彗星の住人 の商品レビュー
作者の当時の力を全て注いだ三部からなる大作。 作品の中心に据えられる“カヲル”の恋愛の顛末を、カヲルの姉である語り手アンジュから、カヲルの娘フミヲへと伝聞で伝えられる作品構成。 一部である本作は、カヲルの曽祖母の恋愛から始まり、祖父、祖父から父とエピソードが降りてゆく。この継承...
作者の当時の力を全て注いだ三部からなる大作。 作品の中心に据えられる“カヲル”の恋愛の顛末を、カヲルの姉である語り手アンジュから、カヲルの娘フミヲへと伝聞で伝えられる作品構成。 一部である本作は、カヲルの曽祖母の恋愛から始まり、祖父、祖父から父とエピソードが降りてゆく。この継承や流転のシステムは三島由紀夫の名作から公然と影響を受けている。 軽さはあるものの、ウィットの散らされた書き口はボリュームに反し読みやすい。
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蝶々夫人。JBから蔵人、4代目のカヲルへと至るアメリカと日本の間の憧れと不信の揺れ動き、音楽と若さと恋心。 時代をも変える個人的で秘めやかで強い愛。 フィクションだとはわかっていても偶然と歴史が支配する切ない恋に。決してハッピーとは言えない子供たちの境遇と思いに読み進める本でした...
蝶々夫人。JBから蔵人、4代目のカヲルへと至るアメリカと日本の間の憧れと不信の揺れ動き、音楽と若さと恋心。 時代をも変える個人的で秘めやかで強い愛。 フィクションだとはわかっていても偶然と歴史が支配する切ない恋に。決してハッピーとは言えない子供たちの境遇と思いに読み進める本でした。 どのように現代にたどり着くか、2巻を読みたいと思います
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曽祖父母から続く四代の親子たちの壮大な恋物語。 何が壮大かって、マッカーサー、お蝶夫人などが登場するのである。 フィクションだと分かっていても何だかワクワクする。 次巻では天皇も登場するらしいのだから本当にスケールが大きい。 恋物語そのものよりも、文章の美しさに惹かれる。
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とてもとても壮大な物語。自分の父のことを知るために、父が養子に入った常盤家で、主人公の椿は曾祖母、そして祖父の悲しい恋をも知ることになる。出てくる人が蝶々夫人や、マッカーサー、小津安二郎、原節子をモデルにしたような人たちで、壮大すぎてくらくらした。次巻は天皇まで出てくるらしい。
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無限カノン三部作の1作目。 主人公の両親、祖父母、曽祖父母の出会いと恋が語られる。 曽祖母は蝶々夫人、その息子が祖父。祖父は通訳として占領軍と関わる。その息子である父は占領軍元帥の愛人を寝取る。そんな血脈を主人公は受け継ぎ、自身も恋が生きる目的とする人生を無意識に歩む。 二部への...
無限カノン三部作の1作目。 主人公の両親、祖父母、曽祖父母の出会いと恋が語られる。 曽祖母は蝶々夫人、その息子が祖父。祖父は通訳として占領軍と関わる。その息子である父は占領軍元帥の愛人を寝取る。そんな血脈を主人公は受け継ぎ、自身も恋が生きる目的とする人生を無意識に歩む。 二部への布石という役割は否めないが、それぞれが個性的であり共通点を持っている。本当に欲した人とは悲恋に終わるが、結果的には添い遂げる相手があり子も授かっている。まぁ、それはそれでな感じ。 やはり文章がきれい。
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赤い琉金には喜びという名を、黒出目金には悲しみという名をつけた。どうせ人がやっていることだ。長くは続かない。ピンカートン、JB、野田蔵人、野田カヲル、椿文緒、ダダ、マム、常磐シゲル、マモル、アンジュ、松原妙子、麻川不二子、小津安二郎、キリコ、花田貴志、蝶々夫人、日本語教師ミススズ...
赤い琉金には喜びという名を、黒出目金には悲しみという名をつけた。どうせ人がやっていることだ。長くは続かない。ピンカートン、JB、野田蔵人、野田カヲル、椿文緒、ダダ、マム、常磐シゲル、マモル、アンジュ、松原妙子、麻川不二子、小津安二郎、キリコ、花田貴志、蝶々夫人、日本語教師ミススズキ、野田那美、ナオミ、マッカーサー、帝国ホテル、雲取山、東京で一番高い山、全国大学入学模擬試験一位の伊能、美智代という名の巨乳娘。
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久しぶりの再読ですが、とてもワクワクしながら、読み進めました。カヲルと不二子の手紙のやり取りは、なんとも言えず、心が締めつけられます。
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敗北し、語られなかったものは永遠に消え去るだろうか。 第一部は越境の物語である。 彗星とは所在不明でありながらも別の場所へと向かう住所を指し示している。
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野田カヲルとその一族の恋を描いた「無限カノン」の第一部。 カヲルの一人娘である文緒が、幼い頃に別れたきりの父を探しに旅に出るところから作品の幕が開く。文緒に“君”と呼びかける二人称で始まる作品世界になかなか慣れず、ちょっとした違和感さえ感じてしまったが、物語が次第に見えてくると、...
野田カヲルとその一族の恋を描いた「無限カノン」の第一部。 カヲルの一人娘である文緒が、幼い頃に別れたきりの父を探しに旅に出るところから作品の幕が開く。文緒に“君”と呼びかける二人称で始まる作品世界になかなか慣れず、ちょっとした違和感さえ感じてしまったが、物語が次第に見えてくると、先を急ぐように読んだ。 カヲルの系譜のルーツとして、かの有名な蝶々夫人とアメリカ兵の恋が語られ、そのあとの世代の恋にもマッカーサー元帥が絡んでくるなど、とことん日本の歴史と一族の恋とが結びつけられていく。そこを壮大な恋として受け入れるか、ちょっと鼻白んでしまうか、好みが分かれそうなところではある。
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ロマンチックかつ残酷な恋物語。といっても単なるラブストーリーではなく歴史や国家などの要素が絡んできて読むものを飽きさせない。
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