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彗星の住人 の商品レビュー

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25件のお客様レビュー

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2010/11/02

歴史をめぐった恋愛と出世の物語。残酷甘美な、過去へと遡るお話。重たくて暗くて、ロマンチックで先を知りたくない。悲劇がまっていたら、すごくいやだもの。

Posted byブクログ

2010/06/02

作者のいうとおりこれは「考えられる限り、もっとも危険で、甘美で、それを描くことが難しい恋」のはじまり。 読んでてくらくらした(もちろんいい意味で)。

Posted byブクログ

2020/07/15

気が遠くなるような、巨大スケールの物語だった。 話しの語り部としては、21世紀の現代に立った視点から話しを始めているにも関わらず、そこから語られる内容は、今からはるかに時代を遡った、四世代前の長崎の女性を発端として延々と続いてゆく。 普通であれば、せいぜい主人公の家族あたりまでが...

気が遠くなるような、巨大スケールの物語だった。 話しの語り部としては、21世紀の現代に立った視点から話しを始めているにも関わらず、そこから語られる内容は、今からはるかに時代を遡った、四世代前の長崎の女性を発端として延々と続いてゆく。 普通であれば、せいぜい主人公の家族あたりまでが、登場人物としての範囲になるところが、100年以上にもわたる血のつながりによって、一つの話しの中で関連づけられていくというのは、かなり壮大な試みだ。 この話しのスケールの巨大さは、事実して存在した19世紀後半以降の日本史や日本政治と密接に関わりながら、或る一つの家系に繰り返し現れる「生き様」とでもいうべきものが語られているところにある。 この本を読むと、どんな個人も、歴史の強い力や過去の因縁とでも呼ぶものから逃れられはせずに、無意識的にそれに操られながら、今を生きているのだという感覚にとらわれる。これは、周到に組み立てられた小説にしてはじめて作り出すことが出来る、不思議な世界なのだと思う。 あなたはこれからの女。私はすでに用済みの女。もう何も見る必要はない。あなたはなまじ目が見えるから、真っ先に形のいいものや色気のあるものを見て、騙されてしまうのよ。私も若い頃はそうだった。何度も騙されて、傷ついて、愛するものを失って、そして光も失って、ああ、そういうことだったのかって悟ったのよ。(p.35) この人は自分の喜怒哀楽を自在に取り換えられる人だ、と君は思う。君は悲しい時には、ただ悲しむことしかできないのに、彼女は怒りを感謝に変え、悲しみをユーモアに翻訳し、退屈を楽しみに加工できるのだ。アンジュ伯母さんに向けられた君の眼差しは自然に親愛の情を帯びた。(p.39) 三十六、七年前、この町でも一人の少年が一人の少女に会った。きょうも何処かの街角で、学校で、川べりで、公園で、カフェで、ボーイ・ミーツ・ガールが繰り返されている。もし、ボーイ・ミーツ・ガールが罪になるのだとしたら、何と罪作りな惑星に我々は住んでいることか。(p.47) カヲルは自らの歌声で、常盤家の人々に、この家の子となることを認めさせたのだった。歌は、理屈よりも強い説得の道具になることを、カヲルはこの時、おぼろげに悟った。(p.69) もう何もすることがなくなってしまった。すでに彼は人生絶頂の日を通り過ぎてしまった。よるべない心を通わせる場所は、見つけたと思った直後には消えていた。彼がそこに留まっていられたのは、まばたき数回の刹那に過ぎなかった。何というあっけなさだったろう。妙子さんが与えてくれた陶酔は、待ちぼうけの時間の中に埋もれてしまいそうだった。(p.392)

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2009/10/04

それは、まるで、 少女漫画をオトナ買いして読み漁るかのごとく。 読み進めると、どんどん先が気になる。 最近、そういう話に出会ってなかった。 こころにいちいち引っかかるんじゃなくて、 ただ単純に先がどうなるのか、知りたい。 という欲求のみに忠実になって、 夜が朝になる...

それは、まるで、 少女漫画をオトナ買いして読み漁るかのごとく。 読み進めると、どんどん先が気になる。 最近、そういう話に出会ってなかった。 こころにいちいち引っかかるんじゃなくて、 ただ単純に先がどうなるのか、知りたい。 という欲求のみに忠実になって、 夜が朝になることも。 そして、また、自分の悪いクセで 身近な人間を本の中に投影。 あー、このクセが出るところまでもが、 少女漫画的だ!はまった!!

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2009/10/07

無限カノン3部作です。第1部読み終わるのに、1ヶ月かかったよ!なんてこった!血族4代にわたる恋物語。 「カヲルは偶然にも十八歳だった。彼は蝶々夫人が自分の恋を殺したのと同じ歳に、自分の恋を蘇生させようとした。蝶々夫人から数えて四代目、恋の遺伝子は、カヲルにも確実に受け継がれ、ま...

無限カノン3部作です。第1部読み終わるのに、1ヶ月かかったよ!なんてこった!血族4代にわたる恋物語。 「カヲルは偶然にも十八歳だった。彼は蝶々夫人が自分の恋を殺したのと同じ歳に、自分の恋を蘇生させようとした。蝶々夫人から数えて四代目、恋の遺伝子は、カヲルにも確実に受け継がれ、まさに開花しようとしていた。蝶々夫人は末期の夢にも見なかっただろう。おのが恋が遠い未来の子孫の恋をも左右するとは。恋は喜怒哀楽をゆがめ、理性を壊し、命さえ危険に晒してもなお、終わらず、滅びず、きょうもまた別の誰かが繰り返す。たとえ、恋人たちが死んでも、彼らの満たされなかった欲望は未来に持ち越され、忘れられた頃、蘇る。」(P492) 「記憶というものは恐ろしい。君が生まれる前から、彼岸にいた人々が話し、嘆き、笑い、恋をし、旅をするのだ。それが記憶の中で生き長らえるということなのか。ならば、彼らはアンジュ伯母さんや君の意識の中で、性懲りもなく、旅をし、恋をし、話し、嘆き、笑い続けるのだ。」(P306-307)

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2009/10/04

一八九四年長崎、蝶々さんと呼ばれた芸者の悲恋から全てが始まった。息子JBは母の幻を追い、米国、満州、焼跡の日本を彷徨う。三代目蔵人はマッカーサーの愛人に魂を奪われる。そして、四代目カヲルは運命の女・麻川不二子と出会った刹那、禁断の恋に呪われ、歴史の闇に葬られる。恋の遺伝子に導かれ...

一八九四年長崎、蝶々さんと呼ばれた芸者の悲恋から全てが始まった。息子JBは母の幻を追い、米国、満州、焼跡の日本を彷徨う。三代目蔵人はマッカーサーの愛人に魂を奪われる。そして、四代目カヲルは運命の女・麻川不二子と出会った刹那、禁断の恋に呪われ、歴史の闇に葬られる。恋の遺伝子に導かれ、血族四代の世紀を越えた欲望の行方を描き出す画期的力篇「無限カノン」第一部。

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2009/10/04

島田雅彦氏の作品です。 3つの小説ですが、無限カノン三部作として副題が与えられています。 『蝶々(ちょうちょう)夫人』をご存知でしょうか。 蝶々夫人はマダムバタフライの邦訳タイトルです。『マダムバタフライ』という小説は弁護士 ジョン・ルーサー・ロングが1898年にアメリカで発...

島田雅彦氏の作品です。 3つの小説ですが、無限カノン三部作として副題が与えられています。 『蝶々(ちょうちょう)夫人』をご存知でしょうか。 蝶々夫人はマダムバタフライの邦訳タイトルです。『マダムバタフライ』という小説は弁護士 ジョン・ルーサー・ロングが1898年にアメリカで発表した作品。 とゆらはこの作品に触れるまで、『蝶々夫人』の名前を聞いたことがあるという程度でした。 この小説『蝶々夫人』は後に、プッチーニによって2幕もののオペラとして発表されますから こちらでご存知の方の方が圧倒的に多いことでしょう。 この『蝶々夫人』のストーリーは長崎が舞台です。 没落藩士令嬢の蝶々さんとアメリカ海軍士官ピンカートンとの恋愛の悲劇なのですが、島田氏 の『無限カノン三部作』はまさにこの続編とも言える作品です。 蝶々の遺児、ベンジャミン・ピンカートン・ジュニア(ニックネーム\\\\\\\"ジュニア・バタフライ\\\\\\\" 略称J.B)の母との死別・米国へ引き取られるところからストーリーが始まります。 JB、そしてその子供である野田蔵人、更にその子供の野田カヲル、そしてその子供である椿文 緒へと物語りは伝えられます。JBから数えて4代の一族の物語。そしてこの物語は、4代目の 椿文緒がストーリーを追う形として進められていきます。 2冊目の『美しい魂』では物語が大きく変容し、3冊目の『エトロフの恋』では静かにうねる ようにラストに向かっていきます。 物語が壮大すぎて一冊ずつを切り出すのも、まとめてご紹介するのも難しい作品ではあります が、先を読まずにはいられないという衝動に駆られた久々の作品でした。

Posted byブクログ

2009/10/04

「私は信仰の対象たる神も教祖も持たない。毎回、何か信じるに足るものを見つけては、何とか書き続けてきた。今度は恋というものを信じてみることにした」という島田雅彦。見事な力量。

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2012/08/26

春樹の『ねじまき鳥クロニクル』と並行して読んでいたアンチ春樹の島田雅彦による三部作の第一部。 あとがきに、「考えられる限り、もっとも危険で、甘美で、それを描くことが難しい恋」を描いたと作者自身が語るように、国家レベルの非常に壮大なスケールで壮大なスケールの「恋」が描かれる。 ...

春樹の『ねじまき鳥クロニクル』と並行して読んでいたアンチ春樹の島田雅彦による三部作の第一部。 あとがきに、「考えられる限り、もっとも危険で、甘美で、それを描くことが難しい恋」を描いたと作者自身が語るように、国家レベルの非常に壮大なスケールで壮大なスケールの「恋」が描かれる。 恋愛ってこんなに真剣で、非情で、苦しくて、でも結局美しいんだってヒシヒシと伝わってくる。 また、作者は「ほかの誰にも書き得ない小説」を書きたかったともあとがきで述べており、その意気込みも充分に伝わってくる。 2部作に期待。 ヨーロッパ行きの時間がたっぷりある機内で読み始めちゃいます。

Posted byブクログ

2011/09/29

あんなに、人や時代が入り混じっているのにぜんぜん混乱しない!すごいなぁ「恋」っていうと甘酸っぱいかわいいイメージなんだけどここでいう「恋」はぜんぜん違う。続きが楽しみです!

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