は何かの目的があってどこからか歩いてきて植わっているわけではない。あるべくしてただそこにある、ただそこに生えている。という意とのこと。この答えを知り、自身の中で何かが落ちた。気が楽になった。ある特定の仕事に就くと他の仕事には就けないわけである。当たり前のことだが、仕事の選択肢に正解があるような気がしていた。そうではなく、自分の入りたい会社でそこで一番になれば良いという意識が出来た。これは収穫である。
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あえて「セラピストの本棚」に分類しましたが、コーチの本棚でもいい気もします。 ファウンデーション強化のためのセッションなんかには使えるヒントが満載です。 仏典や詩、小説、戯曲などから名言を多く引用していてとてもわかりやすかったです。 「こうなんだよな」と思っているけどなかなか、ど...
あえて「セラピストの本棚」に分類しましたが、コーチの本棚でもいい気もします。 ファウンデーション強化のためのセッションなんかには使えるヒントが満載です。 仏典や詩、小説、戯曲などから名言を多く引用していてとてもわかりやすかったです。 「こうなんだよな」と思っているけどなかなか、どんな言葉で伝えればいいのか思いつかないような事柄について 「ああ、こういえばいいのか」というを提示してもらったような気がします。 よそでいっぱい使わせてもらいます(笑)
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タイトルはともかく、良質の心理学、人生指南、精神医学の書である。「自分は普通じゃない、普通になりたい」、「世界のどこかに基準があって、それに自分を合わせないといけない」―そういう強迫観念のようなものは、誰しも多少とも持っているはずだ。避けられない「社会適応」によって苦しむとき、こ...
タイトルはともかく、良質の心理学、人生指南、精神医学の書である。「自分は普通じゃない、普通になりたい」、「世界のどこかに基準があって、それに自分を合わせないといけない」―そういう強迫観念のようなものは、誰しも多少とも持っているはずだ。避けられない「社会適応」によって苦しむとき、この本をひらいてみるといいのだ。悩み、迷い、不安…一体これからどう生きていくべきか、少し立ち止まって考えること、その助けに本書は必ず役に立つ。ニーチェ、オクタビオ・パス、十牛図・・・東西思想の知恵、そのエキスを取り出し、自分で自分の思考法をコントロールする術を提案する活字の「精神療法」。上質な人生論を読むように、生きる希望と充実感がわいてくる良書。
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自分を正しく言えば、「普通"で"いい」という病だと思う。 "が"ほどの主体性すら、自分にはあるだろうか。 でもやっぱり「普通じゃいやだ」と言う自分を生きるために、ちょっと恥ずかしいレジも軽く突破すべし。
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思えばこの本との出会いは運命的だった。 「かくあるべし」という思考がいかに間違っているかが分かる。分別とか理性とかはあくまで生きていくための手段に過ぎないのであって、それ自体が「善」とか「自分」ではないということだと感じた。螺旋構造の図を見るに、成長とは選択と排除ではなく、融...
思えばこの本との出会いは運命的だった。 「かくあるべし」という思考がいかに間違っているかが分かる。分別とか理性とかはあくまで生きていくための手段に過ぎないのであって、それ自体が「善」とか「自分」ではないということだと感じた。螺旋構造の図を見るに、成長とは選択と排除ではなく、融合であるとも思う。もやもやした部分もあるけれど、読了後にふっと心が軽くなる、そんな一冊。病気とか健康とか、表面的な価値観を捨てて「生きるために生きる」ことへの第一歩を踏み出させてくれる。
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正直「これが精神科医が書いた本か?」と思ってしまいました。それ位、読みやすく、興味本位で読んでも充分楽しめる本だと思います。 悩んでる人にとっては、たくさんヒントが隠されている本だと思います。
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